第二十二話 僕はやることが、やらないといけないことが、為すべきことが山のようにある、あるんだよ
「あっ忘れてたっ。あとはあの『紙』だ」
白紙の画用紙に、『無料配布です』と書いた、看板だ。それをでかでかと、僕のサークルの机の上の前のほうに置いておくんだ、僕は。
第二十二話 僕はやることが、やらないといけないことが、為すべきことが山のようにある、あるんだよ。
「―――、―――」
書き書き、、、これでよしっ、っと。
僕の個人サークル名『刃機構』の三角柱のサークルの『標柱』。これで、僕のサークルに来てくれる人も、目が留まった人も、これで分かるよねっ―――
「僕のサークルが、ここにあるってことがこれで分かる。―――やっほーいっぱちぱちぱちぱちっ」
『夏の陣』まであと五日。八月九日。
「~~~あと五日。あと五っ日ぁー♪」
僕の同人小説の、『おれうざ』の製本作業と並行して進めなければならない準備。
それは、僕が一般参加する『日本最大の同人誌即売会』に向けての準備だ。
僕が一般参加をするその一週間後、同じ会場で開かれる『創作系の同人誌即売会』の出展準備は全て終わったし―――、『おれうざ』の製本作業も、スペースの準備も終わったもん♪
「もう一安心♪」
これでもう、『おれうざ』の新刊を落とす心配はない。
だから次に僕が取り掛かるのは、それより前に、毎年お盆の時期に開催される『日本最大の同人誌即売会』のほう。
「小説家の僕に『暇』という単語は存在しないのさっ♪」
あー忙しい忙しい。僕はやることが、やらないといけないことが、為すべきことが山のようにある、あるんだよ。
そのやらないといけないこと、とは―――、
「っ」
当日に買う飲み物もいるし♪ 『夏の陣』は、およそ、僕だと、三リットルの飲料水はいるよね。とても重いけれど。
会場現地で、自販機から飲み物を調達しようとしても、大体の商品が売れ切れているからね。その光景は、毎年の『夏』の風物詩みたいなものさ。
『冬の陣』のほうだと、飲み物は、ほとんど要らない。むしろあると困る。『冬の陣』で暖かい飲み物を摂ると、発汗が鈍い冬の季節は、どうしてもトイレに行かないといけなくなってしまって、列が動く時間まで戻って来ることができないもん。
利尿作用のあるカフェインを多く含む温かいコーヒーを、飲むのは致命的。
「うぉおおおおっ」
トイレ待ちに二時間、ううんもっと経かるかな? それぐらい待つのが、普通だったりするんだよ、あの戦場は。だから、僕は、『冬の陣』は、戦いが終わるまで、ほとんど飲み物は摂らないようにしているかな。
「よし、今から近くのスーパーまでれっつらごー」
僕は『夏の陣』のほうの『日本最大の同人誌即売会』五日前である八月九日に、『一日目』に飲む飲みものなどを揃えた。ちょっと早すぎかな?
『夏の陣』まであと四日。八月十日
僕は、自分の部屋に置いてあるダンボール箱の中から、『装備』を引っ張り出して、カーペットの上に並べた。
汚いな、っと、僕の目に入ってしまうのは、僕の染みだらけの薄汚れた部屋のカーペット。あとで、即売会が終わったら、母さんに言って僕の部屋のカーペットを買い換えてもらおう。
まぁ、そんなことは、今はどーでもいいか。それよりも―――、見よ、者ども!!
「これが僕の真の姿。真の力を解き放った僕の姿だ・・・っ!!」
ふふふははははははっ、っと僕は実際に声に、口に出し。
僕は、この自身の左手を完全に翳す。
「ふふっふはははははっ・・・!! 見よ、これらをオレが兵装し、くくっ、真の姿のオレとなるのだ・・・っ。ふははははははっ!!」
僕の眼前に並ぶ、僕と言う歴戦の戦士の必勝道具。
僕はもう二十代の頃より、今のこの201X年まで、この日本最大の同人誌即売会に、毎年二回参加している。『夏の陣』も『冬の陣』も、ということだ・・・っ!!
それが僕の『日本最大の同人誌即売会』に一般参加し、積み重ねてきた僕の『経験値』もしくは僕の中で言う『戦闘経験強度』だ。
「くくっ・・・ふははははっ!!」
さて、バカなことをやっていないで。僕の兵装の準備だ。まずはーっと。
「まずは―――、」
えーっとまずは、いつも使うリュック。
大きめの、待機中に頭から掛けて日除けに使うタオル。
それと同じ用途の帽子。
そして、携行用のキャンプ椅子。かちゃかちゃっ、っと足を伸ばし、三脚のように広げるタイプの金属の椅子だ。
それから、日焼け止め。どうも僕ってば、日焼け止めを塗らないと、あのかんかん照りの炎天下の日光は苦手だ。僕は日焼けしたら赤くなって痛みが走るタイプなんだ。
ふりふり、っと僕は日焼け止めを右手にもち、それを上下に振る。
「っつ」
あっ、日焼け止めちょっと少なくなってる。あとで母さんに言って、また買ってきてもらおう。
あとは夏だから塩分補給の塩飴だ。母さんに言って、塩飴も買ってきてもらおうかな。
「ふんす・・・っつ」
それから、『戦いの鞄』。これがないとお話にならない。
この戦いの鞄の中に、僕がブースで買った、手に入れた戦利品を入れる。『夏の陣』のほうだと、戦利品を、手に持って、もしくは小脇に挟んで、持ち歩いているだけで、自分の汗でぐしょぐしょに、戦利品がダメになってしまう。
自分の汗の他に、その鬼のような混雑ぶりで、他の戦士達に蹴られ、当たられ、戦利品は、もう目も当てられないのような、ぼろぼろの状態になってしまう。
「だから僕には『戦いの鞄』は必須」
その戦いの鞄の大きさは、B2サイズの長さのタペストリーも、すっぽりと収納できる紙袋と、布製の鞄だ。それと、B5サイズの同人誌が、ぴったりと収まる分厚い紙袋に、A4サイズの同人誌が、ちょうど収まる、よく百円ショップで売られているプラスチック製の書類ケース。
それも忘れずにちゃんと、いつものリュックの中に入れたし、
「これで僕はもう立派な戦士だっ!!」
日本最大の同人誌即売会に集う戦士の一人に、僕は成った。
僕はもうこれで、いつでも『戦い』に赴ける!!
「いぇーいっひゃっほーっ♪」
うきうきハラハラドキドキ―――、今年の『夏の陣』は、むふふふー、どんな楽しい夏が僕を待ってるんだろーっ♪
僕の欲しい物。あの、僕が贔屓にしているサークルさんで、また、けもみみのおにゃのこの新作タぺがほしーっ。
他にも、あのサークルさんは、去年の冬に告知していた同人ゲームの続編出すのかな?シリアスゲーも僕大好きっ絶対に続編欲しいぞっ!! シナリオの勉強ができる『教材費』で落とせるもんねー。
「ふひっ、ふひひひひっ♪」
あの『シャッター(級)』サークルさんも、前回の『冬の陣』のときに、告知していた同人ゲーム出来たかなー?ふほーっ、作家さんの公式サイトを今から見よーっと―――。
僕は会社勤めの人間じゃない、だから僕の時間はたくさんある。
「むほーっ。あれも欲しい。これも欲しい。もっと欲しいっ♪ 僕は小説家だー。 あとで『教材費』をもっと追加請求しよーっと父さんに・・・っ」
そうして、僕の楽しい楽しい即売会の準備は着々と進んでいった―――。




