表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SCHOOLらいぶらりー  作者: えくぼ
13/24

第十三回

もう半分書いてしまった。書くの速くなった?いや、根詰めすぎなんだよなぁ。というわけで、夏祭り回です、どうぞ!!

第十三回


 八月の上旬。夏祭り当日の夕方


 生徒会副会長の峰永杏樹は、浴衣を着て井手生徒会長と待ち合わせた。

「さて、井手会長。今日はいよいよ夏の風物詩。夏祭りの日ですね」

「そうだね副会長」

「ハメを外し過ぎる生徒を出さないためにも、巡回には気合いを入れますよ!」

「ああ、そうしてくれ峰永くん」

 その時、書記長の池神が、浴衣に「祭」と書かれたうちはを手にやって来た。

「よう、会長に副会長!今日は祭りやけ、気合い入っとぅばい!!」


その気合いは違う……。


私服に着替えた池神は井手に「祭りに乗じて騒ぎを起こす輩もいるから気をつけんとな」と、言う。

「ほう、例えば?」

「龍虎コンビとか!」

「ああ。長谷川梨子さんと岩海風紀さんだね」

「しかし今日はまだ見ないな」

「そうだな。隠れるとこなんてなかろうし、う~ん、彼女らはどこだ?」

 その時、大きな紙バッグをたくさん両手に持っていた梨子と風紀が現れた。


ゼーハー ゼーハー


「うぉっ!龍虎コンビ?」

「何してんだ?」


梨子と風紀は「昨日今日で東京行ってきた!今帰った」「ハードなスケジュールだった」


「と、東京って、東京のどこに行ってたん?しかもその大量の本は?」


「東京都千代田区神田神保町古書店街だ!」

「日本で一番本がある街だよ。一日七時間はウロウロしてたからな!」

「花火が始まるまで帰って買った本置いて休むか……」

「何冊買ってきたんやろ?わたしたちは夏は毎年神保町古書店街だよなぁ」

 梨子と風紀は帰っていった。


どうせあとで祭りには来るだろう。


*        *        *


関口と夏美はお祭りデート中。

浴衣姿の夏美と私服の関口。夏美は関口と腕を組んでいた。

「こらー!!!!」と、杏樹。

「不純異性交遊!!」

「ちょっ……」と、夏美。

「古いなー」関口も驚いた。

「わたしたちまだキスとかしてませんから!!」と夏美が大声で言う。

「ヤメロ……。夕日に叫びたくなる……」


*        *        *


 夜になった頃、田嶋は制服姿のつぼみ先輩と一緒に祭りの中を歩いていた。

「つぼみ先輩、俺と一緒でいいんですか?」

「うん、せっかくバッタリ会ったんだし。でもいいなー。浴衣って。うらやましいよ、やっぱり」

「先輩は今日も制服なんですね」

「あ、うん。でもわたしはファッションに疎いから……」

「浴衣だったらまだ、ごまかしききますよ」

「う、そうね……」

「そういえば夏祭りって、もともと京都の『祇園祭』が由来なんですよね」

「そうなの?」

「京都で流行った疫病を祓うための病魔退散のセレモニーから来たって話です」

「へー」

「また、夏というのは梅雨の湿気で物が腐ったり、台風もたくさん来るので病気や災害も多いんですよ。それに農作業に一旦手を止めて、日頃の労をねぎらうためにも祭りを行って、慰めるためにあるんです」


ってか、何であんな筋肉マッチョなムキムキフィジカル眼鏡くんが、そんなこと詳しいんだろ?図書委員って不思議だ。あ、わたしも図書委員だけど……。


「お盆が過ぎたらもう体育大会の準備の時期だよね」

「ん、あれ?つぼみ先輩、三年生って体育大会参加するんでしたっけ?」

「秋の文化発表会はウチの学校ないし、体育大会は九月半ばだから、まだ大丈夫だよ。同じチームになるといいね、田嶋くん」

「は、はい!」


*        *        *


杏樹は夏祭りの周りを巡回した。

「は~ぁ、でも、せっかく夏祭りに来てるんだし、わたしも遊びたいな。でも、わたしは生徒会副会長なんだし。生徒会に放送委員会も兼任。わたしの青春っていったい何だろ?」

 その時、焼き鳥を食している林原ゆりえと、フランクフルトを食している沖田かなこ、それにソフトクリームを食しているマギー・ターナーを見つけた。三人とも浴衣姿だ。


生徒会のわたしの目の前で堂々と買い食いとは!


