第二十三回
次で最終回です。作者の私としても名残り惜しいです。
第二十三回
フランス・パリ。
ゆりえと梨子と風紀は、つぼみ先輩の卒業旅行についていった。
でも、そこでトラブルが起きた。
別のタクシーに乗ったつぼみ先輩が、そのまま行方不明になったのだ。
* * *
日本領事館。
大使館の人はすぐに調べてくれた。
「まずいですよ。けっこう昔に入って来たアルバニア人マフィアの仕業かも……」
「アルバニア?」と、梨子。
「人身売買をし、ヤク漬けにして売春をさせるんだ。旅行者の女性をさらってな」
「そんな、早く見つけないと……」と、ゆりえ。
「フン、わたしらがそいつらを必ず追いつめて殺す!」梨子は怒りに燃えた。
「連中がさらったとなれば、これは96時間以内に見つけ出さないとヤバイ」と、大使館職員。
「ど、どうなるんです?」ゆりえは訊いた。
「もう取り戻せなくなる!」
「な……」と、風紀。
「イヤー!!」ゆりえが叫ぶ。
* * *
空港前、タクシー乗り場。
「どうだ?」風紀がゆりえに訊く。
「探してます。あ、あいつです。あのタクシーの運ちゃんです。つぼみ先輩を乗せたタクシーですよ!!」
「よ~し」と、梨子。
「おらおらテメェ!!」
ドゴ バキ ズド ビシ ガス
「つぼみ先輩をどこやった?!ブチ殺すぞ!!」
リンチが終わる。
「死んだか?」と、風紀。
「まぁ、虫の息程度だな」
それを半殺しと言います、先輩方。と、ゆりえの心の声。
「さぁ、とどめ刺されたくなけりゃ話しな。日本語話せないならアウトだがな」
「それともあの世へレッツゴーしたいか?オラ!」
タクシーの運ちゃんの話では、アジトに連れて行ったらしい。
RUE DE
PARADIS
と書かれた、赤い扉の建物だった。
「先輩、ここ!」と、ゆりえ。
「ああ、話にあった赤い扉の入り口だな」と、梨子。
梨子と風紀は、ドアを蹴破る。
そして三人は、中にいた連中を片っ端から蹴りとジークンドーと居合でボコボコにしてしまう。
一人だけ生かしておいた。
このアジトのリーダーらしき者を椅子に座らせて縛る。
「よ~し、お前全部吐けや!」と、風紀。
「つぼみ先輩をどこへやった?」
「あの子はバージンだった。だから高く売れるんだ。バージンはオークションで競りに出される。その仲介者へ渡すんだよ。た、確かサンクレアとかいう男に売ったんだ。これでいいか?」
「「「ふざけんな!わたしらみんなバージンなんだよ、ブチ殺すぞ!!」」」
三人はそれぞれの得意な技でリンチする。
グシャグシャグシャグシャ!!!!
「さて、こいつどうする?つぼみ先輩をオークションに売りやがって。とどめ刺すか?」
「やっやめてくれ。話したろ全部!嘘は言ってねー!!助けてくれよ、頼む!頼む~!!」
懇願する男に梨子と風紀は、
「お前を信じよう」
「だが死んでもらう」
ゴキャッ
「あ~………」
* * *
パリの立派な建物に来たゆりえたち。
「こんなところでオークションやってるのか」と、ゆりえが言う。
「ここにつぼみ先輩が……どうします?」
「決まってる。殴り込みしかねーだろ。行くぞ!!」
突入!!!!
自動小銃で迎え撃つ敵たちを、ドアやマンホールのふたで防御しながら梨子と風紀は突っ込む。
そして間合いに入ったところを、蹴りとジークンドーでなぎ倒す梨子たち。
「虎と龍だ……」と、ゆりえ。
とうとうつぼみ先輩が捕まっているところにゆりえは来た。
おっさんが一人、つぼみ先輩を人質に取っている。
「ゆりえちゃん!!」
ゆりえは勇ましく敵の大将の前に立った。
「来るんじゃねー!!こ、交渉を……」
ゆりえは居合刀を投げつけた。
ゴン
大将は倒れる。
こうして無事、つぼみ先輩を取り戻すことに成功した。
「三人ともありがとう!でも、あ~あ、とんだ卒業旅行になっちゃったね」
* * *
帰りの飛行機の中で、梨子と風紀は、
「あ、こいつは風紀!」
「『96時間』……『96時間』か?!だよな?」
「96時間」 2008年フランス映画。
ピエール・モレル監督
リーアム・ニーソン主演
17歳の娘キムがヨーロッパのツアーへ行くためにパリへ行くが、そこで誘拐され、父・ブライアン(元工作員)が、わずかな手がかりから娘を96時間以内に取り戻すために自分もパリへと乗り込んでいくフレンチ・アクション映画。
* * *
数日後の図書室。
「へ~、じゃあパリでも暴れてきたんだ」と、かなこ。
「先輩タチも国際派ダネ~」
「ってかそういう展開って何度目だ?」
「他にネタ無いノカヨ、作者」
「まー、いいじゃん。次で最終回なんだし」と、ゆりえ。
「えっ?そうなの?どうしよう……」
「終ワレ!」フン!!
* * *
今日の野良猫ミントのお言葉「次はいよいよ卒業式だね!」
つづく
感想など、よろしくお願いいたします。もう次で最終回ですので。




