2-3 レジデンシャルスイートの夜
それからはまたしてもよく覚えていないw
とにかく気がつくと風呂上がりのソファーで、ローテーブルを挟んで吉野さんとコーヒーを飲んでた。最近観た映画とか面白かった本とかの、雑談を楽しんでる。
備え付けのコーヒーメーカーで淹れたので、部屋中にいい香りが漂ってるわ。
吉野さんは、すとんとしたワンピースっぽい部屋着に着替えている。俺は自分ちの夜と変わらず、Tシャツとジャージだ。
ゆるい部屋着なんで、吉野さんの体の線はよくわからない。それでも胸の大きさは隠しきれない。柔らかそうな生地を、下から強く押し上げている。
会話していても、ついその体に目が行ってしまう。俺の視線を感じているのか、ときどき、吉野さんは恥ずかしそうにもじもじしている。
今こうして真面目にビジネス書の話をしているかわいい上司が、三十分も経たないうちに生まれたままの姿で横たわり、俺が動くたびに荒い息で名前を呼んでくれるんだ。か細く。
そう思うと夢のようだ。てか夢だろこれ。俺、天国で夢見てるんだ絶対。
「こっちに来ましょうか」
我慢できずに声を掛けた。もう辛抱たまらん。
「う、うん。平くん」
ぎこちない仕草で、吉野さんが隣に来た。それでも、俺とはこぶしひとつ分……いやふたつ分くらい離れてるな。恥ずかしげにうつむいて、ワインのせいもあるだろうけど、頬が火照ってる。
「もっと近くに」
「はい。平……ご主人様」
ぴったり寄り添ってきた。体に吉野さんの柔らかな体と熱を感じる。手を回すと、くたくたっとしなだれかかってきた。
キスしながらそっと胸に手をやると、部屋着を通して下着を感じた。風呂上がりだというのに、やっぱりわざわざ下着を着けてくれたんだな。俺に見てもらうために。
太ももを撫でると、吉野さんがもぞもぞ身じろぎした。そのまま部屋着の奥に手を滑らす。
「だめ……」
言われたものの、特に嫌がる様子もない。じっとしているどころか、誘うように体からすっと力が抜けた。そのまま奥に進むと、下着を感じた。表面に凹凸を感じるから、レースとかなんとか、結構複雑な生地だろう。汗ばむようにしっとりしている。吉野さん、コーヒーを飲みながらも俺とのことを想像してくれていたのかな。そうならうれしい。男として本望だ。
「吉野さん……」
もう一秒ですら我慢できず、裾を掴んで一気に脱がせた。
晩飯のとき、どんな下着だろうかとあれこれ妄想していたが、上品系でも妖艶系でもなく、白の清楚なかわいい系だった。白くてすべすべの肌にフェミニンなレースの下着を実際に目にすると、これこそが吉野さんらしいと思えてくるから不思議だ。
ただ胸のカップが普通のものより随分小さく、胸が大きく開いている。半分くらいじゃないか、これ。だから吉野さんの形のいい胸が、カップの上で盛り上がり、きれいな曲線を見せている。
形が形なんでこの下着、ただかわいいだけじゃなくて、小悪魔的な魅力があるな。
解いた髪が、下着に締められなおのこと盛り上がった胸にかかっている。俺に見られているせいか呼吸が少し速くなっていて。胸が上下するたびに、柔らかな髪がはらはらと胸から滑り落ちた。
「かわいいです」
「買って……良かった」
俺の首筋に唇を着けるようにして囁く。吐息が熱い。もうダメだ。吉野さんをひっつかむとベッドへと突進した。