表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
桃花神鷹記  作者: 守田
江湖の守護者編
38/45

第4話 未知のウイルス(中)

「墨教主、待っていたぞ!」


そう言うのは林友侠だ。


「林掌門、状況を教えてくれ。」


神鷹教と臨安府の情報を共有する。

実は、ここに来るまでに状況を整理し、対策の算段ができていた。


「いくつか、分かっていることがある。」


「一つは、この病は江湖の各門派を狙っているということ。」

「二つ目は、広がり方から見るに、病ではなく毒ということだ。」


「もう一つ、毒ならば普通は水源に仕込むが、何か別の方法で投じている。」


桜梅小教は頷くが、表情は曇ったままだ。

毒の種類を特定できた訳ではないのだから、当然であろう。


「原因を調べるより、犯人をあぶり出す方が先決だ。」


「初めに狙われた神鷹教に、何らかの因縁があるはず。」

「俺に策があるから、ここは任せてくれ。」


すると、孫无仇が口を開く。


「しかし、すぐに犯人が見つかるとは限らない。」

「毒となれば、墨教主だけが頼り。皆を救うことが先決では?」


さすが、彼は冷静沈着だ。


「そこは心配無用。百仙派の百仙丸で回復することを確認した。」

「百仙丸は大量に作っているところだから、各門派に届けよう。」



そう言うと、俺はきびすを返して九鬼宮へ戻る。


「長老方、これから毒を投じた敵をおびき出す。」


「教徒には、体調が悪いように振る舞うよう通達してくれ。」


二人は頷くが、馬長老が質問を投げかける。


「おびき出せたとして、未知の敵とどうやって戦いますか?」


しばらく考え込むと、問いかけに答える。


「恐らく、敵は我らが知っている者だろう。」


「様子を見ながら動く必要はあるが、少数なら九鬼宮の中へ誘い込む。」

「そして、逃げられないように出口をふさぐ。」


「とにかく、この件は神鷹教で片をつけるのだ。」


俺の覚悟を知ると、二人に緊張が走る。


そして、準備を整えると三人で敵を待つことにした。



数日もすれば、敵の正体が分かった。


馬長老が俺の前に出て、複雑な表情で挨拶する。


「教主、ご報告します!」


「九鬼宮の外で、二人の男が様子を伺っています。」

「一人は、吐蕃との戦いを首謀していた陸破空、もう一人は…」


「どういうわけか黒玄でした。」


犯人を特定できていないから、監視は教徒でなく彼に任せていた。


馬長老は驚いているようだが、俺にとって黒玄は想定の範囲内だった。

神鷹教に恨みを持っていて、我らを欺く毒を扱える人間は少ないからだ。


それより、また陸破空が一枚噛んでいる方が驚きだった。

一体、何が奴をそこまでさせるのか。


「分かった。相手が二人ならば、作戦通りここまで通してやれ。」


翌日、好機と見た黒玄と陸破空は九鬼宮に進入した。


教徒は被毒を装っているから、簡単に我々のいる広間までたどり着いた。


「墨教主、神鷹教もこんなものか。」

「もし曹教主だったら、いち早く毒の原因を特定していただろう。」


黒玄だ。

こいつは好漢とは程遠い、ここで決着をつけるべきだろう。


「まず、目的を聞こう。陸殿の目的は想像できるが、黒玄はどうしたいのだ?」


奴は笑みを浮かべ、馬長老と江長老へ視線を移しつつ話し出す。


「教主には、俺か馬長老の方が適任のはずだ。」


「しかし、馬長老はお前に屈服したからもう必要ない。」

「そう言うわけで、全員殺してやろう。」


それを聞いた俺は、声を出して笑った。


黒玄と言う男は、愚かで気の毒とすら言えるだろう。


「何がおかしい?」


奴の表情が怒りに変わっていく。


「それだから、お前に教主は土台無理なのだ。」


「言っておくが、九鬼宮で毒に侵されている者は一人もいない。」

「ここから簡単に出られると思わないことだな。」


俺の言葉に、みるみる顔色が悪くなっていく。

黒玄では、二人の長老に敵うかどうかも怪しいのだ。


「もう良い。こうなれば実力勝負だ。」

「墨教主はわしに任せろ!」


そう言うと、陸破空は蜘蛛功で襲い掛かってきた。


しかし、奴の動きは事前に察知している。

指を曲げ伸ばしさせコキコキと音を鳴らし、鷹爪擒拿法の準備は整えてあった。

百仙功でシュルシュルと音を立てる。


そして、陸破空の攻撃をかわしざま、関節技で瞬時に奴の右腕をからめとる。


「その技は一度見たぞ!」


陸破空は腕を引っ込めて、軽功で後ろへ飛び退く。


「そうですか?」


俺は片手を突き出し、引っ込めた奴の手を握る。

そのまま投げ飛ばすと、同時に骨を折った。


「ぐあっ!」


陸破空は、二度も俺に腕の骨を折られたことになる。


「変幻自在と言うわけか。わしの負けだ。」


奴は座り込むと、観念したように言った。


黒玄の方は、長老二人を相手に押されていた。


「長老方、黒玄には毒の成分を聞き出したい。殺さないでくれ。」


ついに黒玄を取り押さえたその時だった。


「狼蛛!」


陸破空の掌から糸が大量に吹き出し、俺に巻き付いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