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継母の嫌がらせで冷酷な辺境伯の元に嫁がされましたが、噂と違って優しい彼から溺愛されています。  作者: 木山楽斗


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17.食事の時も

 私は、フレイグ様とともに食事を取っていた。

 今日の食事は、エリ―ナさんが作ってくれたそうだ。彼女の料理は見た目も華やかで、とてもおいしい。


「……」

「……」

『また、これか……』


 ただ、食事はおいしくても会話は弾んでいなかった。とても静かな食卓なのである。

 それに対して、ラフードは少し呆れているようだ。彼としては、もっと会話をして欲しいのだろう。

 とりあえず、私は会話の種を探すことにする。それはすぐに思いついた。よく考えてみれば、この食事について話せばいいのだ。


「す、すごくおいしいですね」

「……ああ、そうだな」

「エリ―ナさんは、料理上手なんですね?」

「はい、ありがとうございます」


 私は、フレイグ様に声をかけた後、近くに待機しているエリ―ナさんに話しかけた。

 それは、とても自然な流れである。だが、私は少しだけ間違えたことを悟った。これでは、エリ―ナさんの方に意識が行ってしまい、フレイグ様との話があまり広がらないからだ。


「……」

『おい、お前も何か言えよ』


 基本的に、フレイグ様は自ら会話をあまり広げてくれない。そのため、私が話しを広げなければならないのだ。

 だから、私は考える。ここから、どのように話を広げるべきかを。


「フレイグ様は、何か好きな食べ物はありますか?」

「む……」

『おお、それはいい質問だな』


 そこで、私は名案を思い付いた。食事中なので、好きな食べ物について聞けばいいと思ったのだ。

 質問形式なので、これならフレイグ様も答えを返してくれる。そこから、会話も自然と広がっていくはずだ。


「特にないな」

「あ、そうですか……」

『おいおい……』


 しかし、私の予想は大きく外れてしまった。

 特にない。その冷静で淡白な答えは、私の次の言葉を詰まらせる。


『お前さ、好きな食べ物くらいあるだろうが。なんで、それを正直に言わないんだよ。お嬢ちゃんと会話をする気はないのか?』


 ラフードは、フレイグ様の対応に怒っていた。

 確かに、好きな食べ物くらいはあるのではないだろうか。何もないなんて、そんなことがあるのだろうか。

 もしかして、フレイグ様はラフードの言っている通り、あまり会話をしたくないと思っているのかもしれない。だから、こんなに淡白な答えを返してくる。そういうことなのだろうか。


「……」

「……」


 結局、私達はそれから会話をすることなく淡々と食事をした。

 その静かな食卓に響いてくるのは、ラフードの愚痴だけだった。

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