第十八回
この喫茶店は知り合いが経営してます。お近くに寄ったときには、ぜひ行ってみてくださいね!!
第十八回
筑紫野インターの下。
喫茶店「もか」
秋らしく紅葉がチラホラと出ていた。
ゆりえたち三人は、営業中の喫茶店の入り口に来ていた。
マギーが「今年は紅葉がイマイチだねー」と言った。
「う~ん」と、相づちを打つかなこ。
「OH!『イマイチ』ってドウイウ意味?」
「知らんで言ってるのか?『今一』って書いて、今ひとつ何かが足りないってことだよ」と、ゆりえが言う。
「イマイチ分からん……」
「いや、今使ってるじゃん!」
マギーは辺りを見渡しながら、「紅葉がキレイじゃナイト何ダカナー」と、ポツリと言う。
「えらく紅葉にこだわってるけど、そこまで言ってもあんま意味ないよ」と、ゆりえが言う。
「WHY?」
「だって、コーヒー飲みに来ただけなんだから」
「ジーザス!」
かなこが「だがしかし、紅葉も大切だ!」と、はっきり言った。
マギーが、「『だが』と『しかし』って同じじゃない?ユリエ」
「ん?」
「英語にスルトBUT BUT?」
「いや……」
「『胃痛が痛い』みたいに言葉ノ重複ダヨネ?」
「知らん」
「ジャップのくせに!」
「黙れヤンキー!」
「『肩に背負ってる』トカモ日本語的には変ダヨネ?」
「だから知らん!」
「ジャップだろー?」
「ウッセーよ、ヤンキー!!」
ゆりえたちは喫茶店に入った。カウンター席を通り抜けて、一番奥のテーブル席に行く。
喫茶店のマスターがやって来て「ご注文よろしいですか?」と声をかける。
「ワタシ、エスプレッソ」マギーは言う。
「アメリカンで」と、ゆりえ。
「わたしは水出しかな?」
?????
「秋だよ?」と、ゆりえ。 ← 「日本人ダロ?」マギー。
↓ ↑
「アメリカ人でしょ?」と、かなこ。
無限ループ
* * *
それぞれのコーヒーを飲みながら、三人は談笑する。
かなこが「二年生が今、北海道にスキー研修に行ってるから図書委員の仕事も楽だね」
ゆりえも「つぼみ先輩も受験勉強で忙しいし」
「そうそう」
少し間が空いて、
「アレ?あ!つぼみ先輩はここに呼んでるんだった。勉強の息抜きに」
十分後。つぼみ先輩が喫茶店にやって来た。相変わらずの制服だ。
「えっ、『だがしかし』?」つぼみ先輩はさっそく質問された。
「ソウデース!」と言うマギー。
「逆接の表現の一種だね、それ」
「逆接の表現?」と、ゆりえが聞いた。
「接続詞の一つで二つ続けて逆接を強調してるの」
「ヤッパリBUT BUTなんデスネ?」
「いや、そこはHOWEVERでしょ。でも、そういうのって日本語ではけっこうあるじゃない」
「WHAT?」
「同じ意味の字を二つ使ってる漢字のやつ」
「どういうんです、つぼみ先輩?」と、かなこ。
「う~ん、ホラ!『創造』とか『収納』とか『柔軟』とか『停止』とか、『飛翔』とかの表現みたいなの。あ、『表現』って言葉も同じ意味の字を連ねてるね!」
「そういえば!」と、ゆりえ。
「あ、そういや、さっき空き地の前チャリで通った時、野良猫がいたよ」ゆりえがかなこに言った。
「それ、龍虎コンビがいつもネコ缶とかあげてる猫じゃない?」
「動物は可愛いよね」と、つぼみ先輩。
「みんなは何か動物飼ってる?」
「チンチラがいますよ」と、ゆりえ。
「ウチは何も……ん?チンチラ?」かなこがゆりえに訊いてきた。
「うん。ネズミみたいな生き物で、けっこう飼うの難しいの。室内ペットだし。名前はポラリス。オスだよ。七歳になるの。マギーんちは?」
「秋田ドッグがいますヨ。名前はちゃっぴー。オスで五歳。散歩させるとウンコするノデ持って帰るのが大変デス」
「いや、うんこはするやろ。うんこの始末するのもマナーやし」と、ツッコむゆりえ。
「ねぇ、このあとどこ行く?」と、ゆりえ。
「ん?ん~と……」
その時、マギーが、「マッダーナー!」と叫んだ。
「は?」と、かなこ。
「マッダーナー!」と、もう一度言うマギー。
「何だよそれ?何言っとるのか分からん」
「書いて!」
かなこが紙と鉛筆を出して、マギーに渡した。
マギーはため息をつきながら、紙に書く。
MCDONALD
「HEY!」
「なっ、マック!」と、驚くかなこ。
ゆりえも「マクドナルド?」と、思わず聞き返してきた。
「全然発音が違う!」つぼみ先輩もビックリしたようだ。
「マッダーナー!!」
* * *
今日の野良猫ミントのお言葉「今日は喫茶店でまったりな日だったね。のどかだね!」
つづく
コーヒーも紅茶も美味しい季節ですね!!ご感想をお待ちしております!!




