#3 表情のワケ
今日は9月30日、明日は劇の本番である
ついに明日だとワクワクしてるやつ
やっと明日で終わると面倒くさがるやつ、様々だ。
そんな中、衣装の仕上げをしていた俺達の所に
女子達が走ってきた
「嵐!ちょっとごめん!主役やってくれない?」
「へ?ちょっと何言ってるか分からないな」
「神木が舞台準備で脚立から落ちて捻挫しちゃって、もう明日は無理そうなの。」
「相手も美咲ちゃんだし、どうしても代役は探さないとだし、なんとかお願いできないかな!全力でサポートするし!」
「はぁ…。じゃあ台本をくれ」
「ありがとう!練習するから早速体育館のステージ行くよ!」
俺は腕を引かれ体育館まで走って行った
ステージ上ではジュリエットの衣装に身を包んだ
美咲がセリフの確認をしていた
にしてもあいつ、こう見たら綺麗だな
神木と俺の体格が似ていたので難なく衣装も着られたしそこは大丈夫なのだが、
明日が本番なのにセリフがなぁ…
その日は読みながらなんとか練習を終えたが、覚えれるだけのセリフは覚えないとな。
その日の夜はずっと暇があれば台本を覚えることに注力した。
そして今日、10月1日が訪れた
本番である。
昨日の今頃はまだ主役を変わることになるなんて思っていなかったな、などと思いながら制服に着替え、家を出る。
いつもの道を歩きながら、朝から台本を読んでいる。理由は 劇の成功と言うよりは、自分が赤っ恥を書きたくないから。
1度HRに集まり、クラスごとに体育館に移動、文化祭が始まった。
午前の最後の部が劇なので
それまではまだ時間がある。美咲と激のことを話しながら他の学年の出し物を見ていた。
そして迎えた本番、円陣を組んで気合を入れようとしているが、覚えていたはずのセリフが飛んでいる。マズい。
なんとか始まる15秒前まで台本を見て思い出せた
開演の音が鳴る。
順調かどうかはわからないが、なんとかバルコニーへジュリエットを迎えに行くシーンまでたどりつくことができた。
昨日10回以上通して練習した訳だが、何故か美咲の目を見て、演技であるはずなのに愛のセリフを言うことが、とても緊張してしまって
なかなか出来ない。
どうしてなのかはわからないが本番で同じくグダグダにする訳には行かない。
俺は結局、本番は恥ずかしさをとっぱらってその場のアガっているテンションに任せて愛の言葉を告げた
練習の時から思っていたのだが
このシーンの時、アイツなんかいつも顔赤くないか?
※ ※ ※
なんとか劇が終わり、クソ暑い体育館に疲れて
外で俺は風を浴びていた
「わぁ!」
「つめてっ!」
「驚いた?とりあえず、急に大変だったとは思うけれど、おつかれ」
「あぁ。まあなんとかなってよかったよ」
そう言えば、美咲とこんなにゆっくりと、二人きりで話したのは
転入してきた日一緒に帰って以来な気がする。
「そう言えば、練習の時から思っていたが、なんで俺が告白するシーンで演技なのにあんなに顔赤くしてたんだ?」
「うるさいわね!別に照れてるとかじゃないから!」
「あ、わかったぞ!お前が顔赤くしてたわけが!」
「…なによ、最初から知ってたくせに」
「お腹痛かったんだろ!お前緊張しぃだからな〜。昔っから大事な試合の前になるとトイレ行ってたよなー。」
何故か無言で美咲が帰って行った
え、俺なんかまずいこと言った?
「バカバカバカバカバカ!!!嵐のバカ!!
小学校の頃からそう。なんで気づかないのよ。なんでよ!」
その夜、美咲は主役だったにも関わらず、打ち上げの集合時間になっても来なかった。
「おい彼氏!呼んでこいよ!」
ユウキに言われて美咲の家へ走る
いや、言われなくても行くつもりだったよ?あいつは今回の主役だったんだから。行くつもりだったよ。つもり。
インターホンを鳴らす、駐車場には自転車がある
家にいるのは確かなのだ。
外から叫ぶ
「美咲!出てこい、さっきは悪かったよ
ちゃんと話そう」
美咲が部屋着から着替えて出てきた
腕をぐっと掴み走る、少しだけ雨が降ってきている
打ち上げをしている店につく少し前に袖を掴んで止められた
「あのさ、少し話がしたい」
急に止められた
「何?雨強くなってくる前にささっとはなそう」
「私実はね、あんたのこと小学校の頃から、ずっと」
「「おーーい!!!!」」
みんなが走ってきた
「やっと帰ってきたな!心配したぞ!まだまだカラオケ時間は余裕あるから行くぞ!」
「え、ちょっ…」
ま、今度話せばいいか。
今日はこのまま楽しもう。
それから2時間追加して思いっきり歌い切った。
初めて打ち上げなるものに参加したが、悪くねえな。




