表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
刻の召喚士  作者: jnsto
青年期 『竜丿墓 スクラップオーク』
51/80

第47話「竜王戦」

「……無茶な事を言うな」

「無理ではないだろ?」

「当然だ。任せろ愛する人」

「ココ。作戦は全部ハムリンに伝えておいた。頼むぞ」

「うん……気をつけて」


ココはハムリンから俺のコートを受け取ると、それを俺に着せてくれた。袖を通し、覚悟を決める。


「いってらっしゃいリッカ君。……早く帰ってきてね」

「ああ。行ってくる。家は頼んだぞ、ココ、ハムリン」


笑え、笑ってやれ。笑ってこなしてやれ。こんなもんは簡単だ。難しく考えるな。できて当然なんだ。だから、俺達は、絶対に勝てる。


召喚サモン簡易加速アクセル!!」

「……中央を突貫……?無謀ですわよ」


両手に斧を召喚し、全力で駆ける。無謀?そんな言葉で俺が止まると思ってるのか?そんな言葉で止まるくらいなら最初からあんたに挑もうだなんて思わないさ!


リンクは繋げた。ギリギリだったけどな……召喚サモン!来い、キィン!!」


森の入り口。俺の相棒はそこにいる。問題は強制力。俺にはもう魔力はほとんど残っていない。召喚紋から機能する転移魔法を発動させるほどの魔力はない。キィンが俺の呼びかけに自ら応じてくれれば、あいつは自らの魔力を使ってここに来る筈だ。頼む、来てくれ。でなければこの作戦は一気に難易度が上がる。俺がガレットに辿り着くことができなくなるかもしれない。……でも、会ったばかりだけど、あいつなら来てくれる。そんな気がした。


薬物召喚の時間は切れた。俺の魔力は枯れ果てて、もう念話をすることもできない。キィン、来い!!!





「ギィィィィィィィン!!!!!!」

「………………っんとに最高だな、お前は!!」


俺の目の前に現れた光の玉からキィンが出現する。後ろ向きのその背中に飛び乗り鞍に足をかける。よく来てくれたキィン。……本当に、最高だ。


「もう念話もできないが、言いたいことはわかるなキィン!」

「ギィンッ!」

「持ち主が夜逃げしたんだってなぁ!じゃあお前も、本気で走りたくてウズウズしてただろ!!」

「ギィィィンッ!!!」


段々と、いつも穏やかだった眼にシワが寄り魔獣と言われるに相応しい顔つきになる。こいつならやれる。何も問題はない。


「じゃあ俺はもう、お前に刻んだ言葉を叫ぶだけだ!"一緒に走ろう"ぜ、キィン!!!」

「ギィィャャヤヤアアア!!!!!!」


既に十二分に速度が出ているというのに更に速くなっていく。ただ足が速いんじゃない。こいつ簡易加速アクセルを使ってやがる。俺が5年かけて覚えた魔法を覚えてやがった!!確かにこれなら競竜で頭張れる筈だよ!!!


「一騎駆けは戦の花だ!駆け抜けろ!!!」


魔獣の間を縫いながら徐々に距離を詰めていく。何度か攻撃を受けそうになりながらも、横から来た攻撃は俺が受け止め、前から来る攻撃はキィンが上手く避け続けている。まだ出会って日は浅いけど、ちゃんと信頼してくれて嬉しい限りだ!


「……この数、間を抜けてこれるとでも思って?みな中央に!!そのトカゲを止めなさい!!!」





「……それはさせない。私も全力で行くぞ!竜丿翼カンナエ!!!!」


俺の両脇に炎の壁が出現する。ハムリンの竜丿翼カンナエ。これで岩場を包囲していた軍勢を分断する。上から見ればまるでホールケーキを八等分したようにでも見えているのだろうか。左右に余裕はあるから残っている敵も避けつつ接近できる。この速さなら!


「…っ!これが噂に聞く竜丿翼カンナエですわね。でもこの火力で、わたくしの魔獣たちが分断されると?」

「ーーだから補強させてもらうよ。ボクも本気でいかないとね……硬葉セラリフ!!!」


竜丿翼カンナエの火炎の壁に沿ってココの硬葉セラリフが生え広がっていく。これで硬葉セラリフは弱点である水にも負けることはない。現時点、あいつらで作ることができる最強の硬さをもつ壁だ。


「……無意味なことを。分断できたからといってわたくしが貴方に負けるとでも?」

「負けるさ、あんたは」


硬葉セラリフは俺の前方に居る魔獣達にも絡みつき、動きを止め始めた。避ける必要がなくなった分、更にキィンの速度が速くなる。


駆ける。ひたすらに駆ける。俺を振り落とそうとしているかのような速さだ。俺も必死にしがみつく。だがまだ遅い。もっと速く。まだ動きが取れる敵はいる。キィルに付けていた荷物を斧で切捨て、更に速度を上げる。


もう、すぐそこだ!!!


「俺を吹っ飛ばせ、キィン!!」

「ギィッッッ!!!」


キィンは急停止し、俺は前方に突き飛ばされた。着地先にはガレット。遠いようで短かったな。会いたかったぜガレット!!!





「くらえ!!!」

「……っ!」


ガレットは後方に跳び俺の一撃を避けた。腰に付けている剣はレイピア。あの細い剣で斧の一撃をまとめに受け止めるのは難しいだろう。


一対一サシだ。やろうかガレット」

「……受けて立ちましょう。リッカ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