【ss】同僚の田中
掲載日:2017/12/05
「いやー、参ったよ」
隣でタバコを吸いながら田中は呟いた。
「この前財布落としてさぁ、パチンコで勝った5万とカード類全部無くしたんだよね。警察に行ったんだけどまだ財布見つかってなくて。最悪だわ」
「それは災難だな」
ありきたりな返事をする。
久しぶりに高校時代の友達である田中が地元に帰ってきた。
俺は地元から出たことはないが田中は時折地元に帰ってきてはベラベラとお喋りをしてまた帰っていく。
高校生の時は彼がタバコを吸いながら愚痴をこぼすようになるなんて想像もしていなかった。
田中のお喋りは止まらない。堰を切ったように話し続ける。
「山中もガミガミうるせぇしよ。チームの人数が少ないならその分働け!って毎日残業続きだよ。全く嫌になるぜ」
山中、というのは田中の上司だ。毎回毎回この男の愚痴で話しを締めくくるのが鉄板だ。
「っと、愚痴ってばかりだな。久々に会いに来たってのに悪いな」
「いや、気にすんなよ。またツーリングでも行こうぜ」
「それにしてもお前も災難だったよな」
ん、どういう事だ?
と返す間も無く田中は続ける。
「この若さで事故死するとはなぁ」




