第二十話 僕が八月二十三日に出す『おれうざ』の新刊の製本作業 四
「じゃじゃん♪」
そんなときの出番が、ラジオペンチでふ♪
「よいしょ、よいしょ」
僕は、ラジオペンチを右手に、左手にはホッチキスで止めて割り振った『十枚』ずつ綴じ、束ねたページを持ち、
第二十話 僕が八月二十三日に出す『おれうざ』の新刊の製本作業 四
僕は、座布団の上に胡坐を組み、そして、ラジオペンチで、『膨れて止まった』ホッチキスの針を、上下に止めた針、片方ずつ挟んで圧すように平らにしていく。右手に力を加え、握力で、まるでページの紙束の中に、ホッチキスの針を『埋める』かの如く。
「よしっ、ホッチキス潰し、十部できた!!」
つまり、一冊につき、十枚ずつ束ねたものが八部の、ホッチキス仮止めだから、十冊では八十部の束ねた束の、『止めるときに膨れるホッチキスの針』をまっ平らに、握力を使ってラジオペンチで圧し潰した。
そして、次は。
「糊付け、です!!」
ただね、このときに、ページに使う普通紙は柔らかくて、普通に糊付けしたら、ボンドの水分に負けて、ボンドの水分を含み、ページの背表紙が、ふにゃっ、っとなってしまう。
だから、背表紙とページの間にボール紙を入れ込む、僕は。
「五ミリメートルだ」
八十四枚重ねた紙の厚さだ、僕が呟いた『五ミリメートルだ』、とは。
「―――しょっ、っと」
僕は、厚さ0.8ミリメートルの、厚紙を取り出すと、五ミリの幅ごとに、定規とシャープペンシルを使い、裁断するときの当たりの『点』を付けていく。
一冊の同人小説本を作るときに必要なボール紙の面積は、幅0.5センチメートル(84ページの厚さ)×縦の長さ21.1センチメートル(A5サイズの縦の長さ)の、かなり細長いサイズの厚紙だ。
その『点』を、十部の『おれうざ』だから、計『二十の点』の当たりを、点で書いていく。0.5センチ×十部の『おれうざ』だから、つまり厚紙は五センチ四方で事足りる計算だ。
「裁断するときに、僕が失敗しなければ、ね♪」
以前、厚紙を裁断するときに、ミスって中指の爪の先を、カッターナイフの刃で刎ね飛ばしてしまったことがあるんだ。
「あのときはマジでビビったぜぇ・・・」
中指の先を刎ねてしまうとこだった!!
あとは、カッターナイフの刃が、逸れて斜めに厚紙が切れちゃったってことも。
「そこでオワタ」
また厚紙作業は、最初からやり直しだったよ~♪(≧▽≦)、、、おふぅ・・・っていう具合さ。今回も慎重に裁断しよう・・・。
「―――」
シャシャシャっ、っと僕は、カッターナイフの刃に金属製の定規を当て、何回か、上下に、厚紙の上にカッターナイフの刃を走らす。
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小一時間が経ち―――、
「『十本』できたでふぅ・・・」
ふぅ・・・失敗せずになんとか十本できたよ、僕。
その厚紙作業が終わったら、先に終わらせておいた一冊につき八部~九部に別けてホッチキスで止めたページの束を重ねる。
僕は、次に表紙を作らなければならない。先ほど裁断した白の画用紙を表紙にしたもの。表には、『おれうざ―俺のカノジョはうざななじみ~うざーい彼女は俺のかわいいカノジョ~―』
と、プリンターを使って印刷しなければならない。
白の画用紙を、ただA4サイズの幅に切っただけのものだから、すんなりとプリンターに飲みこまれ、ちゃんとうまいこと表紙ができた♪
「ふんふふーん♪」
僕は、鼻歌まじりで十枚の表紙に『題名』を印刷した。
「ちゃんと印刷できているぞ」
『おれうざ―俺のカノジョはうざななじみ~うざーい彼女は俺のかわいいカノジョ~―』ってね。
「ほんとは―――、」
それだけが残念だよ、僕は。
この表紙に絵があればいいんだろうけど、僕に絵心はないし、絵師さんの伝手もない。それに絵師さんに頼めば依頼料金が発生する。そこまでのお金を僕は、さすがにまた親に頼み込んでは、用意できない。
「―――」
一度調べたことがあるんだ、僕は家のネットを使って。ちなみに、家にネットを引いてくれたのは弟の豪だ。
おっと話を戻すと、絵師さん一人を採用につき、白黒ならばだいたい一人のキャラクターにつき三千円から五千円。カラーになればその二倍以上。到底僕に払える金額じゃないってば。
だったら真っ白の表紙でいいさ、今のところは。僕が売れっ子作家になったら、絵師さんに頼もう。
僕は気を取り直して、製本作業の糊付けに。
「よし、糊付けに取り掛かろう!!」
もう、ここまで来たら、あとは同人小説本もできたも同然。
こんこんっ、っとそのとき―――。
「ん? もう、こんな時間なの?」
僕は、自室の壁に掛けている時計に視線を送る。すると、そこには―――、掛け時計は十九時二十五分を示していた。
だから、そんな時間になったから、母さんは僕に夕飯を持ってきてくれたんだね。
「書。夕食を持って来たわ。置いておくから作業をやめてちゃんと食べなさいよ」
僕の自室の扉の外から掛かる声。母さんの声だ。
「はぁーい、母さん」
それは、母さんが僕に夕飯を持ってきてくれたということだ。
「・・・」
そういえば、母さんの声を聞いたら、お腹空いてきたよ、僕。
「むしゃむしゃ。がつがつ。ごくごく―――、んぅっ美味しい」
あー、空腹が満たされる~。
僕はいちど、同人小説本の製本を中断し、別の机で夕食を摂った。
「今日の製本作業はここまでにしようかな」
っと僕は。指も疲れてきたし『おれうざ』の製本をやめて、続きは明日にしよう。そして僕は、僕の日常に戻ったんだ。
『夏の陣』まであと七日。八月七日。
次の日の、午前中―――。今の時間は十時四十二分。
「―――っと」
僕は、『おれうざ―俺のカノジョはうざななじみ~うざーい彼女は俺のかわいいカノジョ~―』と印刷した白の画用紙の表紙を、A3サイズのバインダーの上に、『題名』が下にくるように、裏返してひっくり返す。それをバインダーの左の『段』に合わせて、
「よし、ここで―――」
一冊分の84ページを、ホッチキスで纏めた九部。それを持ってくる。トントントンっ、っとページが、ちゃんと真っ直ぐに揃うように、右側の『背表紙』となる部分を、右手でプラスチック製のアクリル30センチ定規で、バインダーの左端の『段』と小説を挟み込む。
「、、、ボンド。ボンド―――」
僕は手を伸ばし―――、




