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桃花神鷹記  作者: 守田
仇討ちと義侠編
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第8話 仇討ち再び(後半)

いよいよ仇討ちを果たす時が来た。


俺は、槍の穂先を夏教主へ向ける。


「次は、夏教主にお相手頂きたい。」


今まで黙って成り行きを見守っていた林掌門が前に出る。


「なぜ彼女を指名するのかな?」

「もし良ければ、私がお相手しよう。」


しかし、それを制して夏教主が舞台に上がった。


「墨殿が私を指名する理由が分かりました。」


「神鷹教、墨小邪の縁の者ですね。」


気付いたか。

舞台に引きずり出したのだから、知られたところで構わないだろう。


「墨小邪は俺の兄です。」


「さぁ、兄を倒した技を見せてください。百毒邪教で迎え撃ちましょう!」


夏教主と掌が合わさると、周りに風が巻き起こっていく。

毒が混じり合い、禍々しい紫色の煙に包まれる。


二手、三手と戦ううちに、彼女は防戦一方になった。


しかし、これは俺の内力が勝っているからではない。


「この機会を15年以上も待ったんだ。」

「どういうつもりで手を抜いているのか知りませんが、俺は遠慮しませんよ。」


そう言うと、内力全開で襲い掛かる。

そして、俺の左掌が彼女の肩へ一撃を与えた。


「これで終わりだ!」


右掌を夏教主の胸へ突き出すと、並外れた軽功で割って入る者がいた。


「墨殿、そのくらいにしてもらえないか。」


俺と彼女の間には、林掌門が立ちはだかっていた。

まさか、武侠大会の舞台に上がってまで止めに入るとは思わなかった。


こうなればこちらに勝ち目はない、一撃で仕留められなかった俺の力不足ということだろう。


「二人がかりとは卑怯な。」

「林掌門、見損ないましたよ。」


後ろへ飛び退くと、ここから退散することにした。


すると、退路には青城派の掌門、断虹子が回り込んでいた。


「八法殺法!」


俺は彼に立ち向かっていくが、罪のない者と戦うつもりはない。

断掌門の攻撃をすり抜けるようにかわす。


そして、軽功で壁を越えて行こうと飛び上がる。

そこに、今度は崑崙派の掌門、玉虚道長と、華山派の掌門、王重陽が襲い掛かってきた。


「つっ!」


さすがにかわしきれず、斬撃を受けてしまった。


だが、かすり傷程度。

壁を越えた俺は、そのまま走り去る。


しかし、ここは武侠大会。英雄が集まる中で、そう簡単に脱出出来るはずがない。

さらに、武当派の掌門、玄清が襲い掛かってきた。


とうとうここまでかと思った時、


「小風、無事か!?」


そう言って駆け付けたのは百仙姑だった。


彼女は玄清に向かっていくと、見る見るうちに彼を追い込んでいく。


「お前など、私からすれば子供も同然だ。」


百仙姑がとどめを刺そうとした時、玄清の背後から発頚が飛んできた。


体を横に回転させて、どうにかかわす。


「一指金剛弾をかわすとはさすがだ。」


「しかし、どうにも禍々しい技を使う先輩だ。」

「ここで成敗させて頂く。」


そこに現れたのは林掌門だった。


彼の易筋経と、百仙姑の百毒邪教がぶつかり合う。


実力は全くの互角といったところだ。


「師父、いくら何でも分が悪い。ここは逃げましょう!」


俺が声を掛けたその時だった。


「林家双刀法!」


林掌門の横をすり抜け、雪梅夫人が現れた。


百仙姑は、刀などに動じぬとばかりに一刀目をはじき返す。


「ぐはっ!」


しかし、二刀目が彼女の腹を貫いた。


「油断したわね、これは宝刀「漏影」。この世に斬れぬものはない。」


何てことだ。

如何に悪人とは言え、俺の師父。しかもたった今、命を救ってくれたのだ。

見捨てることなど到底出来ない。


彼女を背負うと、軽功でこの場から逃げることにした。


俺に危害を加えるつもりがないのか、林掌門が追ってくることはなかった。

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