第六回
小説書きながら映画テレビで観てます。さて、今後どういう展開になるのか、私自身にも分かりませんが、よろしくお願いします。
第六回
「ウソッ!絶対ないよそれ」
「違うって。ゆりえちゃんがおかしいんだよ!」
放課後の図書室の裏の司書室で、ゆりえとかなこがケンカしていた。
梨子と風紀がやって来る。
「何だ何だ、何モメてんだ?司書室で」
「騒がしーぞ、お前ら!」
「先輩、いいところに!明治のチョコスナックは絶対『きのこの山』ですよね?」
「いーや、『たけのこの里』です!」
「いや、正直……」
「どっちでもよかろーが」
「「よくないです!!」」
しばし考え中。
「う~む、しかしそう言われてみると……」と、梨子。
「永遠のテーマではあるのかもな?それ」風紀も言った。
司書のたまき先生が、あきれた顔で、
「あなたたち、もっとマシな永遠のテーマを語りなさいよ」
と、ツッコむ。
「軍事スリラー小説はフレデリック・フォーサイスかトム・クランシーか」
「オレはフォーサイス派だな」
「『エンド・オブ・ホワイトハウス』と『ホワイトハウス・ダウン』どっちが好き?」
「『エンド・オブ~』かな、やっぱ」
「『ディープ・インパクト』と『アルマゲドン』は?」
「やっぱ『ディープ・インパクト』じゃね?」
「『かりあげくん』と『おとぼけ課長』なら?」
「あ~、どっちかな~」
「あなたたちの永遠のテーマって、そんなのばかりなの?というかどれも微妙に古いのばっかね……」と、たまき先生はまたツッコんだ。
「きのこの山!」
「たけのこの里!」
ゆりえは居合刀を構えた。斬る!
かなこはサッカーボールを手に取る。ぶつける!
「いい加減にしろ、お前ら!」と梨子が言った。
「ケンカなんかすんなよバカバカしい!」
「そーだぞ!ガキじゃあるまいし。話し合いで解決しろよ」と、風紀も言う。
さらに梨子と風紀が声をそろえて、
「「さもないと司書室に血が舞うぞ、コラ!」」
と、言う。
「ちゃんとあとで掃除しなさいよ、血は!」
と、たまき先生がまたツッコんだ。
「よし分かった!わたしが勝負の方法選んでやるからそれでケンカしろ」
と、梨子が言う。
「どっちにしろケンカさせんのかよ?」と、風紀。
梨子はA4の紙にアミダくじを書く。六つのスタート地点を書き、ゴールまで書いた。
「よし、出来た!」
「オイ、それアミダか?」
「ああ。じゃあお前ら、好きな数字を言え」
ゆりえは「千七百五十五!」
かなこは「九!」
「スマン、一から六の間で」と、梨子。
「イチ!」
「ゴ!」
「ん?苺?分かった。足して六な!ってか息合ってんな、お前ら」
梨子は六番目のスタート地点から赤ペンで線をなぞる。
「貸せ、オレがやる」
梨子は風紀にゴールまでを任せるように、アミダの書かれた紙を渡した。
「えっと……」
ゴールには全部〝テニス″と書かれていた。それをすぐに二人に読み上げる風紀。
「テニスだ」
「「テニス?!」」
ゆりえとかなこは驚いた。
「まぁ、アミダによる公平な結果だ」
風紀はこっそり、「なんでテニスなん?」と、梨子に聞いた。
「今思いついた。気にすんな!」
はぁ、とため息をついた梨子は説明する。
「ゆりえは居合だろ?んで、かなこはサッカー。個人競技に格闘技は除外だ」
「なるほど。バレーやバスケは団体競技。野球、ソフトボールもダメとなると……」
「まぁ、卓球かテニスが妥当ってわけだ。バドミントンでもよかったけど。よし、じゃあ移動しよう」
「どっちが勝つか、学食のかけうどん賭けっか?」
「つまらんシャレ言うなよ、風紀!」
たまき先生が「どっちにしろ戦わせる気なのね、あなたたち」と、あきれる。
