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僕は文豪。第一部、小説家志望の僕を「四十代無職」にカテゴライズしないでくれっ、僕は小説を書きたいから働かないだけだっ!!  作者: 高口爛燦
第二章 ―僕の出陣、僕の戦いへと向かう戦士の心は昂揚感と亢奮に満ち溢れ―
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第二十一話 僕が八月二十三日に出す『おれうざ』の新刊の製本作業 五

「よし、ここで―――」

 一冊分の84ページを、ホッチキスで纏めた九部。それを持ってくる。トントントンっ、っとページが、ちゃんと真っ直ぐに揃うように、右側の『背表紙』となる部分を、右手でプラスチック製のアクリル30センチ定規で、バインダーの左端の『段』と小説を挟み込む。

「、、、ボンド。ボンド―――」

 僕は手を伸ばし―――、


第二十一話 僕が八月二十三日に出す『おれうざ』の新刊の製本作業 五


 僕はボンドを掴み取り、たらー、っと、背表紙になるところの、背表紙の裏から糊付け。糊が乾いて、中途半端にページがくっついてしまわないように、時間を無駄にしないように、素早く。ささっと。

 次の作業を―――。

「ここだよ、ここ。この作業が、一番力がいるんだ」

 このときに、両手両腕に力を籠めておかないと、できあがった小説本が、歪になったり、表紙がズレたりするんだ。

「つまり読み手にとって、物理的に読みにくい本になる―――。イクぞ」

 ぐぐぐ―――、僕は、右手に持つ、右手に思い切り力を籠めて持つ30センチメートルのアクリル定規をぐぐっ、っと力任せでいて、それでいて対局に位置する繊細さも同時に、力を籠めて、定規を、表紙の画用紙ごと『起こしていく』。


「―――ッツ」

 角度180度の平面の画用紙から、斜め角度160度。角度130度。ますます急に角度100度。そして直角の90度。

 小説本の背表紙である角度90度で、手腕に籠める力を、ここで緩めてはいけないんだ。元・画用紙の表紙は、まるで金属の板のように『元の角度に戻ろうとするから』。

「―――っつ」

 ここで手を緩めるな、という気概で、僕は、『直角』からさらに白紙の表紙を『鋭角』に持っていき、角度を75度程度まで。そこで圧す定規の『侵攻』を進める。


 ちなみに左手は、小説本の左を押さえている。このとき左手の力を緩めてしまえば、オワタ、になる。『紙』が右からの、定規の侵攻の圧力に負けて真ん中が盛り上がり、ページを開く揃えの部分が歪む。すると、できあがった手織りの同人小説本まで歪んでしまう。

 本としてだめだ、それは。読み手にとって、読みづらい本になってしまうから。


 今度は、僕は『おれうざ第五巻』を、ひっくり返し、その右側。つまり糊付けしたほうに、意識を向ける。

 そこに、本の右側に挟み込むとき、起こしたときに使ったアクリル製の三十センチの定規を置く。


 この、元・画用紙の表紙を起こしただけの状態では、まだ、本として『ゆるゆる』の、がばがば。背表紙が止まっていないのも同然だ。

 だから、

「ッ」

 ぐっ、ぐっ、ぐっ、っと、僕は、糊付けしたほうの右に定規を敷き、万遍なく、まるで指圧のように、定規ごと、本の糊付け部分を圧していく。

 本の上と下の背表紙から、白いボンドが圧力に圧されて出て来るぐらいまで、指圧しないとだめだ。

「くぅ~~~っつ」

 製本作業の中で、このときの糊付け作業が、一番指の痛くなる工程だ。十部の同人小説本を作るだけで手が腱鞘炎になって、しばらく二、三日の間、キーボードはタイプできなくなってしまうかな。


「―――、―――、―――、―――、―――、――――、。。。・・・、―――、、、。」

 僕はこの製本作業の、しめの最後になる糊付け作業を、黙々と熟していく。

「ふぅ、、、」

 あと九部も残っている。それを、、、僕は、もくもくと糊付け作業を進めていったんだ―――。



「―――あとは、糊が、ボンドが乾くのを待つだけだ・・・」

 僕の両手は痛いけれど、自分のためだ。僕は、僕の、僕が書いた同人小説である、

『おれうざ―俺のカノジョはうざななじみ~うざーい彼女は俺のかわいいカノジョ~―』

 を、みんなに読んでもらいたから。


 今度こそ、いつも僕のブースの机の上に残るあと六部、最低でも、残りが三部ぐらいになるまで、僕のブースを訪れた人達に、

『おれうざ―俺のカノジョはうざななじみ~うざーい彼女は俺のかわいいカノジョ~―』

 を、手に取ってもらいたいから。

「僕の作品を、みんなに取ってもらいたいから。僕の作品が、読者のみんなを楽しませることができますように、、、」

 それを僕は願いながら、、、僕は、その夜ベッドの中で目を閉じたんだ。



『夏の陣』まであと六日。八月八日。


 二十三日の『創作系の同人誌即売会』に出す僕の手織りの小説同人誌は全部製本することできた。でも、まだ次に僕がやらないといけない大事なことがいくつかある。


「よーしっ僕の二十三日の準備もできたぞー」

 あとは僕の、自分自身のサークルの出展準備だ。机の上に敷く敷物。サークルの、白紙の画用紙を三回折って作った三角柱のサークルの標柱など。


「書き書き、―――」

 僕はそこに自分のサークル名を、黒のマジックで書いた。『刃機構』って。

 ちなみに『刃機構』と書いて『Edge Style』と読むんだ、僕のサークル名は。

 べつに、『刃機構』っていう名前のサークル名だけど、僕の『作品』である『おれうざ』が尖っていたり、鋭いといった自覚はないよ。『おれうざ』は、そういうジャンルじゃない。ほのぼの日常系の作品だ。

「―――よし、『刃機構(Edge Style)』っと、ね」


 僕は黒の太いマジックで、『刃機構』という文字を、僕のサークル名を、白い画用紙を三回折って作った三角柱の標柱に、そう書いた。

「あとの、」

 僕のサークルの看板は、ツレの優和(まさかず)が絵を描いて持ってきてくれるし、大丈夫だ。あとは、僕の製本した白紙の表紙の、僕が執筆した小説『おれうざ』を纏めて、っと。


 僕はいつでも持っていけるように、『おれうざ』を、紙袋の中に仕舞おうとして、

「―――、、、」

 ふと、その白紙の画用紙で作った『おれうざ』の表紙を見詰めてしまった。白紙の表紙には、一言。その題名『おれうざ―俺のカノジョはうざななじみ~うざーい彼女は俺のかわいいカノジョ~―』と、黒いインクで記されている。


 白紙の表紙。白紙、白紙かぁ~。でも、たとえその『おれうざ 第五巻』の表紙が、絵が描かれていない白紙の表紙でも、


「『僕は絶対売れてやる』―――」


 僕は、僕の、僕自身の『まじないの言葉』を口に出す。これを言えば、唱えれば、きっと僕の新刊『おれうざ 第五巻』の一冊、、、いや二冊・・・う~んもうちょっと三冊は、僕のブースを訪れてくれたお客さんに持っていってもらえるはずさ。

「それと―――、」

 既刊は『第三巻』と『第四巻』までは持っていこうかな。それより前の既刊は重いし、家に置いていこう。

「あっ忘れてたっ。あとはあの『紙』だ」

 白紙の画用紙に、『無料配布です』と書いた、看板だ。それをでかでかと、僕のサークルの机の上の前のほうに置いておくんだ、僕は。

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