第十二回
ひーこらひーこらバヒンバヒン……。ということで、夏の思い出回でした。読んでいただいて感謝感謝です!!次も頑張って書きます!!
第十二回
夏休みのはじめに図書室のリニューアルに駆り出され、一週間働かされた。
梨子と風紀が「よしよし、みんな頑張って動いてるな」
「明日が楽しみだよなー」と話す。
明日殺す!!
関口がつぼみ先輩に「夏美も誘っていいですか?」と言っていた。
「ああ、関口くんの彼女さん?大丈夫だよ、連れてきても」
「どもッス」
かなこが本を大量に運びながら、「明日みんなでどこに行くんだろ?」と、思った。
「今日モヘビーです!」マギーも本の位置を変える仕事をしながら思った。
* * *
翌日の朝、志賀島、海水浴場
「海だー!!!!」と水着姿の図書委員たちが全員叫んだ。
すごいテンションである。
つぼみ先輩が、「うふふふ。夏に入ったらみんなで海に来るのが図書委員の恒例なの」と言う。
「サイコーです!」ゆりえがつぼみ先輩に言った。
梨子と風紀が並んで話す。
「去年は海の中道のプールじゃなかったか?」と風紀。
「だな。まー、あっちの方が金がけっこうかかった気がするけどな、確か」
ゆりえが「志賀島っていったら『漢委奴国王』って刻まれた金印が見つかった場所で有名だよね。それで邪馬台国の九州説が有力なんだよね」
「そうなん?」と、かなこ。
またゆりえが「1784年天明4年にお百姓さんのかん兵衛さんが自分の田んぼで発見したもんなんよ。それが志賀島の金印」と、言った。
その時かなこが「でもわたしは畿内説派なんだけどね」と言った。テヘ?
「なっ!」
ゆりえは「歴史書でもある『三国志』の一部が『魏志倭人伝』だよ。図書室にもあるよ。あれ読めば九州説は明白だよ」
かなこは目が点になった。
「地元愛とかもあるでしょ?わたし親戚が畿内に多くて、それで畿内説なんだけど」
「それ、考古学者が研究予算を獲得するために唱えてるだけだよ」
「えっ?」
「…………」と、ゆりえ。
「九州説!」
「畿内説!」
ゆりえはどこからともかく居合刀を出した。斬る!!
かなこはどこからともかくサッカーボールを出した。ぶつける!!
梨子と風紀が、「やめろって」「海水浴場に来てまで何してんだよ、お前ら」と言った。
「どうせやり合うなら、せっかくだからビーチバレーにしろ」
「一プレーで一ポイント制な、図書委員ルールだ」
ネットを持ってきたゆりえとかなこは、ネットをはさんで、ボールを持ったゆりえが、「ブチ殺す!!」と言ってボールを構えた。
「ここに墓建てな!」かなこもレシーブの態勢を取る。
「相手倒したら勝ちとかナシな、一応」と、梨子。
うおおおおおおおおお!!!!と、ゆりえたちは叫んだ。プレースタート!