ゆりえも「テニスコートに生首転がしてやる!」
かなこも「フッ、生き残れると思わんでよ?」
テニスでのタイマンに乗り気だった。
「健全なスポーツってこの世にはもうないの?」と、言い残すたまき先生。
入れ違いでつぼみ先輩が司書室に来た。
「あら先生。今日は珍しく静かですね」
「いいえ、いつも通り騒がしかったですよ」
「図書委員はいつも騒がしいものなんですか?」
「まるで当然のようにですね」
「それでその騒がしい人たちはどこへ?」
「テニスコートですよ」
「何してんだろう。行ってみますね」
「殺し合いだと思いますよ。あの子たちのことだから」
「面白そうです!」
「え?」
つぼみ先輩も図書室をあとにして、外のテニスコートへ向かう。
* * *
今日は外で漫才をやっている関口と田嶋。
「喧嘩両成敗って知ってるか?」
「ああ、昔定められた法律だろ?」
「ケンカに一方が正しいということはなく、理由はどうあれ両方処罰するんだよな」
「どっちも悪いってことか」
「ただし、ケンカを我慢すれば罪には問われないってことだ」
「なるほど!負けるが勝ちだね」
「バーカ、世の中は弱肉強食なんだよ。それが試合だろ?」
「オリンピックも勝たなきゃメダルはもらえないしね」
* * *
つぼみ先輩がテニスコートへとやって来た。
体操服に着替えたゆりえとかなこが、ラケットを手に向き合って構えていた。
「後悔させてやる、いざ!」と、ゆりえ。
「死ぬ用意はいい?いくよ?」
かなこも本気だ。
脇で観ている梨子と風紀。
「図書委員ルールな!一ポイントで勝ちだ。いいな、二人とも」
「ハードル高くねーか、それ?」
かなこがサーブ。それを返すゆりえ。
そのあと、お互いボールがコートに落ちる前にラケットでボールを打ち合っていた。
梨子と風紀が言葉を失う。
「オイ……」
「ああ、何だこいつら?」
つぼみ先輩も、それを観て「わ~、すご~い」と、感心を見せていた。
「ドラゴンショット!」
かなこの掛け声。
「タイガースマッシュ!」
ゆりえの掛け声。
つぼみ先輩が梨子たちに、「アラ、あなたたちの異名、取られちゃってるじゃない?」
と言った。
「「な!」」
龍虎コンビはショックを受ける。
関口と田嶋も観戦に来ていた。
「すげーな一年……」
「オリンピック出られるんじゃない?」
さらにラリーは白熱した。
「おおおおおおおおおお!!!!」
「セヤアアアアアアアア!!!!」
今度はほぼゼロ距離でのラリーが始まる。
スパララララララ……
風紀が「ええっ?!」と声を出す。
梨子も「いや、ないだろソレ?!」と驚愕する。
やがてテニスボールは、ネットの上に飛んで、そこで止まった。
「ドロー?!」
風紀は叫んだ。
「ねぇよ!」と梨子。
ハアハアハアハアと、息切れしていたゆりえとかなこは、お互いに、
「なかなかやるじゃない、かなこ」
「ゆりえちゃんこそ、いい勝負だったね!」
と、言い合う。
外野は、
「見たことねぇよ。こんな試合」と、風紀。
梨子も「しまった!撮影しとけばよかった!」と言うほどだ。
しかし、そのすぐあと、ゆりえとかなこは同時にその場に倒れる。
ドサッ
すかさず、つぼみ先輩が「ゆりえちゃん、かなこちゃん!!」
梨子も「救急車呼べ、早く!」
「114だっけ?え~と……」と、風紀。
このあと二人は一週間入院したという。マギーの図書委員日誌より。
* * *
今日の野良猫ミントの一言「仲直りするにはスポーツで語り合うのがベストだね!青春だねっ」
つづく
コメディ小説はなかなか難しいです。でも、もっと挑戦したいと思いますので、応援の感想やレビューをたくさんください。励みにしますので!!では!!




