壱話 はじまり
やあ こんにちは
僕はこの話の案内人
この物語は交通事故に遭った少女が歩んできた人生の話だ
少女の名前は『玲』
僕はね
この物語を円滑に尚且つ簡単にする為に少し割愛させてもらおうと思うんだ
本当に話したいところまで簡単に説明させてもらうよ
玲は平凡な家庭に生まれ
父、母、4つ離れた弟と4人家族だった
だが父と母が離婚し
小学三年生の夏、引っ越して新天地での生活を始めた
玲は母子家庭ながらも一生懸命働く母のために家事を覚え始めたんだ
弟のためにもしっかりしなくてはと意気込んでいた彼女は毎年夏に開かれる親族会議にも出席するようになる
母は3人兄弟の末っ子で
本家は序列を重要視して男女差別が激しい
祖父は何より男児を可愛がっていたみたいだね
序列が低いだけでなく女児であった彼女は祖父の目にも入らないような存在だったのさ
だけど それだけではなかった
親族はみんなスポーツにおいて何かしら才能を持っていたのに対して玲は違った
玲は文化的な芸術的な方に才能があった
だが祖父にとっても親族間においても芸術はわからないと玲を評価することはなかった
玲はコンプレックスを抱きながらも見返してやろうと思ったんだ
そんな彼女に追い打ちをかけるように問題がまた出てきた
転入先での生活は上手くいってなかったんだ
玲は舞という少女と仲良くなったんだよ
舞は最初はどこにでもいるような少女だった
でも次第に舞は変貌を遂げる
物を盗ったり 隠したりなんてものは日常茶飯事
排水口のようなドブが溜まったちょっとした溝に玲を落としたり、あからさまな嘘をついたりした
玲は舞に振り回されて、転入先でいじめにあって疲れ果てていた
そうして起こったんだ
玲の1番のトラウマとなる出来事が
僕の出番はここまでだ
ここから先は玲の目で見て欲しい