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刻の召喚士  作者: jnsto
青年期 『王都ダインアレフ 竜を喰った女』
39/80

第36話「魔獣を狩る者」

「というわけだ」

「………ぅぐっ!………ひぐっ!………ドライダさん………」

「お前にも色々あったんだな」


言っては悪いが中々テンプレ通りの展開だった。でもまあ、それがテンプレ通りだとしても悲しい過去なことに違いはない。それ相応の過去を経験してきているんだな。この変態眼鏡も。


「で、世に名前を広めることと俺の奴隷になることにはどういう繋がりがあるんだ?」

「………ぐすっ…た、確かに………」

「ん?いや?それには繋がりはないな」





「「え?」」


待てよ。このくそ長い話はなんだったんだよ。途中までシィルも聞いてたけど流石に飽きたのか養子の話くらいでまた寝ちまったぞ。因みに今は11時だ。かれこれ2時間飯も食わずに話を聞いたというのにこの女は…


「奴隷になったのは、それはもう純粋に。好きだからだ。愛する人が」

「ちょちょちょっと!?また飛躍してますよハンニバルさん!?さっきの話といい賭け事といい、好きになる要素ありました!?」

「ここまでコテンパンにやられたんだ。その男の女になる他ないだろう。奴隷になったのはあれだ。奴隷の女を連れているみたいだったからな。奴隷になればワンチャンあると思ったんだ」

「そんな大学生の合コンみたいな言葉で表現するなよ」

「そ、そうですよ!再覚醒の闘魂とか意味わからないです!!」

「最覚醒の闘魂の方が意味わからないから。落ち着けココ」

「これが落ち着いていられますか!!自分の物が他人に取られようとしてるんだよ!?」

「ココはちょいちょい俺のことを物扱いするよな」

「はっ!貴様が何を言おうと決めるのは愛する人だ!さあ愛する人!私とワンチャンしようじゃないか!!!」

「しねえよ馬鹿かお前そのツインテール引っこ抜くぞ」


彼女はきっと、好きという感情と負けたくないという感情を履き違えているのだろう。今まで火竜以外に敵が居なかった彼女には、多分その違いがわからないのだ。


突然現れた自分とタメを張ることのできる人物。そいつにギャンブルとはいえ負けてしまった。悔しい、どうしよう、あれ、そういえば私あいつのことばっかり考えてる…みたいな少女漫画の王道パターンだ。少女漫画のヒロインにしては中々パンチが効いてるけどな。ピンク髪だけは評価してやらんでもない。


「…まぁいい。じゃあ次は俺の話を聞いてくれ。俺が旅をする理由を話す」

「…いいだろう、愛する人。話してくれ」

「だからその愛する人っていうのやめてください!!!」



++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++



「…何か問題があるのか?好都合じゃないか。私も魔王とその幹部を倒して世に名を響かせたい」

「確かにその通りなんだよなぁ」


俺も話す前に薄々気付いていたが、こいつは魔王の幹部と戦うからと言って引く女じゃない。むしろ名を広めるということであればこれ以上にない目的の一致だろう。話すべきじゃなかったかもしれない。やばい、ミスった。普通の人ならそんな危険なことに踏み込まないだろうが、こいつは生粋の変態だった。


「何を迷う必要がある?私はこれでもAランクだ。力になれるぞ私は」


この世界の冒険者のAランクというのがどれほどの物かはわからない。でもそれがアルファベット順でない一般的なものなら(Zが一番強いとか)Aランクの仲間というのはとても心強い戦力だろう。因みにこの世界の文字はとてもアルファベットに似ている。不思議だね。


「…うーん…でも変態だしなぁ…」

「せめて変人と言ってくれないか…?人と変わってることは認識しているが変態的な趣味はない」

「露出狂が何かいってるよリッカ君」

「黙れ狐小姑。あれは立派な交渉術だ。いいだろ愛する人。私は旅にも慣れている。旅は好きだ。火竜は世界旅行が好きなものだろう?」


お前は火竜じゃないだろうが。


「…何の話だ?」

「ほら、火竜っていうのはいつも空を飛びまわって降りてこないから時間切れになってしまうものではないか。私なりのジョークだよ」

「どこの狩ゲーの話だ。簡単に第四の壁を抜けてくるなよ。………まさか"お前も"なのか?」

「愛する人もそうなのだろう?あそこまでトランプのギャンブルに詳しい異世界人もいまい。ブラックジャックでカウンティングする奴にも初めて会ったしな。前世のことについてはほとんど覚えてないからあまり説明できないのだがね」

「リッカ君、ボク話についていけないんだけど…?」





「ハムリン!!お前も辛かったんだな!!よろしく頼むぞ!!!」

「おお愛する人よ!こちらこそよろしく頼む!!」


硬く手を握り合う2人。そうか。こいつもそうだったのか。因みに俺はハンマー使いだったけどこいつは何使いなんだろうか。なんかゲームを楽しむとかじゃなくて弓ソロとかで淡々と始末してそうだな。


「!?リッカ君!?どういうこと!?」

「同じ世界で戦ったことがあるんだ」

「ああ、基本私はソロだったけどな」

「大丈夫、俺もだ」

「愛する人もか!気が合うな!」

「ちょっと!どういうこと!リッカ君!?説明してよ!?」

「狩友は永久に超絶に不滅なんだよ」

「そういうことだ」

「どういうことなの!?」





初めて会う同じ転生者は、変態で眼鏡で露出狂でツインテールの狩人ハンターだった。

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