48.真剣な相談
『……彼のことが気になりますか?』
「え?」
『フレイグのことを気にしているのでしょう?』
「あ、えっと……」
そこで、クーリアが私に質問をしてきた。
フレイグ様のことを気にしているというのは、その通りだ。
だが、それを口にするのはなんだか恥ずかしい。そう思って、私は言葉に詰まってしまう。
『……もしかして、彼に好意を抱いているのですか?』
「え?」
『すみません。ですが、あなたの今の態度がそのように思えたので……』
その態度を変に思ったのか、クーリアはそんなことを聞いてきた。
それは、ラフードから散々聞かれていたことである。
だが、からかうような彼とは違い真剣にそんな質問をしてきたクーリアに対して、私はまた言葉を詰まらせてしまう。
「その……自分でもよくわかっていないんだ」
『よくわかっていない……そうですか』
「うん。フレイグ様は、優しくて格好いいとは思うけど、それが好意なのかどうか、よくわからなくて……」
『なるほど、そういうことですか』
私の言葉を、クーリアはとても真剣に聞いてくれた。
それは、とてもありがたいことである。茶化さないで聞いてもらえるのは、こちらとしては嬉しいことだ。
いや、ラフードだって、私が真剣に話したいといえば、相談には乗ってくれただろう。普段は茶化してくるが、いざという時は彼も真面目にはなってくれるはずだ。
『人の気持ちというものは、難しいものです。あなたも、その心を整理するのに、まだ時間がかかるのでしょう』
「そうなのかな?」
『ええ、ゆっくりと考えていけばいいと思います。あなた達には、これからも時間があるのですから……』
「……そうだよね」
クーリアの優しい言葉に、私はゆっくりと頷いた。
確かに、この思いに関しては、これから考えていけばいいのだろう。私もフレイグ様も、まだまだ若者だ。それを考える時間はある。
「でも、そのためにはラムフェグの凶行を止めなければならないんだよね?」
『ええ、そうですね……二つの種族の争いなどというものは、もう二度と起こしてはならないものです』
「うん、平和な世の中が続いて欲しいよね……」
私達にはまだまだ時間があるというのは、この平和な世の中が続くという前提だ。
もしも、ラムフェグの策略によって、二つの種族の争いが壊されれば、その前提が崩れてしまうのである。それは、絶対に避けたいことだ。
ただ、私にできることはあまりない。それが少し悔しかった。
できるだけ、フレイグ様を支えよう。そう考えながら、私はクーリアと話すのだった。




