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僕は文豪。第一部、小説家志望の僕を「四十代無職」にカテゴライズしないでくれっ、僕は小説を書きたいから働かないだけだっ!!  作者: 高口爛燦
第一章 僕の決意。―僕は絶対に売れっ子作家になってやるっ!!―
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第八話 僕の実弟は「おめでたい人だね、兄さんは。ふふっ」っと、兄の僕に賛美の言葉を送ってくれて―――

 そう、そのとき既に、小説を書いていた―――、

「―――」

 ―――当時の代表の彼に、僕は大きないい影響を受けた。本当に彼には感謝しているよ。もし会えることなら、直接彼と面と向かって『ありがとう』と屈託のない笑顔で僕はお礼を言いたいさ―――。


第八話 僕の実弟は「おめでたい人だね、兄さんは。ふふっ」っと、兄の僕に賛美の言葉を送ってくれて―――


「、、、、、、」

 ま、大学を卒業したらいろいろあるよね。就職とか、恋愛とか。


 卒業と同時に、、、ううん、一、二年経ってからだったかな? それぞれのメンバーが、それぞれ自身の決めた方向へと向かうことで、連絡が減り、なくなり―――、連絡を取ることもなくなり、、、僕達の同人ゲーム制作サークルは、自然消滅した、のさ。


 今でも連絡を取る、、、ううん。フィーチャーフォンから今の電話に変えるときに、たまたまこっちから連絡して返信があった当時のメンバーの二人とは、たまに今でも連絡を取るようにしている。

「むふ・・・ぅ」

 でも、向こうも忙しいのかな。そのツレに連絡をするのは、いつも僕のほうからだ。


 ツレの二人から僕に連絡が来ないのは、

「僕が嫌われているか、それとも煙たがられているのかもね」

 一緒か。ま、そんなこと関係ねぇけど。僕さえ連絡を取れればそれでいいってもんさ。

 二十代の頃の僕はほんとにスリムだったのに、今はこんな出っ腹になってるけどね、もう。僕は下腹をさすった。

「僕は必ず売れっ子作家になってやる!!」

 僕は昔のことを考えるのは止めて、執筆に集中したんだ。


 カタカタカタ―――。

「―――。・・・っ」

 ハッと僕はして、意識を外に向けた。パソコンの液晶画面の右下に視線を移せば、もう深夜に突入しようかという、二十二時四十六分だった。

「うおーーーーっ。時間が僕と同じ四十六だ!!」

 僕は今、四十六歳。今の時間と同じ四十六で、なにか運命的なあれを感じた。そして、僕はまた画面の文章に視線を戻したんだ―――。


 僕はキリのいいところで、パソコン画面から顔を上げ―――、

「ちっちっち・・・!!」

 ―――右人差し指を、左右に行ったり来たりさせて、ふりふり。

 僕は―――。

「恋愛難しいーっ」

 でも小説家たる僕は、勉強の成果で想像力を卓越させ、、、

「僕は極限まで達することで、、、うんぬんかんぬん、ふりふりほれほれ超絶執筆で」

 僕は独り言ちながら―――、部屋の中で、ふんふんっ、っと独りで腰をくねくね踊りしてみた。

 ふぅ、っとそこで僕は一息。

「さっ、バカなことやってないで風呂でも入るか」

 意気揚々と僕は自室を出て、階下へと向かう。


 みし、みし、みし―――

「バっバカな・・・!!」

 バカな!! そのときそのみしみし音で僕は衝撃な事実に気づいたんだよ!! 

「おかしいよっ、二十代の頃は、こんな木の階段がみしみし鳴ることなんてなかったのに!!」

 ショーック!! マジでショックだぜぇ・・・!! やっぱこの出っ腹のせいだ。おかしいよ、あれれ? 当時と全く変わらない食事量と運動量だぜ? 食生活も全く変わってないのに出てくる下腹。

 パンっ―――

 僕は両手を開き、腹鼓を打つっ。

 ぽよんぽよん。揺れる僕の下腹・・・!!

