第二層
──???視点──
ピチョンピチョンと水滴が地面に落ちる音が鳴り響く。
全体的に白い石造りの建物の奥の方からコツンコツンという足音と共に男が現れる。
「おや?こんなとこに人が倒れてるなんて」
その目線の先には頭部から血を流し、身体中擦り傷だらけの建が倒れていた。
男が建に近付き右手をかざす。
するとゆっくりとだが身体中にあった傷が治療されていく。
数十秒後、建の身体にあった傷は完全に治療された。
男は治療が終わると次は建を揺さぶり始める。
「君、起きれるかい?」
──建視点──
「────れるかい?」
「──い」
なんだろう、この声 。
「────きてくれ」
「おーい、起きてくれ」
俺は何度も聞こえてくる声を確認するため目を開く。
え?ここはどこだ。
何だこの建物。
目の前にはテレビで見たことあるローマの神殿のようなものが目の前に広がっている。
そしてその景色と共に、顔にモヤが架かった人が立っていた。
「おっ、やっと起きたか」
「あ、あんたは誰だ!」
「んー、難しい質問だね。僕はこのダンジョンの主」
「所謂、ダンジョンマスターだね。」
ダンジョンマスター?
ダンジョンマスターとは都市伝説の存在として語られているダンジョンを生成した人の事だ。
だが、その存在はいないとされている。
「そんな馬鹿な」
「馬鹿なと言われても実際僕がこのダンジョンを作ったからね」
「こんな景色のダンジョンなんか見た事ないぞ!」
「あぁ、それはそうだと思うよ。なんせここは探索者が決めた名称でいうところの神殿型ダンジョンだからな。」
「し、神殿型ダンジョンなんて世界に2つしかないだろ!!」
この世に確認されているダンジョンの数は
塔型ダンジョンが約900。
洞窟型が約700。
遺跡型が約100。
自然型が約10。
神殿型が2。
なのだ。
その2つしか確認されていない神殿型と目の前の人物は言った。
「それは、ここが英国と米国の次に作られた神殿型だからな」
「そしてここはこのダンジョンの第52階層。最深部だ。」
本来こんなことを言われても信じるわけが無いだろう。
だが、目の前の神殿のような建物を見ると信じる他ない。信じるしかないだけど信じたくはない。
神殿型は探索者を数千人単位で殺害してきたダンジョンだ。
そして、一層以外は確認されていない。
いや、確認されていないというより確認出来ていないのだ。
そんな危険なダンジョンの最深部。
どう足掻いても俺が地上に変える術はないのだ。