梨子と風紀がゆりえたちを放っておいて、
「さて、」
「バカどもは放っておいて、遊びますか」
* * *
関口と田嶋は浜辺で漫才を始める。
「知ってっか?志賀島ってのは元寇としても有名な場所なんだぜ!」
「元って昔のモンゴル帝国のことか」
「マルコ・ポーロの『東方見聞録』に載っていた黄金の国ジパングに欲をかいた元の国が、日本を二度に渡って襲撃したんだよな」
「1274年 文永の役と1281年 弘安の役の二回な」
「壱岐対馬は占領されて朝鮮も元の国に続いて兵を出し、博多から今の香椎あたりまで攻め込まれたらしいぞ」
「でも二回とものちに神風と呼ばれる大嵐によってフビライの軍船は、ほぼ壊滅したんだろ?」
「そん時、蒙古兵約百二十人が志賀島に流れ着いて、サムライが全員ブチ殺したんだぜ!」
「すごいね。けど、日本を攻めた蒙古船団は当時、世界最大の艦隊やったらしいからな」
関口の彼女の夏美が、「すごいねー。わたしも当時に生きてたら蒙古軍団と戦いたかった」
「ウルセぇよ夏美」
「でも知ってた?本当は元軍が撤退したのは台風が直接の原因じゃなくて、実戦で日本側が純粋に勝ったからなんよ!」
「えっ、マジかよ!」
「九州男児ナメんなよってカンジだよね!」
「お前、女だろ……」
「九州女子もナメんなってことだよ。怒ったら怖いんだよ?ふっふふふ」
「やめろ。お前が言うと本当に首が落ちる………」
* * *
マギーは一人、砂浜で座って波を見てたそがれてた。
「志賀島ってイッタラ、万葉集の柿本人麻呂が詠んだ歌に出てクルナ。前に書道デ書イタ。
『大君の遠の朝廷とあり通ふ島門を見れば神代し思ほゆ』……島門ってノハ志賀島と能古島を門に見立てた謂イナンダヨネ…………」
マギーのうしろでゆりえとかなこがビーチバレー勝負をしていた。
まったく勝負は着かなかった。
「一生ヤッテロ」と、マギー。
* * *
風紀が梨子に、「そういやオレらって、自分で言うのも何だが暴力女だよな?」と、言った。
「まぁ、お前はジークンドー。わたしはこう見えて蹴り使いだしな」
「海ならナンパ野郎たちに付きまとわれて相手をボコボコにってのがお約束だよな」
「マンガなんかでよくあるな」
「でもこんな朝っぱらからヤローどもなんていねーよな」
「そりゃそうだけど」
梨子と風紀が声を合わせて、「「来ねーかな~ナンパ野郎」
それをうしろで見ていたつぼみ先輩が、心の中で、
さすがの龍虎コンビ………。海に来ても考えてることが違う……。
と、思った。
* * *
サーフィンに来たであろう水着の男たち数人が、図書委員たちの姿を見つける。
「おっ、見ろよ。女がいっぱいだ!声かけっか?」
それに気づく梨子と風紀。
「おお、見ろよ梨子!!」
「ああ!!」
梨子と風紀は男どもに声をかけた。
「「おめーらナンパか?声かけるのか?」」
「え、はい。一応そうですが……」
「「いや~、待ってたよ。歓迎するよ。よろしく!」」
次の瞬間、梨子と風紀は連中に躍りかかった。
ドカ バキ ガス ドム ゴッ ズド バコ ビシ
悲鳴を上げるヒマもなかった。
それを見ていたつぼみ先輩が、「ちょ……、一方的に!」
なぜこの世から暴力は無くならないの?
「さ~て、血の雨も降らせたことだし」と、梨子。
「いや、降らせたらダメでしょ、二人とも」
つぼみ先輩が、非力にツッコんだ。
「昼にうみなか(海の中道)の水族館にでも行きますか!」と、風紀。
「オッ、いいなそれ!」
つぼみ先輩は、言いにくいんだけど……というような口調で、
「あの~」
「「?」」
「もうお金がないの。アハハ、ごめん!」と、謝るつぼみ先輩。
ガクッとなる梨子たち。
* * *
マギーはずっと、浜辺で座って海を見ていた。
志賀島には初めて来たので、ワタシはズット海を眺めてイタ。
忙しかった日々の中の楽しみ。苦あれば楽ありのスピリット。
人生とは不思議ダナァ……。
ゆりえとかなこがビーチバレーを終えた。
「やるじゃん、かなこ」
「今日も引き分けやね、ゆりえちゃん!」
それぞれの海水浴のあと、みんなは現地解散した。
「そういやマギー、あんた何で海に入らんやったと?」
「小さい頃ニ『JAWS』って映画観たからデス」
「何の映画、それ?」
「サメです」
* * *
野良猫ミントの今日の言葉、
「いい思い出作りになったみたいだね!みんなよかったね」
つづく
もう夏も終わりですね。てことで、夏の回を書きました。海には行ってないけど、福岡と言えば志賀島ですよね。ではまた、感想やレビューを頂けたら嬉しいです!!もっと書きますよ~、なんちゃって。




