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桃花神鷹記  作者: 守田
江湖の守護者編
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第7話 皇帝暗殺(中)

「有り難うございます。分かりました。」


「それでは、我ら林と孫の二人を合わせて7名としましょう。」

「申し出られた方は作戦をご相談しますので、残ってください。」


名乗りを上げなかった者が出て行くことを確認すると、林友侠が話しを続ける。


「早速、私から作戦をご提案します。」


「完顔亮のいる燕京は数十万の大軍に守られています。」

「従って、奴が開封府を訪れているところを狙います。」


その時、彼の話しに割って入る者がいた。


「しかし、そんな好機があるのか?」


そこには、どうやって屋敷に侵入したか分からないが、先日江湖を脅かした者が立っていた。


「陸殿、どうしてここに?」


林友侠の声に皆が反応し、どういう訳か陸破空ではなく俺の方を見る。


「墨教主に助けられた命だ、教主のために使わせてもらう。」

「わしも名乗りを上げるぞ。」


陸破空ほどの腕前ならば断る理由はない。大いに役立つだろう。


林友侠は頷くと、作戦の説明を続ける。


「完顔亮が色魔のケダモノであることは周知の事実だ。」


「狐山派の集めた情報では、近いうちに開封府の太廟で不埒な行いに及ぶことが分かっています。」

「しかも、太廟は開封府の東側。軍営が広がる西側より都合が良く、そこを狙います。」


太廟とは、祖先の位牌を祭る建物だ。

そんな場所で不埒な行為をするとは、全くもって許せない奴だ。


皆、憤慨の表情を浮かべ、中には拳を机に叩きつける者もいる。


「決行はひと月後。具体的な戦い方は、開封府へ向かいながら考えましょう。」


開封府への道すがら、宿で食事をとることになった。


俺は桜梅大侠を除き誰とも交流がないから、特に話し相手もいない。

すると、陸破空が話しかけてきた。


「墨殿、勝算はどれくらいあると思う?」


それは全員が気にしているところだろう。


「高いと思っていますよ。」


「だが、もし護衛を連れていたら分かりません。」

「いかに達人が揃っているとは言え、相手の数次第でしょう。」


彼は頷くと、肉を頬張り酒で流し込む。


「同感だ。」


「そこで提案だが、上手くいかない時は、わしの蜘蛛針で仕留めようと思う。」

「正派は暗器など使わんだろう?だから、援護を頼む。」


そうでもない。俺は以前に、青城派の断掌門から青峰針を放たれたことがある。


「分かりました。暗殺に行くのだから、手段を選んでいる場合ではないでしょう。」


「しかし、護衛の数によっては撤退する勇気も必要。命を無駄にするつもりはありませんよ。」


陸破空が同意し、この話しは終わりとなった。



開封府に入ると、太廟の外で身を潜め、完顔亮の到着を待つことにする。


「いよいよ、この時が来ました。作戦を確認しましょう。」


「護衛がいる場合は、全ての出入り口に配置されるでしょう。」

「その時は、全員で突入します。」


「中に入ったら、玄掌門、明心大師、静玄師太には、後方の抑えをお願いします。」

「完顔亮に付いている側近は、墨教主、陸殿で対応してください。」


「そして、完顔亮は林と孫、乾殿で仕留める。」


皆、反論はないといった様子で頷く。


数日待つと、予測通り完顔亮がやってきた。


しかし、残念なことに100名ほどの護衛を連れていた。

不埒な行為が民に知られてもお構いなし、そういうことだろう。


「仕方がない、作戦通り突入します。」


「もたもたしていると応援の兵が駆け付ける。迅速に仕留めましょう。」


林友侠の合図で、全員が駆け出す。


まずは桜梅大侠が先頭に立ち、太廟に進入した。

続いて、俺たちも斬り込んでいく。


「後方は任せてくれ。」

「皆、振り返らずに行け!」


玄掌門、明心大師、静玄師太は、追ってくる護衛と戦いを始める。


多勢に無勢、それに応援の兵が到着すれば俺たちは終わりだ。

やはり、時間はかけられないだろう。


完顔亮の元に着くと、奴には二人の護衛が付いていた。


「完顔元宜か、正三品の兵部尚書が何故ここに?」


「もう一人は、江湖で殺し屋として悪名高い華林九か。」

「これは想定外だな…」


林友侠は、つぶやきながらどう攻略するか悩んでいるようだ。


「林掌門、手をこまねいている時間はないぞ。」


俺の言葉に頷くと、彼は攻撃態勢に入る。

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