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SCHOOLらいぶらりー  作者: えくぼ
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第十四回

お疲れ様です、えくぼです。夏ももう終わりですね。最終回まで執筆してますのでよろしくお願いいたします。

第十四回


夏休み下旬の登校日。

 生徒会の峰永杏樹は梨子からの報告を、廊下で聞いた。

「ほう、図書委員会で読書会ですか」

「そうだ。議論する本を決めて、全員でその本を読み、あとでディベートする。図書委員の恒例行事だ」

「なるほど!分かりました。頑張ってください」

「ああ、よろしく」

 そう言うと梨子は図書室の方へ行った。

 杏樹は生徒会日誌に「図書委員、また何かやらかす」と、書いた。

 

図書室。昼。

 図書委員の全員と司書のたまき先生は、図書室に集まった。図書委員の他は誰もいない。

ゆりえが、「まず本を選ぶんですか?」と言う。

「どんなの選べばいいのかな?」と、かなこ。

 梨子は「話題作、受賞作、名作、伝統作、どーでもいい作。何でもよかろ」と言った。

「え?最後のナニ?」

 と、つぼみ先輩。

 

  ゆりえが自分のカバンから本を出して、

じゃあじゃあ、『居合道基本マニュアル』で!」

と、梨子に見せた。

「スマン、実用書じゃなくて小説の類でな!」

「じゃあ『武士道シックスティーン』で!」

「それは映画だろ?」

「原作あるんですよ。『武士道シックスティーン』『武士道セブンティーン』『武士道エイティーン』!」

「そんなにあるのか、原作?」

「ああそうだ、津本陽のシリーズも良いですよ。主人公がカッコいいです」

 そこへ風紀が来て、「お前、武道の小説ばっかだなー」と、あきれていた。

「池波さん、司馬さん、浅田さん、藤沢さん。その辺ならまぁ……」

「時代小説ばっか?いー加減にしろ、時代物オタク!」

「じゃあ、『巌窟王』で!」

「じゃあって何だよ!しかもいきなりデュマかよ?」

 風紀はため息をついてから、

「ゆりえ、明治時代に黒岩涙香が、アレクサンドル・デュマ・ペールの『モンテ・クリスト伯』を『史外史伝巌窟王』の題名で翻訳したのが『巌窟王』の名称の始まりだ。原題は『モンテ・クリフト伯』なんだぞ」

「じ、じゃあ『ああ無情』で!ジャン・ヴァルジャンの物語の」

「ゆりえ、明治時代に黒岩涙香が、ヴィクトル・ユーゴーの『レ・ミゼラブル』を『噫無情』の題名で翻訳したのが『ああ無情』の名称の始まりだ。原題は『レ・ミゼラブル』なんだぞ」

「じゃあ、有名な『幽霊塔』!」

「ゆりえ、明治時代に黒岩涙香が、アリス・マリエル・ウィリアムソンの『灰色の女』を……」

「いや、もういいです、風紀先輩………」


*        *        *


 かなこも、う~んと考えながら自分が読んだことのある本を思い出していた。

「わたしがしいて挙げるなら、村上龍の『悪魔のパス、天使のゴール』か、野沢尚の『龍時』か、あと、え~と、綾崎隼の『レッドスワンの絶命』かな?」

うんうんと、うなづくかなこ。

「かなこ、それに共通するのはサッカーだろ!」と、梨子。

「ス、スミマセン、そういうのでもないと読まないので……でも、そういう梨子先輩は何を選ぶんです?」

「わたしか?ウィリアム・シェイクスピアの名作『ロミオとジュリエット』だよ」

「なるほど~、それならわたしも知ってます」

「まぁ、シェイクスピアなら『オセロー』や『ハムレット』『リア王』『マクベス』もいいが、定番だしな」

「はぁ……」

 そこへマギーが来て、「センパイ、『ロミジュリ』モ含めて全部、主人公が死ぬ話デスヨネ、ソレ!」と、ツッコむ。

「ああ、その通りだ。定番だろ?」

 ニヤリとする梨子。

「ええっ?」かなこが驚く。


*        *        *


二時間後。


あ~でもない、こ~でもない


 司書のたまき先生が「いーかげん決めてほしいんだけど何してんの?」


ようやく梨子が、まとめたリストをA4の紙に書いて、たまき先生に渡す。

「先生、この中から決めましょう」

「はいはい、ちょっと見せてね。え~と……」



とらドラ!

