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SCHOOLらいぶらりー  作者: えくぼ
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第二十一回

わたしは昔、バレンタインデーはいつも悲劇の日でした。なのでリア充爆発しろ!(冗談です)

第二十一回


 二月中旬に差し掛かった、ある日の昼休み。

夏美は関口を呼び出した。

「雄くーん」

「ん、夏美か」

「明日は何の日か知ってる?」

「明日?」

「二月十四日だよ」

「ああ、煮干しの日な!」

 

 何?!煮干しの日って………


*        *        *


 ゆりえはかなこに「明日はバレンタインだねー」と言う。

「うん」と、かなこ。

「チョコ持ってくるよ。何でもいい?」

「ホント?じゃあ、ホワイトデーのお返し考えなくちゃ!」

「………いや、そこは友チョコ交換でいいんじゃ……」

「えっ?!」

 その時、マギーがやって来た。

「ヘーイ、ユリエ&カナコ!明日はバレンタインだなー」

「ほう、マギー。あんたもちゃんと常識理解してるんじゃん」と、ゆりえ。

「ジャップは常識ナイヨナ。バレンタインはキリスト教の行事ダゾ!」

「いーだろ、別に!!」

「まぁ、今はアメリカ人もコスプレや聖地巡礼ヲスル時代ダケドナ!」

「ソレはただのオタクの常識だけどな。一般常識違ェよ」

「ンデ、ドンナチョッコレイトが欲しいン?ヤルヨ」

「えっ、高級チョコ……かな?」

「イイゼ、殺ッテヤルヨ」

「字が違う」

「ワタシが食べたいチョッコレイトはね」

「そのチョッコレイトって言い方やめい。イラッとするから」

「マカダミアンナッツ・チョコ」

「ハワイのお土産かよ!」

 マギーはかなこの方を向き、「カナコはドンナチョコ欲しいン?」と、訊いた。

「えっ、わたし?そーだなー、じゃあ『東京マーブルチョコレート』で!SEAMOの『マタアイマショウ』が有名な主題歌だよね」


 ……………。


「アニメのDVD欲しいンカ、オタクめ!」

「ちっ、違う。いいアニメじゃんアレ!」


*        *        *


「関口……」マスクをつけた田嶋がやってくる。

「田嶋か。なんだ、風邪ひいたんか。大事にしろよ」

「ああ」

「なぁ、田嶋。俺、高校卒業したら進学しねーんだ」

「実家の窯元継ぐとか言ってたな」

「働きてーんだ。社会に貢献してーんだよ」

「真鍋さんは反対するやろーな」

「フッ、それが男の業なのだよ。女を幸せにするために家を国を、そしてこの平成の世を守らねばならぬ。世の平安なくして個々の幸せなど得られようはずのない。その宿望の中で生き、そして死んでいく。それが人としてのさだめ。分かるか?俺たちは皆、業深き者の集まりなのだ」

「関口、お前……、マジにガチで反対されたんだな?」

「夏美の奴、明日バレンタインチョコくれんってよ。ヒドクね?うう、泣いてないもん!」

「関口、俺は大学に行くぞ」

「来年は特クラ入るんか?」

「まあ、龍虎コンビと一緒になるやろーが」

「どうせ、つぼみ先輩を追っかけるんだろ?」

「まー、否定はしねーけどな」

「ハハッ、素直だな!」

 関口は自販機のジュースを買ってきて、田嶋に渡す。

「俺のおごりだ。飲めよ」

 田嶋はマスクをしたままジュースを口に当てた。

 ………。飲めない。

 田嶋はマスクを外す。

「ま、これはボケたんだけどな」

「いや、それは無意識の動揺だろ?」


 久々に二人は漫才をやることにした。

「久々だな」

「久々だっけ?」

「明日の煮干しの日って知ってるか?」

「煮干しの方かよ!」

「二月十四日。2と1と4な。2は『に』、1が棒の形だから『ぼ』、4が『し』な。それで煮干しの日だ。煮干し食って元気になれってコトさ」

「その語呂合わせ、かなり苦しいな」

「『全国煮干協会』が1994年5月に制定したんだ」

「たぶん、ほとんどの人知らんやろ」

「ま、二月十四日は煮干しの日ってことだ」

「明らかにバレンタインから話そらせたい風だな。じゃあ、俺が説明してやる。正確には『セイント・バレンタイン』と言って、兵士の婚姻禁止の中、あるカップルの結婚式をした罪でローマ皇帝に圧殺された司祭ウァレンティヌスにちなんだ恋人たちの日なんだ。…………。ま、俺には関係ない話だけどな』


*        *        *


 夕方、つぼみ先輩が自宅で受験に向けて勉強をしていた。

「次は数学ね。追い込まなくちゃ!もうすぐ受験だし、受かりますように。もう時間がないからね。今日は二月十三日だし、試験まであと……」

 

 ん?


「って、明日バレンタイン!!田嶋くん!!」


………………。


勉強に集中できない!息抜きにチョコ作ろ!!


つぼみ先輩はキッチンに行って、エプロンをして自宅にあったチョコレートを出した。

「えっと、まずはチョコを湯煎で溶かすんだっけ?」


………。


そもそも湯煎って何?


*        *        *


 翌日、紫台高校。バレンタインデー。


生徒会でもバレンタインの話が出ていた。

「峰永くん」

「杏樹!」

「どうしたの、井手くんに達也?」

「今日のバレンタインだが、義理でいいからくれないか、チョコ」

「俺は当然、彼氏だからくれるよなー、チョコ!」

「ううん」と、かぶりを振る杏樹。

「え、なぜ?!」二人は驚く。

「一応、校則上では禁止されてますからね。わたしたちはそもそも、まだ生徒会なのよ?他の生徒に示しがつかないじゃない!」

「う、うう」と、池神。

井手も「なんてこったい」


*        *        *


野良猫ミントのお言葉「聖バレンタインデーはみんなドラマがあるんだね。みんなチョコもらえるといいね!」



つづく



ご感想お待ちしております!!

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