第八回
ひ~、しんどい。でも書くのがたまらない。もういろいろと考えてる暇などありません。どんどん書くだけです!!よろしく!!
第八話
図書室の司書の渡辺たまき先生は、司書室のデスクに座ったまま、ふと考えた。
思ったんだけど、司書の仕事に就いてから二十年。いろいろな学校を転々としたけれど、この学校の今の図書委員たちほど、
本当に真面目に仕事をしてる人たちは見たことない。
マギーがたまき先生と話す。
「へー、図書委員の人たちッテ、今までの人はほとんど仕事も何もしていなかったんデスカ」
「ええ、図書委員の仕事どころか、図書室に来ることすら少なくて、貸し出しカウンターに二人座ればいい方だったですかね~」
「IT‘S LAZY!」
その時ゆりえが、たくさん本を抱えながら、「マギー、ラベル貼るの手伝って!いっぱいあるから」
「OK!LET’S DO IT!」
「何で今の代はこんなに働くの?」と、たまき先生。
* * *
図書室内。
机でテキストとノートを広げて勉強している男子生徒がいた。
すかさず梨子が、「すみません、図書室での学習はご遠慮いただいているんですが……」と、声をかける。
「は、はい。すみません」
ノートをカバンにしまう男子生徒。椅子を引いて出ていこうとしていた。
「あの、出ていかれる時は椅子を元に戻してくれると助かるんですけど……」
しぶしぶ男子生徒は椅子を戻しながら、「チッ、いちいちうるせーな、小学生が!」と、愚痴を吐き捨てた。
その態度でも、梨子は去り行く男子生徒にお辞儀をした。
非礼な態度にも誠実な態度で返す。それが図書委員。
* * *
再び司書室。
「本当によく仕事してくれる人たちねー。おかげで任せておいても安心だし、わたしの仕事もかなり楽になったし、ってかヒマだし、こんなんでマトモに給料もらってていいのか逆に不安になるわ」と、たまき先生。
ゆりえとマギーがバタバタと司書室で仕事をこなしてる。
「マギー、それ違うよ!こっちこっち」
わたわたと焦りながら仕事をするゆりえたち。
* * *
貸し出しカウンターでは、風紀とかなこが座っていた。
女子生徒が本を四冊持ってきた。
「あの~、これ全部借りたいんですけど」
「あ、はい」と、本を受け取ろうとするかなこ。
そこに風紀が、
「あ、すみません。本の貸し出しは一人一度に三冊までなんです」と、言った。
「え、そうなんですか?」
女子生徒は一度戻って本を選んでいた。
「風紀先輩、教えてくださいよ」
「えっ、知らんかったん?」
* * *
関口と田嶋は返ってきた本を棚に並べていた。
「関口、見てよ。そっち巻数順に並んでないよ」
「ん?ああホントだ。まぁ、よくあることだしな。かたしとくべ」
「ちなみに『かたす』は福岡では『直す』の意」
* * *
再び司書室。
たまき先生は机に突っ伏していた。
ヒマ過ぎる……。
ん?今日は火曜か。イオンの食料品が安くなる日ね。
そういえば、今日、八時からママさんバレーがあるわね。用意しとかなきゃ。
あ~、もう!今日はカレーにワラスボ入れてしまおう。
その時、マギーが大声で、「ユリエ、全部出来たヨ!」と、言った。
「じゃ、次の持ってくる!」
バタバタバタと仕事をこなすゆりえとマギーの二人。
なぜそこまでして働くの?その先にある光とは?
