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継母の嫌がらせで冷酷な辺境伯の元に嫁がされましたが、噂と違って優しい彼から溺愛されています。  作者: 木山楽斗


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49.聞きたいはずなので

 ラムフェグの復活を知らされてから、一日が経った。

 朝食の際、フレイグ様はいつもと変わらない様子だった。だが、きっと彼にも色々と気になることがあるはずだ。

 そう思った私は、フレイグ様の執務室を訪ねて来た。もしも暇なら、話をしようと考えたのである。


「昨日の内に、手は打っておいた。後は、向こうにいるラフードの部下達からの報告を待つだけだ」

「そうですか……それなら、話しませんか? 色々と聞きたいこともあるはずですし……」

「……そうだな」


 私の言葉に、フレイグ様はゆっくりと頷いてくれた。

 やはり、彼にも聞きたいことがあるのだろう。

 それは、当たり前のことだ。なんとなくわかっていたとはいえ、いなくなった親友が生きていると知って、彼も心穏やかではないだろう。


「そこに座ってくれ。今、茶でもいれる」

「あ、はい。失礼します」


 フレイグ様に促されて、私は執務室の中にあるソファに座った。

 しばらくしてから、紅茶を入れてくれた彼がその対面に座る。


「前提として聞いておきたいのだが……お前は、ラフードの存在を認識しているのか?」

「あ、はい。そうですね……今も、彼はあなたの後ろにいますよ」

「そうか……」

『なんか幽霊みたいな感じだな?』

『まあ、私達は幽霊みたいなものですからね』

『いや、まあ、そうなんだが……』


 フレイグ様が最初に聞いてきたのは、私の認識のことだった。

 私は、ラフードやクーリアの存在を認識している。それが何故かはわからないが、私は精霊となった彼らを見られるのだ。

 この力があったから、私はラフードと出会えた。そして、ラムフェグの復活も知らせることができたのだ。


「出会った時から、お前は不思議な奴だと思っていた。時折、明後日の方向に目線を向けていたからな……」

「え? そうなんですか?」

「ああ、どういうことかと最初は思っていたが、もしかしたらお前は俺に見えないものが見えているのだろうと思った。そして、俺を見守っているというなら、それはきっとラフードだろうとそう予測したのさ」

「そういうことだったのですね……」


 どうやら、フレイグ様は前々から私が何者かの存在を認識していると思っていたようである。

 そして、彼はそれを変に思っていたらしい。

 なんというか、急に恥ずかしくなってきた。そんな風に思われていたなんて、考えてもいなかったことである。


「言っておくが、別に悪い印象を抱いていた訳ではない。多少不思議には思っていたが、お前がいい奴だということは、なんとなくわかっていたからな」

「そ、それはあまりフォローになっていないと思うんですけど……」

「……そうかもしれないな」

「まあ、でも……ありがとうございます」


 フレイグ様の言葉を聞いて、私は少しだけ安心した。

 悪い印象を持たれていなかったなら、とりあえずは良かった。もしもそうだったなら、落ち込んでいた所である。

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