chapter1
作者の黒さんです。初投稿となります!更新ペースも遅いし、まだまだ小心者ですが末永く見守っていただければ幸いです!
バーチャルリアリティシステム。通称VR。最近になって注目を浴びてきた技術である。医療方面で開発されたことからから始まり、軍事、政治、経済と次々に使用ジャンルが増えてきている中、娯楽のためのソフトウェアが開発されるのはある意味当然のことだと思う。案の定、次々とさまざまなジャンルのゲームが販売されていった。ただし、欠点が一つ。多人数参加型のソフトは作れないのである。大量のユーザーからそれこそVRだからこその膨大なデータが集中するのだからシステム面で不備が出ると言うこと。
しかし、
「さーて皆様。VR技術の最前線、“クロウト”が最新作を本日未明に発表しましたぁ!実現不可能と言われた多人数参加型、MMOを世界最速の速さでゲームに実装!そんな夢のようなゲームを只今から限定三つに限り、特別先行販売を致しま~す!!」
近所のゲームショップでこの店内放送を聞いたときは驚いた。そして当然だが俺の最速のスピードで押し寄せる客の波より一足早くレジへ辿り着き、その場で購入したのは言うまでも無い。諭吉さんが10枚召されたが気にしてはいけない。財布が軽いねぇ。
俺は嬉々として自転車に機材を乗せ、悠々と自宅へ帰る。
現状解説だが、元々ゲームショップにはVR機材を買うために来ていたのでちょうどいいことこの上ない。そして帰り道の電光掲示板にはでかでかとクロウト社の新作の情報が張り出されている。
さらに掲示板をよく読めば世界で100機しか発売されていないらしい。しかも日本国内のみ。俺の幸運に今一度感謝。ってかあの店に三機も置いていたのが不思議でたまらない。 ・・・細かいことは気にしない。
とにかく俺は最新のVRゲームを手に入れたんだ!
「~~♪」
機嫌がいいので鼻歌を歌いながら帰る。
「お母さ~ん。変な人がいるよぉ。」
「しっ!見ちゃダメヨ!」
・・・ひどいな。
まぁなにはともあれゲームは手に入ったんだ。使わない手は無い。一人暮らしのワンルームに機材を運び込み、放置された相棒に説明書どうりに配線し、夕食などの所要を済ませてサービス開始の午前一時まで待つ。いや、ものっそい眠いけれども。
ちなみに解説しておくと今は夏休みだ。宿題を早々と終わらせた俺は貯めていた10万を財布に入れ、VRのゲームを何か買おうと詮索していたのだ。そこで棚から牡丹餅のように転がり込んできたVRMMORPG。名は【God Caprice Online】。解説書を隅から隅まで目を通した。あらすじはこんな感じ。
▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△
その昔、神は気紛れに世界を創った。
そして生命をこれまた気紛れで創り出した。
そして気紛れの神はこの世界に魔法を与えた。
事を終え、神は帰っていった。
しばらくすると魔法から動物が生まれ、動物から人が生まれ、人から魔物が生まれた。世界はバランスを保ち、その命たちを世界に留めた。
だが、魔王の出現によって世界は変わり始める。
魔物が侵攻を始めたのだ。
魔王が現れて以来、魔物の繁殖は異常に早くなり、世界のバランスが崩れ始める。
人は対抗手段として冒険者たちに魔物を狩るよう頼んだ。
あなたは勇猛果敢な冒険者になり、魔物を存分に屠るのもよし。
生産職になり、後ろからから他の冒険者を支えるもよし。
あなたの好きなように生きていけばいい。
なんせこれはすでにもう一つのあなたの人生なのだから。
▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△
以上、説明書冒頭部分丸パクリでした。製作者は厨二病なのか聞いてみたい。あと文章構成能力の低さについても質問攻めにしたい。
とにかくサービス開始まであと一時間。現在深夜0時。
アバター製作はオフラインでできるらしいからそろそろ始めたいと思う。頭を覆うヘルメットのような機材に頭を入れ、視界が遮られてしまい前が見えない中、手探りでそれなりに値が張った自分のベッドに寝転がる。
アニメの主人公とかなら『LINK!!』見たいな事を言うんだが、生憎そんな趣味は無い。それこそただの馬鹿だ。
耳の辺りにある少し機材から出っ張った起動スイッチを押し込む。
<――LINK START――>
音声が頭の中で響き、一気に意識が堕ちていく。体に穴が開いて少しずつ消えていくように、少しずつ。
(VR技術ってすげーな。)
内心そう思いながら心地の良いその感覚に身を委ねる。
―――――――――
――――――
―――
どれくらい時間がたっただろうか。一気に意識が覚醒していく感覚に襲われる。
視界に写るのは一面の白で覆われた空間。自分自身の体も白くなっている。見たところ説明書にあったアバター製作画面で間違いなさそうだ。
するといきなり目の前に<しばらくお待ちください>と書かれたホログラムのような画面、たしかバーだったか?そんなのが写る。
そしてそのバーに文字列が並び始める。良くある利用規約の同意とか、IDやパスワードの設定などのMMOならではの質問が並ぶが、ある程度は説明書で把握していたので問題ない。打ち込むだけなので一気に消化する。ちなみにバーの操作はタッチパネル感覚である。
最後に入力内容の確認を済ませ、みんな大好きアバター製作に入る。
鏡のようなバーが表示され、俺の姿が映る。いや、ただの白い塊だが。
鏡のバーの横に新たなバーが現れ、輪郭や体つき、目や鼻に口、爪やらほくろまで、様々なパーツが一気に並ぶ。何度かVRじゃない二次元のRPGでよく見る光景だ。今は画面の中じゃなく自分で触れることができるんだから感動。
そんなことよりも自分を創らないと。元の顔はあまり不細工ではないと自負しているので“ほとんど”変えなかった。ちなみに俺の見た目はとある○術に出てくる一○通行さんの黒髪バージョンを想像すれば限りなく俺に近いと言える。目つきから体格まで似てるから一度白髪にするべきか迷った時期もある。
パーツを入力していくごとに、どんどんと鏡の中の俺が変わっていく。顔の部分があ出来上がったときは感動とかより達成感が大きかった。
だが体格は主に筋肉面よりも敏捷能力に適した体格に設定した。でも筋肉量は並程度につけてヒョロッとした体からはおさらばした。補足だが体格にはステータス補正があり、技術や速度的な面で活躍していきたいと言う基準で体格を決めた。要するに希望職はアタッカー。敏捷に補正が掛かっているのは言うまでも無い。
こんな短文にまとめられてしまったアバター製作だが、パーツ一つ一つ選択しながら決めていくので四十分ほど時間を割いた。なんとも面倒だ。
だが体格設定のときに男のマグナムの設定まであったのは・・・・
いや、卑猥なことを考えるんじゃないぞ!俺!!
性別変更禁止のルールを恨むな!!
ともかく俺のアバターが出来上がった。少し目つきを変えたので男女っぽくなったが気にしない。
バーの一番左下にある<完了>の部分に触れると、今まで鏡の世界に居た俺が足元から少しずつ消えていき、真っ白な塊の俺が足元から消えていったのと同じように再現されていく。
頭の頂点が出来上がったとき、体の感覚が一気に付いてくる。
手足を動かしてみて異常が無いことを確認。少し体が重いんだが、新たに得た筋肉の分と思っておこう。
アバター製作が終わったことを告げるバーが現れ、<これでよろしいですか>と表示されたので了承すると、<スキル設定に移ります>のアイコンが表示され、また視界が白で覆われていく。
そんなの説明書に載ってたっけという疑問を残しながら。
10月2日 一部改訂