* * *
図書室で大声で談笑している三人の女子生徒がいた。
「でねー、それがさー」
「マジー、それ?」
「いやいや、ありえないってソレ」
キャハハハハと笑い合う女子生徒たち。
梨子がやって来て、「すみません、あの、図書室内ではお静かにお願いします」
「なーにーアンタ?あんたがウルサイよ」
「わたしらが何しようが、別に……」
女子生徒の一人が感づいたように、「ちょっとちょっと、この人アレ!」
そう、龍虎コンビの噂はどこまでも広まっている。
「「「どうもすみませんでしたー!今後気をつけます!」」」
虎の衣を借る龍。
「いえいえ」
* * *
たまき先生はもう、ヒマ過ぎて落書きしていた。
ルフィ コナン スーパーサイヤ人孫悟空
仕事したい!頼むからわたしに仕事回して!!
「マギーさん、あなたのフルネームは?」
仕事中のマギーは、適当に「正確にはマーガレット・ターナーです!」とだけ言った。
「マーガレット?」
たまき先生は辞書を手に取る。
「マーガレット、マーガレット……。何でしたっけ?ええと、あ、花の名前ね。日本では『木春菊』キク科の半耐寒性多年草モクシュンギク属の花。ギリシャ語で『真珠』の意味。花言葉は『恋占い』と『真実の愛』『信頼』へ~」
「いい名前ですね、マギーさん」
「ドーモ、アリガトウデス!サンキューサンキュー!」
「あれ、それだけ?」
ラベルを全部貼り終えたゆりえとマギーは、それを図書室の分類順のところまで走って持っていく。
「おい、走るな!」と、梨子。
「関口先輩、田嶋先輩!」
「これ全部お願いシマスデプリーズ!」
本を全部、関口と田嶋に渡す。
はあはあ
ハアハア
関口が「少し休めよ、お前ら」と、言った。
体育の時間よりキツい……。
「マギー、自販機行く?」
「茶が飲みたいデス……」
仕事がひと段落した。
風紀が「あ、オイちょお。コーラもついでに買ってきてくれ」
それに反応するかなこ。「先輩!」
「いーですよーのいーですよ」
「何デモかんデモ買ってキマスヨ」
「パシリにはもう慣れちゃったもんね」
「入学して二か月デこれカヨ。マジでイカレテルゼ、ココ」
ゆりえとマギーは息を合わせて、「「アンビリーバボー!」」と言い残した。
「あり得るっつったろ?」と、梨子。
体育館の横の自動販売機に行く途中、二本の木があり、ゆりえは居合刀で、マギーはコブシで木に八つ当たりの攻撃をした。
その途端、ゆりえの居合刀はバキッと折れ、マギーのコブシは真っ赤に腫れた。
「なぁっ!」
「OH!」
* * *
仕切っていた梨子は、得意げに「図書委員にとって図書室とは、常に戦場なのだ!」とまとめる。
* * *
図書室。
ゆりえとマギーは戻った。
「適当にお茶とかいろいろ買ってキマシタヨー」
風紀がマギーに「おお、サンキュな。あとで金は渡すわ!んで、マギーは何飲んでんだ?」
「ハトムギと玄米と大麦とドクダミとはぶ茶とチコリーと、月見草とナンバンキビと、オオムギ若葉と明日葉と黒ゴマトヨモギと、ビタミンCのミックス・ティーです」
「ふ~ん、つまり爽健美茶か」
「イエス!その通りデース」
かなこが、
何であの人、今ので分かったん?
と、驚いた。
キーン コーン カーン コーン
「あら、下校時間」と、たまき先生。
「じゃあ、みんなお疲れな!」と、梨子は言った。
一年生三人は、声をそろえて、
「「「おつかれさまです」」」と言う。
田嶋も、「今日はよく頑張ったねー」と、一年に言った。
「お疲れなー、一年」と、関口。
「「「お疲れ様です」」」
入れ違いで、つぼみ先輩が司書室に現れた。
「遅くなりました。あれ、わたしの出番は?」
たまき先生は「ないですよ。ってかもう下校時間でしょ。早く帰りなさい受験生!」
と、言った。
* * *
今日の野良猫ミントの言葉「みんな今日は忙しくて大変だったね。帰ってゆっくり休もうね!」
つづく
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