表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
245/444

3-8 ピロートーク

「ふう……」


 吉野さんは、俺の裸の胸に頭を乗せた。三月というのに、ふたりとも汗びっしょり。俺の手に指を絡めてくる。


「私……初めて……」


 そのまま黙っちゃったな。


「初めてイキましたね」

「……」


 恥ずかしそうに、俺の胸に顔を埋める。


 やっと痛くなくなってきたのもあるだろう。それに俺のやり方に慣れたのか、高まるリズムが合ってきてたし。


「平くんが悪いんだからね。私をこんなにエッチにしちゃって……」


 そのまま、俺の胸に口を着けて、ふざけて吸い始めた。


「かわいかったですよ」

「……恥ずかしい」


 それにしても吉野さん、気のせいか最近、よりきれいになってきた。それに少し脂肪が落ち、スリムになった。胸がわずかに小さくなった気はするが、その分、胸のハリも良くなって、触っても芯がしっかりしてる感じ。全体に肌ツヤとかいいし、顔もみずみずしい。


「吉野さん、最近、肌きれいですよね」

「うん……」


 せっせと俺の胸の汗を舐めながら、頷いた。最初はふざけてたのに、なんかいつの間にか夢中になってるな。


「ここのところ、お化粧の乗りも良くてね。……十代に戻ったみたいに」

「見た目も若返ってますよ」

「やだ、お世辞」

「いや本当に」


 マジだ。一年前に初めて会ったとき、俺が二十五歳、吉野さんは二十八歳だった。仕事上の段取りの良さこそ三十代マネジャー並なんだが、そのときでも、見た目だけなら俺より若くて新入社員といった感じだったからな。それが最近、もっと若く見える。


 吉野さんは九月生まれ。今は三月だから二十九歳になってるわけだが、新入社員どころか、タマと同じくらい――つまり女子大生あたり――に見えなくもない。


「……きっと、好きな人ができたから」

「そうかもしれませんね」


 パートナーができて定期的にエッチな関係を持つようになったから、多分ホルモン分泌とかが安定してきたんだろう。そんな気がする。


「ペレだっけ? 火山の女神のこと、整理しようよ」

「ペレ攻略の話か。……たしかに考えなくちゃとは思ってました」


 エロ展開は諦めて、ほっと息をついた。どうせこれも、いずれ決めないとならなかったし、いい機会ではある。


「まずペレは女神だから、倒すことは多分できない。だからなんとか封じるしかない。これが原則ですよね、吉野さん」

「天使のイシスさんによると、天界が説得することはできないって話だったわよね」

「ええ」


 女神と言っても天界に所属する神ではない。だから神が命じて止めさせることはできない。同様の理由から、イシスの黒真珠・白真珠での封印は無理。


「魔族でもないから、ソロモンの聖杖はなんの効果も持たないのよね」

「ええ。バスカヴィル家の魔剣は、別世界の混沌神の力を持つ。よってフルパワーを使えばおそらく封印か討滅はできるものの、俺が死んじゃうし」

「そもそも平くんの寿命を戻すために延寿の秘法を探してるんだから、意味ないしね」

「ええ。それに残寿命が足りないから、起動自体できないだろうって、ドラゴンロードのエンリルも言ってたわけで」


 ミネルヴァの大太刀は、元が女神のアーティファクトだけに、ある程度の牽制効果はありそうだという。あれ、雷系の魔法も出せるからな。


「唯一、封印できる可能性が高いのは、ペルセポネーの珠だけって話だったわよね」

「ええ」


 ペレは言ってみれば野良女神。その意味で、同じく野良女神たるペルセポネーのアーティファクトは力を持つだろう――。そう、天使イシスは教えてくれた。念のためドワーフの地下迷宮最深部でペルセポネーと冥王ハーデスを呼び出して確認してきたから、間違いはない。


「いずれにしろ、作戦は考えとかないとまずいわよね。どういう手順で、封印まで持ち込むか」

「ええ。一応、頭の中で検討してはみました。近々、パーティーのみんなから意見をもらった上で再構築し、ハイエルフのケイリューシ国王と調整しようかと。あと現場を下見しないと。……それと、ダークエルフのブラスファロン国王にも協力を仰がないといけませんし」


 やることは満載だ。まあどんな業種でも、仕事なんてこんなもんだよな。俺はたまたま異世界担当なだけで。


 特に、猜疑心と被害意識の強いダークエルフを説得するのが難しそうだが、なんとかなるだろ。思い悩んでも仕方ない。当たって砕けろ精神で、いの一番でアプローチしてみるわ。ダメだったらダメで戦略の練り直しが必要になるから、最初に決めときたいし。


「絶対、誰も死なない作戦にしようね」

「当然ですよ、吉野さん」

「……なら安心か」


 微笑むと、吉野さんは体を倒して、また俺に抱き着いてきた。


「じゃあ、きちんと作戦を考えたご褒美しないとね……」

「その言葉を待ってたかも」


 俺は、吉野さんを仰向けに横たえた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