第二十七話 僕の今年の『夏の陣』。僕はまた、貴方さまのサークルに訪れさせて頂きます・・・!!
第二十七話 僕の今年の『夏の陣』。僕はまた、貴方さまのサークルに訪れさせて頂きます・・・!!
僕は、カタログの中にそのお方を見つけ、、、た、というわけだ。
思い出すは―――、あの日あのとき。
「っつ」
あれは、僕がまだ二十代の駆け出しの小説家志望だった頃―――。
「僕が、『スランプ』に陥っていたときのことさ」
僕は、そのときまるで書けなくなってしまったんだ。筆を手に取っても全く書けなく、、、いや、頭の中に全く何も思い浮かばなくなって―――
「それも違う・・・っ!!」
ダンっ、っと、僕は、両拳を机の上に振り落とし、違うんだ。スランプってやつは、そんなんじゃないんだ。少なくとも僕はそう思う。
「むしろ―――、書くのが、執筆するのが、嫌になって億劫になってしまうんだっ」
パソコンの画面に向かっても、と言うか文書作成ソフトを立ち上げたくなくなる。違う楽しいことを、してしまうんだ。
つまり執筆からしばらく離れてしまう。
「でもさ―――」
時間が過ぎ、ハタッと我に返って、僕はそうして、そうすることが使命であるかのように、猛烈に。指を動かし、画面に向かってタイプを再開するのさ。
「あっ、そうそうそのとき、僕がスランプに陥ったあの若かりし日のことだった」
僕は、そのときにこの作家さんに出会ったのさ。それが僕の『師匠』だった。師匠の作品、作風だった。
僕は視線を落とし、カタログのページの中の、師匠の、美麗な絵が描かれたサークルカットを見詰め、
「・・・っ」
僕が師匠と勝手に呼ばしていただいているその御方の作品に、あのとき僕は出会った。救われたんだ、僕は。師匠が創ったその物語を読み終え、僕は電撃が走ったかのような、まるで雷が僕に落ちたかのような衝撃を受けたんだよ。
じわっ、、、
「う、っく・・・っ」
涙が浮かぶ。涙が、感涙で、こぼれ、そうに、・・・僕。
っ、話を、物語を、キャラクターが織りなすそれ、複雑に、『それ』を造り出す僕が勝手に称させていただいている『師匠』の手法。
師匠の手法だ。この物語は僕の師匠による『創作』だってことは解っているさ。
でも、その『作品』を、『師匠が手掛けたシナリオ』を思い出すだけで、僕はいつも、未だに眦が熱くなる。
「涙が、、、止まらないんだ・・・っ 止まらなかったんだよ・・・僕は、っつ」
そのとき僕は、師匠のおかげで、シナリオにおける『伏線』そして『フローチャート』という存在を知った。
「師匠―――、僕は未だにこんなところで燻っています・・・っ」
ぽたぽたっ―――、っと三日目西の宝の地図の上に、僕の透明な涙が、一滴、二滴、、、数滴落ちる。
僕は有名になって、然るべき場所で貴方に会いたい。師匠にお目通りを願いたいっ。出展会というサークルブースまで会いに行くのではなく、そこで二言三言話すのでばなく。。。うぅ、、、僕は、僕はっ。
「あっ、もっもちろんっ師匠。三日目は、サークルブースまで会いに行きますからっ。話しかけますのでっ、・・・そのときはよろしくお願いしますっつ」
よしっ、僕は気を取り直して、『師匠』の他にも、師匠以外の、好きな作家さんのサークルにも、僕が行こうと思っているサークルさんのところも、蛍光ペンでチェックをつけていったんだ―――。
『夏の陣』まであと二日。八月十二日。
「ふぅ・・・、あと二日かぁ」
カタカタカタ―――っ、っと、僕がサークル出展をする『創作系の同人誌即売会』と、二日後僕が一般参加する『日本最大の同人誌即売会』、その二つの即売会の準備を終えた僕は、自身の小説をタイプしながら。
「っつ・・・!!」
ハタッと僕は改めて、事の重大さに気づき―――。
「うおーマジなのか!? マジなのかっ!? マジで、ほんとに、あと二日で日本最大の同人誌即売会っ?! ふぉおおおおっ!!」
心の火に点火だよっふぉおおおっ僕の心が燃えてくるよーーーっ
「ふぅ、、、―――とその前に僕は、行かなければならないことがあるんですっ!」
にゃんにゃんっ、っと僕はかわいさ満点で。
「いや待て待て書くん―――」
僕は自分につっこみ。
「―――、四十代で、でっぱらなオタクのおっさんの僕が、かわいく言っても、全然かわいくないよ、書くん」
「そんなことないもんっ書くんっむふっ♥ 僕がかわいく言ったんだから僕はかわいいもんっ―――ハっ」
ハッと僕は我に帰り―――、またご近所さんに、『変な大声うるさい』って、文句を言われちゃう、だめだっ。僕は変じゃないっただの小説家でオタクなだけだっ。
「そんな時間を無駄にしている場合じゃないってばよ・・・っ」
と、その二日前でテンションが上がる前に、だ。
「なんとぉ明日は―――」
明日は―――、ででんでんっ♪ お尻ふりふり、身体をくねくね。僕の心の嬉しさを、僕は全身で顕すよっ・・・!!
「―――『即売会零日目』なんですっ!!」
その『零日目』とは、『日本最大の同人誌即売会』の前日に開催される『イベント』のことだ。
その『零日目のイベント』と、本番である『日本最大の同人誌即売会』の企業ブースに出展する企業ブランドのうち、参加が被るブランドは、予め『零日目』のイベントで行っておかないといけないのさ。僕の独断的な考えだけど。
「二つのイベントで、大抵のところのゲームを制作企業は、同じ商品を持ってくるからね。競争率の低い『零日目』で、僕は欲しいと思うものは全てを手に入れないとね・・・!!」
でも、それだけじゃないよー。好きな物を買えるのは、愉しいし、嬉しいし、それに、あのまったりとした雰囲気が・僕は・―――
「好・き・な・ん・ですッ!!」
だって、僕の尊敬する『創造者』たる製作者さまと直に触れあい、話もできるし、貴重な話も聴けるし、素晴らしい場所なんだよ!?
自分の好きな作品。それを手掛けた製作者。そんな『創造者』たる方々に、僕は、直接僕のお金を落としたいっ、わたしたいっ、支援をしたい!!
「・・・っ」
お金を落としたい、わたしたい、支援をしたいって、いうような『上から目線』じゃないけれど、少しでも、僕のお金が、そんな『創造者たる』方々に渡り、それで素晴らしい作品を創造していただけるなら、僕の財布がすっからかんになるなんて瑣末なこと。
「むしろ僕の本望さ・・・それはっ」
そうさ―――。明日からそんな僕の生命を賭ける『夏の陣』は始まるんだ。
「僕の戦いは明日からだ―――」
『僕は文豪。第一部、小説家志望の僕を「四十代無職」にカテゴライズしないでくれっ、僕は小説を書きたいから働かないだけだっ!!』
完




