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ギャップ彼女  作者: 星川瑠月
第2章
6/16

桜譁祭 準備編

6月下旬には桜譁祭がある。


その準備で、生徒会の仕事もますます忙しくなっていた。生徒会としての初めての大きな仕事だ。気を引き締めないと。


といっても、桜譁祭当日はあまりすることがないんだけど…。


2人組の女達に叩かれた次の日、

桜譁祭について先生から説明があった。


2人のクラス委員が前にでて話している。私はただ、ボーッと聞いていた。


眠い…


あまりにも眠いので、私は頬杖をしながらウトウトしてしまっていた。



「では、A組は、メイド&執事カフェでよろしいですね。」

「いいでーす!」


一体、何事!?


あまりにもクラスの歓声がすごくて、眠さが吹っ飛んだんだ。


私はクラス委員のいる前方へ視線を向けた。


…え…


黒板に書かれた文字を見て、驚いた。

だって…


よりによってメイドカフェだったから。


なぜ喜ぶのか?

まぁ私は裏方だと思うからヨシとしよう。


裏方だと思っていた。

そう思っていた……


しかし裏方と接客担当はなんと、クジで決める事になったんだ。


はぁ…


クジを引き終えた私はため息しかでなくて。



だって、何度紙を見ても「接客担当」の文字なんだ。


おかしい。

私、クジ運良いはずなんだけどな。何かの陰謀か?


「リンは何だった?」


クジを引き終えた伊吹がやってきた。

昨日のあの事件から、よく私の所へきて話しかけてくれる。


『接客だった…。』

「マジ?俺も接客だった…」

『伊吹はかっこいいから、絶対執事服似合うよ!!』


「そ、そ~かな…?」

『そうだよ!!』


伊吹は照れているのか顔が赤くなっている。かわいい。


「俺、リンのメイド服楽しみにしてる!」

『あ、ありがとう…。』


そんな事言われると、プレッシャーが…

メイド服は着なれてるけど、絶対似合わないもんな…


放課後、伊吹と一緒に生徒会室に行く。


『こんにちわ~』

「何だ、チビ共か。」


蓮はソファに座り、携帯を弄りながらチラリと私達に視線を向けた。どうやら、まだ蓮しかきていないようだ。


「蓮!?チビ共ってひどい!!」


伊吹は、ほっぺを膨らまし怒っていた。


『そうだよ!!私は兎も角、伊吹はすごく大きいよ!!』


身長が低い私には、みんな大きく見える。伊吹は、165cmほどか?


「ぶはっ」

「すごく大きいってさ~良かったね。い・ぶ・きくん」


私がフォロー(?)すれば、蓮は吹き出しゲラゲラ笑いだしたのだ。


…あれ?



私変な事言ってないよね?

ちらりと伊吹を見る。


う…怒っているっぽい?


すごい大きいは、言いすぎたか…

あはは。

伊吹…ごめん。

私は苦笑いを浮かべる事しかできなかった。


そんな時ガチャリとドアが開き、悠斗、翔、隼人が入ってきた。


「なになに~?楽しそうだね?」


そう言いながらソファーに座る隼人。


「まぁ…な……大き…いって…っ…」


ゲラゲラ笑い続ける蓮。

笑いのツボにはまったのか?誰か止めてあげて


「べつに」


伊吹はまだ頬を膨らませ、不貞腐れていた。

いつまで笑い続ける蓮に怒っているようだが、その姿も、もはや可愛いとしか言えなかった。


悠斗は、そんな伊吹と蓮を不思議そうな表情で見た後、私に視線を向け口を開いた。


「リン。クラスの出し物決まったか?」

『うん。メイド&執事カフェになった』

「そうか。……メイド服着るのか?」


私がコクリと頷けば、悠斗は眉根を寄せた。

どことなく不機嫌そうな悠斗。

急にどうしたのだろうか?


…あ


ま、まさか、私のメイド服姿を想像して気分を害したとか…


ありえるかも。


似合わないって分かっているけどさ、かなりショックである。


私がショックをうけていると、隼人が口を開いた。


「え~!リンちゃんメイド服着るんだ?楽しみだな~。みんなで見に行くよ」


嬉しそうにする隼人だったが、私をフォローしてくれているに違いない。


隼人の言葉に対し伊吹は、すかさず「くるな」と言うものの「ぜった~い。行くもんね~。なっ。蓮?」と蓮に同意を求めていた


「は?なんで俺がチビ共を見に行かなきゃなんねぇんだ。」

「またまた~」

「ねぇ、蓮」

「…んだよ?」


隼人が蓮の耳元で何かコソコソ話しだした。


「チッ、行けばいいんだろ」


どことなく蓮の顔が赤い気がするのは気のせいだろうか?


隼人は悠斗と翔に視線を向ける。


「悠斗も翔ももちろん行くだろ?」

「あぁ。」

「いいよ。」


悠斗と翔が答えれば、隼人は満足そうに「楽しみだね」と微笑んでいた。


結局、みんな来るらしい。


「悠斗たちのクラスは何やるの?」


驚く事に、悠斗、翔、隼人は同じクラスだ。絶対このクラスは女性が殺到しそうだ。


「クレープ屋だ」

『そうなんだ』


イケメン悠斗たちには何て似合わない食べ物…想像つかない。


「あぁ。きっとうまいぞ?リン食べに来い」

「ゆうとは食べれないけどな」


嬉しそうに話す悠斗に、呆れ顔の隼人。


「わかってる」


眉をよせながら話す悠斗は、どことなく残念そうだ。


「蓮のクラスは確かお化け屋敷だったな?」

「あぁ。何でお化け屋敷なんだか。チッ。めんどくせぇ。」


翔が蓮に尋ねれば、舌打ちしながら蓮が答えた。余程、嫌らしい…


「れんれんのお化けも見たいな~」

「ケッ。誰が、んなもんやるか。俺は受付だ。受付。」


隼人は悪びれもなく言う。

確かに蓮はお化けよりも受付のがいいかもしれない。そりゃあ、蓮のおばけ姿見たいけどね。


でも、イケメンの蓮が受付にいれば、それだけで呼び込みになるだろう。


それから毎日忙しかった。

クラスでの準備。生徒会、バイト…。


あいかわらず嫌がらせの手紙は入っていたが、今のところ、あの2人組は何もしてこない


まぁ相変わらず、罵声や侮辱の笑い声が針のように常に刺さっていたが。


クラスでは伊吹は私の所へよく来てくれる。

伊吹も私なんかより、友達といたいだろうに


この前泣いちゃったから、きっと気にしてくれてるんだよね?

なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいだ。


それでも伊吹のおかげで、何事も起らず平穏の日々を過ごす事ができたのだ。

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