0.プロローグ
魔王が倒されて数百年。
その後彼の者の正当な後継者は現れず、魔界は後継者争いが起き、疲弊し規模が縮小していった。
一方、人間界は魔王を倒した勇者を讃え、その仲間を盛大に祝福した。
各国から派遣されていた勇者一行はまた地元に戻り、そしてその国にて没した。
しかし勇者だけは王女と結婚せず、どこかへと消えていったと言う――…
これから話すのは、その数百年後、勇者の出身国・リスブロン国のお話。
―――
リスブロン国は魔王討伐後、各地に魔法学校を作り、魔力のある者は希望すれば誰でも入学出来た。
数年学んだのち、さらに学びたい者は魔法騎士学校へ。
またさらに学びたい場合は、魔法使い科か騎士科を選び、王都にある寄宿舎に入らなければならない。
魔法騎士と自称できるのは、毎年その中から数名しか選ばれた者だけだ。
ジゼル・シャリエールは幼い頃、貴族であるシャリエール家に養子に入った。
シャリエール家の分家に子供が出来ず、遠縁から呼ばれたのだ。
バンジャマン・シャリエールも同じく他の分家に養子として入っていた。
同い年というだけでよく顔を合わせる羽目になった二人は、ちは繋がっていないが従兄弟という関係にあたり一緒に行動させられていた。
二人はもう十八歳。
魔法騎士学校の最終学年生になった。