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僕は文豪。第一部、小説家志望の僕を「四十代無職」にカテゴライズしないでくれっ、僕は小説を書きたいから働かないだけだっ!!  作者: 高口爛燦
第二章 ―僕の出陣、僕の戦いへと向かう戦士の心は昂揚感と亢奮に満ち溢れ―
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第二十三話 僕は『宝の地図』を描かないといけないんだ

第二十三話 僕は『宝の地図』を描かないといけないんだ


『夏の陣』まであと三日。八月十一日


 もう日本最大級の同人誌即売会まで、あと三日しか残っていない。今から僕は、大事な地図を描こうかな。

「ふんふん♪ ふんふーん♪」

 僕は、うきうき。僕の心は昂揚感に包まれ。

 いい。いいよね、このイベント前夜。もう即売会が始まるぞーっ、ていう実感がますます湧き立ってさぁ!!


「いでよ、僕の『宝の地図』」

 まだ、なにもプロットや、マーカーで線引きしていない、白紙の地図。これが今から僕の『宝の地図』に変わる。

 ううん、僕が変えるんだっ、この白地図を『宝の地図』に・・・!!

「ふははははははっつ」

 僕は高らかに笑う。


 今から『宝の地図』を描かないといけないんだ、僕はっ。あっ、『宝の地図』という言葉は、以前の、僕が何年か前の『冬』に参加したとき、早朝寒い中、薄明るくなってきた明け方。そのとき待機列に並んでいると、公式スタッフの帽子を被った『スタッフさん』のおにいさん二人が、


『はい、みなさん、おはようございます』


 って、メガホンを持ってやってきて。あー、ますます思い出してきたよ、僕。まるで昨日のことのように。


『えぇっとですね、この列は8時45分になったら移動を開始します。それまで必ずこの場所に戻ってきてください。戻ってこられない場合は最後尾に並ばないといけなくなります。ですので、その時間までに必ず戻ってきてください』


 今度はその人の隣のスタッフさんが、口元にメガホンを持ってきて、引き継いで次の説明を。


『ですから、それまでは列を離れてもかまいませんが、貴重品、特にあなた方の『宝の地図』は、必ず肌身離さず持っていてください。なくしてしまうと大変なことになります、お宝が手に入らなくなってしまいます』


『わはははっ』、っと、そのとき沸き起こった待機列の戦士達の明るい笑い。


「―――」

 そう、僕は、そのときのことを、まるで昨日あったことのように、まざまざと思い出せるさ。


 がらっ、っと僕は、机の引き出しを開け、電気街のショップで買って、そこに仕舞ってあった。『鈍器』を取り出す。『鈍器』っていうのは、スラング用語で、即売会の『カタログ』のことだ。

 『日本最大の同人誌即売会』のカタログは、とても分厚くて、、、厚さ何センチぐらいかな?

「、、、」

 厚さ四、五センチはあろうかという『日本最大の同人誌即売会』の冊子カタログだ。僕達、即売会を愛している戦士達にとっては、このカタログは『聖なる書』だ。

 また『聖なる書』はハードカバーではなく、背表紙を掴むように持てば、ぐにゃり、っと曲がる。そして、いざというときの道しるべにもなる素晴らしき書物。

 ここには、『全ての理』と『道標』と『そこに在る全ての真実』が記されているのさ。そう、『歴史(ヒストリカ)』から『機構(ルール&システム)』から『(りねん)』。そして『創造者目録(サークルカット)』まで、ありとあらゆることが、この一刷には記されているのだよ。


「よいしょ」

 ドンっ、っと。僕は重いカタログを机の上の置き、、、。っと、ノートパソコンが邪魔だな、よいしょっと、僕は、商売道具であるノートパソコンを横にずらし、その位置にカタログを置いた。


「・・・」

 ぴりぴり・・・。僕は慎重に、カタログの冒頭にくっついてある白地図を切り取る。それは複数枚あり、詳細を述べよう。


 その白地図は、一日目、二日目、三日目と別れていて、さらに東と西の二つ棟の、見取り図とサークル位置の枠だけが記されている。

 ちなみに今は、世界的な大きなスポーツ大会に向けて、南棟と新たな展示棟を増設・建設するって話だ。

「となると、」

 東館と西館、さらに南館、新棟を含めて開催?のような。もしそうなれば、将来、この日本最大の同人誌即売会は、とても凄い、凄まじい規模になったりして・・・。

「は、ははっ♪」

 っと、僕は。うきうき、意気揚々となりて、僕は『聖なる書』を開く。


 始まって一番に行くところの項を見るのだ。

「そうさっ企業ブース!!」

 企業ブースが配置される『西の上』の見取り図だけは、そこの白地図に収録されていない。よって、僕は家の近くのコンビニに行って、カタログの『企業ブース』の項にある企業ブースの地図だけを、予めコピーして『戦いに』持っていくっていうのが、『夏の陣』と『冬の陣』に参加するときの、僕の戦い方だ。


 だから、僕は机の上に、一日目の『企業ブースの地図』と〼だけのサークル配置図の『白地図』を一番上に置き、、、。

「一日目は『西の上』だな」


 つまり一日目、毎回最初に僕が突撃を敢行するのは、西館の屋上の企業ブースだ。これは確定。

 西の一日目は、競争率が高く激しい戦いになる・・・っ。僕は勝ちたいっ!!

「『西の上』を買い終われば、次は階段下がるか、スロープを降りるかして、『西の下』のサークルだ」

 そうだな・・・、今年の夏は、どこから階下に降ろされるんだろう。階段かな?それとスロープかな?

「、、、」


 降ろされる、、、という意味は、毎度当日に設定されている『通路』のことだ。過去僕の記憶を遡ってみてみても、例えば第七十回ぐらいから思い越して、現在に向かって、第七十五回、第七十六回、―――、、、、、以下略と、前回の第八十四回の『冬』まで、僕は全日三日間フル参加で『日本最大の同人誌即売会』に、僕は参加してきているんだけど、毎回の大会で、『通路設定』が全く同じということはなかった、と思うんだ。


「そういえば、前は、公式スタッフさんに誘導されて、会場外にいったん出て、横断歩道を歩いて東館に誘導されたっけ?」

 そして、もう一つ、僕の印象に残っている・・・、あれはいつのときだったか、、、あのときの『夏』は、普通に西館と東館を繋ぐ、屋内橋のような通路から普通に、『東』と『西』を行けたっけ・・・。


「今年の通路はどうなってるんだろう・・・?」

 これだけは、僕を含めた一般参加者には、分からないと思う。でも、

「―――」

 毎回どうなんだろう?こういう情報って、開催前に出ているのかな? 僕は知らない。調べようとは思わないかな、僕は。

「だって―――、」

 『そのこと』を含めて、僕は、この『日本最大の同人誌即売会』が、大好きで、全て愉しいから。

「―――当日に知る、判る・・・っていうことも、僕にとっては、この即売会の醍醐味だもん」

 さて、っと―――僕は。

 そろそろ始めるか、『宝の地図』の制作を―――。

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