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継母の嫌がらせで冷酷な辺境伯の元に嫁がされましたが、噂と違って優しい彼から溺愛されています。  作者: 木山楽斗


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18.朝起きて

 私は、ゆっくりと目を覚ました。どうやら、朝が来たようだ。

 とりあえず、私は体を起こして伸びをする。体の調子は悪くない。昨日の夜は、よく眠れたので、元気はいっぱいだ。

 ここが、マルネイド侯爵家の屋敷ではないというのもそれは関係しているかもしれない。フレイグ様との関係は微妙な所だが、少なくとも虐げられることはないという安心感が、私に元気を与えてくれているのかもしれない。


「今日も、天気はいいみたい……うん?」


 カーテンを開けて外の様子を確認した私は、あることに気がついた。

 それは、フレイグ様のことである。彼は、こんなに朝早くから庭に出てきているのだ。


「散歩かな……」


 散歩だろうか。そう思った私だったが、フレイグ様の表情を見ていると、どうもそうは思えない。

 彼は、とても浮かない顔をしている。朝の散歩にそんな顔をするだろうか。


『……お嬢ちゃん、入っていいか?』

「あ、ラフード? えっと……うん、入っていいよ」

『それじゃあ、邪魔するぜ』


 そんなことを考えていると、ラフードがやって来た。寝間着のままのため、少し迷ったが、とりあえず彼に中に入ってもらう。

 このタイミングで彼がここに来た。それは、何かフレイグ様のあの行動と因果関係がある気がした。そのため、彼と話すべきだと思ったのである。


「どうかしたの?」

『おお、お嬢ちゃん、もしかして今起きたばかりか? まあ、確かに朝早いからなあ……』

「うん、そうだよ。それで、ラフードは何の用かな?」

『ああ、そうだ。昨日の内に言っておけばよかったんだが、フレイグの朝の日課をお嬢ちゃんに知ってもらいたいんだ。準備をして、ついて来てもらえないか?』

「……わかった。それじゃあ、戸の前で待っていてもらえるかな?」

『おお、話が早いな』


 私があまりにも早く状況を理解したからか、ラフードは少し驚いていた。

 やはり、彼がここに来たことはあのフレイグ様と関係していたようだ。そう思い、窓から外を見たが、既に彼は見えなくなっている。


『ああ、もしかしてそこからフレイグの姿が見えたのか?』

「うん、実はそうなんだ」

『そうか……よし、それなら俺は外で待っている。まあ、多少時間がかかっても大丈夫だが、なるべく早く頼むぜ?』

「わかった」


 私は、ラフードの言葉にゆっくり頷いた。

 どうやら、フレイグ様の習慣というのは、それなりに時間がかかることであるらしい。それは、一体何なのだろうか。

 こうして、私はフレイグ様を追いかけることになったのである。

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