「う、うそだろ・・・バカな!!」

 僕は右手を半ば開いて眼前に翳した。


 そのとき―――、

「おや?」

 目下のリビングの光がそのおかげで半減する。ちょうどそのとき、リビングの締め切られている扉のガラスが嵌め殺しにされた部分に人影が映ったんだ。


 がらっ―――っと扉が横にスライド。

「むふ? お前は、、、誰だっその名を答えろ!!」

 僕は右手を眼前に翳したまま、その影の人物に言った。

「・・・兄さん―――、、、」


 その人物。リビングルームから出てきたのは僕の正真正銘の実弟だった。

「我が弟よ、よく来たな。はっはっはっは」


 弟の表情が曇る。

「―――、」

 弟は、ふぅ、っと息をため息をついた。


 弟の表情が曇ったということは、弟は、自身が勤める会社で、なにかいやなことでも、あったのかもしれない。

 だってここにいる僕の弟はスーツ姿だったからだ。だから僕はそう思ったんだ。

「どうしたのだ、我が弟よ?そのように溜息をついて。ため息を吐くと幸せが逃げるらしいぞ、ふふっ」

「兄さん。小説は書けているかい?」


 弟は冷静に、僕に問いかけてきた。ノッてくれないのが、少し悲しいぞ兄さんは・・・。

「ふむ、よくぞ聞いてくれた!! 締切日までには書けそうだ」

 僕の『締切日』とはいうのは、入稿する際に、印刷所や出版社へと提出する締切日じゃない。僕が決めた締切日だ。

 うだるようなこの暑さが続く中、僕が個人サークル側として、出展するイベントに向けたその締切だ。

 例えば、イベントが二十日開催だったとして、それなら最低その七日前には印刷して、頁を一枚一枚折って、自作して、手織りの同人誌として製本しておきたいから、その段取りだ。


「おめでたい人だね、兄さんは。ふふっ」


 弟の快い笑みとその応援。その応援を僕は受け、僕の心はますます嬉しくなる。

「ありがとう、弟よ。まだ、おめでたいことは、この兄には訪れていないがね」


「・・・」

 弟の、僅かな沈黙。

「―――、あのさ、兄さん」

「うむ・・・っ」

 僕に、まだこれ以上の、なにかの褒めたい言葉があるのか?弟よ。兄に、言ってくれてもいいんだぞ、この僕、兄を褒め称えるお前の言葉をっ。

 だが、これ以上、僕を褒められたら、この兄は照れてしまうではないかっ弟よ・・・っ///


「やっぱ俺、帰るわ兄さん、、、」


 ちょっと僕は、残念。

「そうか、、、」

 まぁ、弟が帰るって言っても、弟はこの家のすぐ横の空き地に建てた家に帰るだけだ。僕が、弟に会いたいと思えば、すぐに行ける。


 まぁ、取りあえず僕は―――、

「ふむ、おやすみだ、弟よ」

 ―――、と、弟に寝る間際の挨拶を。


「もう二十三時だよ、兄さん。兄さんも早く寝なよ?」


 弟は僕を心配してくれる。でも、僕は為すべきことが山ほどあるのだよ。

「そうもいかない、僕は勉強だ」

 黙り込む僕の弟。

「・・・」

 僕の『勉強』とはすなわち『小説を書く』ことだ。僕は絶対売れっ子作家になってやるー!!

 やっぱ僕の弟にも、教えてあげよう。僕の予定を、僕の生きる道に繋がることを。

「八月後半、二十三日。その日曜日には、また出展会があるのだ」

 日本最大の同人誌即売会が終わって、その翌週の日曜日の二十三日だったよな、確か。その、僕がサークル参加する創作系の作品に特化した同人誌即売会のことだ。


「、、、そうなんだ、兄さん」


 僕は、この兄はその創作系同人誌即売会に出展するのだよ。だから、今修羅場OK? 我が弟よ。

「うむ、弟よ・・・!!」

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