ギラッ


*        *        *


「しっかし、峰永さんはどこめで行ったんだ?途中でいなくなったよ」と、井手。

「探すにしてもこの公園は広いからなー」

「う~ん」

「あ、いた!」と叫ぶ池神。

「何してんの?」

「たぶん……」


 杏樹はゆりえたちを追いかけ回していた。


「仕事してるみたいだよ」


*        *        *


梨子と風紀は浴衣に着替えて祭りに来た。

「ふぅ、ようやく落ち着いたな」

「ああ!」

「花火までまだ少し時間が………」

その時、梨子たちの前に男たちが集まって、「よー、そこの小学生。俺らと一緒に花火見ぃひん?」


しばしの沈黙の後、


梨子の蹴りと、風紀のジークンドーが男たちに炸裂した。


ドッ ゴッ ドン ドス


「イライラさせんなや、コラ!」と、梨子。

「でもスッキリしたぜ」と、風紀。


*        *        *


田嶋とつぼみ先輩は歩きながら話す。

「秋に入ったら、あまり図書室には来れなくなるなぁ」

「はぁ、そうですね」

「わたし、九州大学行くか、京都の同志社大学行くか迷ってるの。図書委員の経験を生かして文学部に行きたいんだけど、家を出るか福岡にとどまるか、それを迷ってる」

「つぼみ先輩。それは先輩が自分で決めていいんですよ!」

「田嶋くん………」


キュンと、心が鳴るつぼみ先輩。


*        *        *


「ゆりえたち三人は河原に来て、座った。もう夜も深い。

「もうすぐ花火だね!」と、かなこ。

「英語でファイヤー・ワークスです」と、マギー。

ゆりえがとっさに「火が仕事するの?」と、言う。

「来週はもうお盆か~」

「ジャパニーズ・ハロウィン?」

「落雁でも食べてろ!」

「そういえば、ウチの学校ってプールなかったね」

「まぁ、男子の前で水着にならなくてよかったからいいけどさ」

「ユリエ、ヤッパ体形気にシテルンね?」

「ウッセー!」

「二学期は体育の授業がソフトかサッカーだから楽しみだー」

「イツモ部活デやってるノニ?」

「授業でもできるからハッスルできるんだよ?」

「今どきハッスルって。古いよ」


 しばらくすると、たくさんの花火が上がった。夜空に開く花の数々。

「たーまやー!!」

「カーギヤー!!」


「玉屋と鍵屋って花火屋の名前だったんだよね!」

「玉屋の方がキレイで人気があったんだよ」

「オー、ダカラたまやが先ニ来るんダネ!!」


 杏樹が河原で一人でたたずみ、花火を見ていた。

「花火キレイだ……。もう仕事なんてどーでもよかわ。ははは……」


*        *        *


梨子と風紀も一緒に河原で花火を見ていた。

「知ってるか?花火って悪霊退散の魔除けの意味があるんだってよ」

と、梨子が言った。

「ふ~ん」と、風紀。

「しかし、花火も終わっちまうと何かはかないよな」

「だな。それが夏ってやつなのかもな。『星ひとつ残して落つる花火かな』だっけ?」

「酒井抱一の句か、悪くないな、それ!はっはっは!!」


 俳句で締める風紀。


*        *        *


今回の野良猫ミントの言葉「今回ははかなさや切なさの話だったね。みんな思春期なんだね!」



つづく



今日はかなり頑張りました。どんどん感想やレビューをください。待っています!やる気につなげます!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