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プロローグ

 空が裂け、まるで天そのものが血を吐き出すかのように赤黒い雨が静かに降り注いだ。その雨は容赦なく大地を焦がし、焼け爛れた皮膚のように剥がれ落ちる。雲を血の色に染め上げた赤黒い雨は、ただじわじわと大地を毒していく。すべてを見下ろす巨大な影は、そんな惨劇をどこか飽き飽きしたように見つめていた。


 真紅に染まった街を、無数の人々が駆け回る。絶望に突き動かされた悲鳴が幾重にもこだまするが、空を飛ぶ異形は意にも介さない。逃げ惑う者も、運命を諦めた者も、誰ひとりとして自分の運命を変えることはできないだろう。


 業火の中で足掻く人々の姿は、まるで世界を、神を、そして自らを呪いながら朽ち果てていくかのようだ。人も景色も、見えるものすべてが、真っ赤な地獄の底へと溶け落ちていく。最後に何が残るのか、それは誰にもわからない。


 空へと昇るもの、原型を失い無名の何かとなって消え去るもの。すべてを呆然と眺めるそいつは、つまらなそうに呟いた。


「ここも外れか……」


 すでに大地は朽ち果て、空を見上げれば、歪んだ笑みが浮かんでいる。


 あの光景を今でも夢に見る。恐怖に支配された私には立ち上がる勇気も、立ち上がった者に貸す力も残っていない。


 それでもいつかこの大地の悲劇を終わらせて欲しいと願う。


 あの悲劇を生き延びた私、レフィーレア・ウェルシュタレイムが託す。二度と繰り返されぬように、神を屠り、降り止まない血の雨を止められる力を持つ者へ届くようにと。


 私が残せるものは、ただこの言葉だけだ。後世の君が、この大地の破滅を食い止めてくれることを、ただ祈るしかない。

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