フルメタル・パニック

<古典部>シリーズ

涼宮ハルヒの憂鬱

これはゾンビですか?

俺の妹がこんなに可愛いわけがない

ソードアートオンライン

この中に1人、妹がいる

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。

Re:ゼロから始める異世界生活

ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?

甘城ブリリアントパーク



「全部、却下で!」

「なぜっ?」

「なぜって別に、えっと、何となく」


 たまき先生はリストを見返していた。

「まったく聞いたことないタイトルばかりですね。どれもこれもだけど。それに妙にというか、変なタイトルばかりだし。『海賊とよばれた男』とか『偉大なるしゅららぼん』とかなら、まだ分かるんですんですけど。何か長いタイトルもあるし………」

「先生、それがラノベなんです」

「ラノベって何です?」

「ライトノベルの略です!」

「ライトノベル?明るい小説?」

「まぁ、そんなイメージです」

「映画とかドラマになってるとか?」

「主にアニメ化ですね」

「ああ、そういう類なんですね。ハイ却下!」

「なぁっ!!!!」


 梨子は数か月前のことを思い出していた。

「却下と言えば、先生は前に『ウォーキング・デッド』も却下にしてますよね」

「ああ、『ウォーキング・デッド』!」

「はい、アメコミの」

「実は夏休みの中旬までに『ウォーキング・デッド』の海外ドラマをDVDで全部レンタルして観ましたよ」

「えっ!!」と叫ぶ梨子。

「面白かったんでマンガの方も買って読んだんですよ。かなりの文学作ですね」

「マジですか、先生?!」

「何かに目覚めた気がします」

「目覚めたんですか……」

「昔読んだスティーブン・キングの小説を思い出しました」

「本当に目覚めたんですね………」

「そういえば『ミスト』って映画、観ました?」

「なっ!」

「素晴らしい映画ですよね。人間の描き方が特に!」


 ガチだ、ガチ過ぎるよ、先生。


「ゾンビものって面白いですね。でもジョージ・A・ロメロ監督の初代『ゾンビ』のタイトルなんですが、もともとゾンビのことはザ・デッドとかアンデッドとか言うんでしょうね。ゾンビは造語に近い名前なんですよね。日本で公開された時、ハイチのブードゥー教の神の一人『ンザンビ』をもじってつけた名。それが『ゾンビ』という言葉を生んで定着したんですね。ちなみにゾンビ映画のほとんどが勘違いものが多いですね。やはり本当は人間の愚かさを描かなくては……あ、愚かってあなたたちのことじゃないですよ?」

梨子は「いや~、ゾンビでも愚か者でもないとは言い切れないですね、わたしたちも」と言った。


「とりあえずわたしが候補を選んでおいたので、この中から選んでください」と、たまき先生は言う。

プリントを受け取る梨子。

「じゃあ、アミダか何かで決め……」

 リストを見る梨子は、言葉を失った。



たけくらべ

若草物語

吾輩は猫である

風立ちぬ

ごんぎつね

ウォーキング・デッド

恐怖の総和

強行着陸



 何か、最後の三つは違くね?ま、いっか「ウォーキング・デッド」入ってるし。

 

 「長谷川さん、アミダなんて定番ですよ。ルーレットにしなさい、ルーレットに!」と、念を押して言うたまき先生。

 

 

*        *        *


弓道場。

的にはルーレットで候補作が書かれている。

「センパイ、何でるーれっと?」と、マギー。

かなこも「しかも何で『ウォーキング・デッド』?」

ゆりえも「何で弓道場なんですか?」と問う。

「関口の彼女に当ててもらう」


道着に袴の夏美が矢を放つ態勢を取っていた。

「よろしく~」


カンッ


と、いう音とともに、矢がルーレットに向かって巡航ミサイルのように飛んでいった。


ふっ、決まった!


残心を忘れない夏美。


関口がそばで、「酔ってんな~、夏美」と、ツッコんだ。


「んで、どこに当たったん?」と、梨子。


 つぼみ先輩が的を見ながら「ど真ん中っぽいような……」と言う。

「意味ナイジャン!」と、マギー。


 しかし、よ~く見ると、


「『ごんぎつね』だ!!」と叫ぶかなこ。

 田嶋が「決まりました!」と言って締める。


*        *        *



次回につづく(なので野良猫のミントの言葉はナシ)




この回を投稿する頃には、ようやく最終話まで書き終えてると思うので、どうか最後まで読んで感想を聞かせてください。では!

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