第二十二回
もうここまで来ました。最終回までもう少し。
第二十二回
とうとう来てしまった、つぼみ先輩の受験日。
「ふわ~、試験に遅れちゃう!入試の日に何やってるんだろ、わたし」
家を出たつぼみ先輩は、すぐに自宅に戻った。
「受験票忘れたー!!」
* * *
風紀が自宅で木人とうを打っていた。ジークンドーの稽古だ。
「ふぅ、……ん?今日はつぼみ先輩の受験日か」
* * *
ゆりえが道場で道着に袴の姿で、居合の抜刀をしていた。
「あ!今日はつぼみ先輩の受験日だ」
* * *
かなこが公園でサッカーボールのリフティングをしていた。
「おっ、今日はつぼみ先輩の受験日か」
* * *
自宅で書道をするマギー。TUBOMI FIGHT!と、書いた。
「今日ハつぼみ先輩の受験の日ダナー。でもファイトって、誰と戦うンダヨ!」
* * *
弓道場で弓を引く関口と夏美は、矢を放ったあと、
「あ、今日って」
「ああ。つぼみ先輩の受験日だな!夏美」
* * *
ジョギングをする田嶋。いったん止まると、
「今日は、先輩の運命の日だ!!」
* * *
野良猫のミントにネコ缶をやる梨子。
「ん、今日か。つぼみ先輩の受験日は。絶対に合格だよな!なー、ミント!!」
* * *
司書室のたまき先生が、「あら、今日は西川さんの受験の日ね」と、つぶやいた。
* * *
生徒会室。
杏樹が「ん?」と言った。
「どうした、峰永くん」
「井手元会長」
「〝元″を付けるなら井出くんでいいよ」
「井手くん、今日はあの図書委員の三年の人の受験日でしたよね?」
「今日、受験する人は大勢いるけどな」
「今年はとうとう一人、まともな図書委員がいなくなってしまう」
「我々生徒会も人のこと言えんけどなー」
そこへ池神もやってくる。
「杏樹」
「あ、達也」
「今日は確かあの人の受験日だよな?」
「今日、受験する人は大勢いるけどね」
「ほら、あの三年の図書委員の……」
「うん、知ってる。あの人でしょ?」
「そう、Dカップの人!」
「セクハラ野郎、ブチ殺すよ!!」
* * *
九州大学、文学部 試験・英語
つぼみ先輩はあくせくしながら問題を解いていた。
「よし、問3終わり。次は選択問題か。え~と、この英文の意味をひも解くと、ふむふむ、答えは1」
「じゃあ、次はえっと、次も1ね。で次は、ん?次も1?そして次も1……アレ?」
* * *
「ふひ~、やっと終わった」つぼみ先輩は家路につく。
…………。
「あれ、わたし名前書いたっけ?」
ビクッ
* * *
合格発表日。
つぼみ先輩はゆりえたちと顔を合わせた。
「つぼみ先輩、受験お疲れ様です!」
「あ、ありがと!」
「今日、結果発表の日ですよね。受かれば九大ですよ!九州大学文学部!!」
「う、うん。でも実はもう発表見に行って、落ちちゃったから結局は同志社大学なの」
ズッコケるゆりえとかなこと、マギー。
* * *
野良猫ミントのお言葉「何にせよ受験も終わってあとは卒業を待つだけだね!」
つづく
もうすぐ最終回なので、いっぱいいっぱい感想などくださると、とても嬉しいです!!




