第十七回
誰しもが妄想したことがあるであろう題材で描いてみました。妄想くらいしたことあると思いますよね?
第十七回
九月の末、とあるテロリスト一派「黒い明太子」が警察に一斉逮捕された。しかし、三日後、その残党五人が突如、福岡に現れ、とある高校を乗っ取った。
ほとんどの生徒は外へ逃がされたのだが、よりによって犯人たちが立てこもった場所が、皆さんもうお分かりだろうが、その高校の図書室である。
人質になったゆりえたち。
梨子と風紀は、「こいつは何だ?中二病か?中二病展開ってやつか?」
「そうだな!痛いな~」
しばらくの沈黙の後、
「『トイ・ソルジャー』?」
「梨子、よく知ってるなその映画」
「トイ・ソルジャー」1991年のアメリカ映画。
ダニエル・ペトリ・Jr監督
ショーン・アスティン主演
テロリストが高校を占拠し、その学校の落ちこぼれ五人グループが、様々な手段でテロリストたちに立ち向かう様を描いた学園アクション映画。2018年度現在まで、日本ではDVD&BD化されてない。
マギーが「犯人タチの要求は仲間ノ釈放ミタイダネ~」と言った。
「え~、ヒネリがないね。ベタ過ぎる」と、かなこはあきれる。
たまき先生が、龍虎コンビに「長谷川さん、岩海さん。いつものように蹴りとジークンドーでやっつけてくださいよ」
「え?あいつら銃とかライフルもってるんですけど……」
「それにその展開ってもうワンパターン過ぎなので、今回はオレたちはパスで」
「まぁ、確かにいつものパターンですねぇ……」
つぼみ先輩がほかのメンツを見て、「じゃあ、ゆりえちゃん、居合で」と言う。
「つぼみ先輩まで……。はいはい分かりましたよ。やりますよ」と、ゆりえはどこからともなく居合刀を出して、抜刀の構えをする。
「ユリエ、ガンバ!」
「ファイトだよ、ゆりえちゃん!」
かなことマギーの応援にゆりえは、「今回はわたしたちでやるの。かなこ、マギー、相手は五人だけだよ。他の奴らは頼んだよ?」
そう言うと、ゆりえは一人目を居合で弾き飛ばした。
「何っ?あいつ!!」と、テロリストの一人。
しかし、反撃の隙を与えない。
つぼみ先輩がサッカーボールをかなこに投げ渡す。そのボールをオーバーヘッドキックで蹴ったかなこ。二人目の犯人の頭にクリーンヒットする。
マギーは書道に使うすずりから、筆で墨汁の墨を三人目の目にかけて目つぶしをし、相手がひるんだところへすずりをぶん投げて、顎にブチ当てる。
「こ、このっ……。人質を取れ!」
テロリストのリーダーの命令で、四人目がつぼみ先輩をつかもうとする。それに反応した田嶋が、得意の柔道で犯人をつかみ、背負い投げで倒した。
最後に関口がどこからともなく弓矢を出し、リーダーの肩めがけて矢を放つ。
「ぐわっ!」
関口は「くたばれラスボス!」と言い放った。
「だ、誰がラスボスだ……。お、俺はハンス・グルーバーじゃ、ない……」
そう言うと、リーダーは倒れた。
こうして事件は解決した。
警察に連行される五人のテロリストたち。
梨子と風紀は、「中二中の中二だな!」
「そう言うな。かなり痛いけど……」
たまき先生が、「林原さんも沖田さんもマギーさんもよく戦ってくれましたね。書道で戦えるなんて思ってもみなかったけど」
「センセイ、〝道″が付くカラ武道デスヨ!」
「違いますけど………」
* * *
安心しきったところで、関口と田嶋が漫才を始めた。
「なぁ田嶋、テロリストって知ってるか?」
「まぁ、語源や歴史はともかく、今は暴力で政府破壊を企てるアナーキストのコトだな」
「本来はテロルと言って、政府政策への反対をするにあたっての組織的な暴力をする者たちをテロリストと定義したんだ」
「『ダイ・ハード』みたいにお金が目当てとかじゃないんだよね」
「昔の幕末、日本でも吉田松陰などの維新の支柱となった人物たちも、いわゆるテロを行った人たちなんだ。ウケるよな~」
「今の政府って、テロで出来たってことだね。皮肉だね~」
それを見ていたつぼみ先輩と夏美は、「あの二人があんなカッコいい活躍したなんて信じられない………」
と、心の中で思って、軽くショックを受ける。
* * *
野良猫ミントの言葉「みんなヒーロー、ヒロインだね!カッコよかったよ!」
つづく
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