第一層
『こちらダンジョン対策省です。ダンジョンが発──』
サイレンと共に警告が流れ始める。
なんでも、ダンジョンが現れたそうだ。
ダンジョン──5年前、世界中に地震が起き、青白い光に包まれた後、突如として現れ始めた魔物共の住処。
ダンジョンにはレベルがある。
難易度が低い順に
塔型・洞窟型・遺跡型・自然型・神殿型
全世界に現れたダンジョンは日々俺たち人間の住処を奪っていくかのように出現する。
今現在日本だけでもダンジョンの数は千を優に超える。
そして、1番難易度が低い塔型ですら、この5年どの国もクリアしていない状況なのだ。
その状況にも関わらず今日もダンジョンが出現した。
『ダンジョンの系統は遺跡型です。近隣の方は速やかに避難してください、繰り返します。ダンジョ──』
「おい、遺跡型だってよ」
「まじかよ、まだ塔型ですらクリアされてないのにどうしろって言うんだよ」
放送を聞いた人々は皆不安を隠すためか大声で話し続ける。
警察は大声で近隣の人々を避難させるため大声を出している。
「離れてください!!危険です!!」
1人の女性が警察が通行止めしている道へと向かっていく。
「探索者の八幡です。」
「探索者さんでしたか。お通りください」
敬礼をし、探索者を名乗る女に道を譲る。
「今の人も探索者なのか」
「随分綺麗な人だったね。建」
探索者が向かった方角を見ている俺に友人の大知が「見惚れてしまうのもわかるよ」などと言いながら話しかけてくる。
「見惚れてた訳じゃねえよ」
「あんなにも熱烈な視線を送ってたのに?」
「別に見てたのは綺麗だからじゃなくって探索者に──「なりたいから·····だろ?」」
「何度も聞いてるからもう言わなくてもいいよ」
「まったく冗談のひとつも言えないのかこの真面目め」
「へいへい、悪いね。俺は真剣に探索者になりたいから冗談に乗れなくてね」
少し空気が重たくなる。
そこに1人「ケンちん、イッチー、おっはよー!!」と突撃してくる。
「いっってえ!!なにするんだよ加奈!」
「えー?なにがーただ挨拶しただけじゃん!」
「あいさつの勢いで突撃してくるな!」
「えー、けちー」
そんな言い合いをしていると大知が笑い出す。
「なんだよ」
「いや、お前たち2人みてると馬鹿だなって思ってさ」
「「馬鹿じゃねえよ」」
3人で笑いながら学校へと向かう。
ゴゴゴゴゴゴゴ
「地震か?」
「いや、さすがに揺れては無いね」
「じゃあなんだよ」
ゴゴゴゴゴゴゴという音と共に突如地面が割れる
「──は?」
俺は割れた地面の隙間に飲み込まれる。
「建!!」
「ケンちん!?」
あっ、これ死ぬやつか。