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【実話】晴れの門出の妨げならば、せめて男らしく潔く・・・と!  作者: たたら
第1章 僕から彼女へ1回目の告白
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第1話 初対面<2219.01.某日>

挿絵(By みてみん)


 20時50分。


(約束より少し早いけど、遅れるよりいいか)


 指定された場所に来てはみたけど・・・・とても静かだ。1年で1番寒い時期の夜。来たことのない公共施設。遅い時刻のせいか通路に立っている僕には物音は聞こえない。あたりにこれといった明かりも見えないので、寒さと相まって余計に静けさが強調されているようだった。

 このなにやらとても重そうに見える扉の向こうにあの女性はいる・・・はず。知らない人ばかりの中にこれから入っていこうとするだけでも緊張するのに、あの女性が居るのかと思うと余計に緊張する。


(なるようにしかならない・・・・ぞっと!)


 本当に重かった。外に音を漏らさないためだろう。重いだけではなく厚みもあった。想定外だったので、思いのほかゆっくりドアを開けることになってしまった。


(軽い軽い。今の僕のこの気持ちの重さに比べたら、こんなドア軽い軽い・・・・と思っただけで口には出さなかった。)


 そっと開けたドアから中に入っていく。小さなホールだった。100人は軽く入るけど、200人は入らないだろうな。そんな広さだった。客席は大きく左、中央、右の3つのブロックに分かれている。客席側からみて左と中央の間の階段状の通路をゆっくりステージに向かって歩いて降りていく。

 女性4人と男性が10人ほどだろうか。客席の1列目と2列目に数人座っている。その中に僕の同級生の土井君と、あとひとり先日お会いしたこの団体の植木代表が居た。ステージ上には先日の公演で一目惚れした高島礼香さんが居た。彼女に視線を送りながらゆっくりと歩みをすすめて、お邪魔にならないように4列目の座席に腰かけた。

 みんな打ち解けて練習しているようだった。公演の予定があるわけではないので張りつめた空気感はなかった。いたって穏やかな雰囲気で練習しているようだった。知らない人がほとんどだったので、ひとりひとりの様子を見てはいたものの、どうしても高島さんに視線は集中していた。


「じゃあ、そろそろ終わりにしようか」

 植木代表が座席を立って皆にそう伝えた。

「ちょっと集まってもらっていいかな」

 会場内に散らばっていた団員の人達が植木代表の傍に集まっていく。どうしていいのか分からないけど、とりあえず僕はそのまま座席に座ったまま待機していた。

「今日は新しい団員の方を紹介しますね。布施くーん・・・・」

「あっ、ハイ」

 慌てて座席を立って皆が集まっているところに急ぐ。

「じゃあ、布施君から挨拶をお願いします」

「はい。不施岳人といいます。今は東京に住んでいるのですが、3月の末に帰郷することになりましたので、植木代表にお願いしまして、一緒に活動させていただくことになりました。どうぞ宜しくお願いします。」

 この時のみんなの反応は何も思い出せない。かなり緊張していたためだと思う。この後、この日練習に参加していた団員ひとりひとりの自己紹介があった。


(近くで見るとやっぱり綺麗だな。高島さん)


 綺麗な女性だから一目惚れしたのかというと、そういうわけではない。それは3番目か4番目くらいの理由で、それとは違う理由で彼女に一目惚れしていた。

「あと今日はみんなに出来上がったジャケットを配りますね・・・・布施君は・・・・後日ね。多めに注文してあるから余るはずなんだけど、サイズの問題もあるので。」

「あっ、はい。ありがとうございます。」

 状況がよくわからなかったけど、団体名の入ったジャケットを注文していたらしく、それがこの日たまたま届いていたようだった。どのサイズも多めに注文はしてあるのだけど、僕のサイズが本当に余るかはわからないので、後日にという意味だった。

 ひとりひとりに注文したサイズのジャケットが配られていく。みんなひとりひとり感想を言っては受け取ったジャケットをそれぞれ着ていく。

 そのうちに、僕の正面に居た高島さんと数人が一緒にその場で半回転ジャンプして僕に背中のデザインを見せてくれた。満面の笑顔で、でもどこかはにかんだ表情を見せている高島さん。こうした表情を見せるのは素の彼女なのかどうかはこの時に僕には判断できなかった。


(また会いたいな。次はいつになるだろうか)


 期待を胸にこの日の初対面は終わった。

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