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勇者の飼い猫になりました。  作者: 眠れる森の猫
第一章 飼い猫ミリア編
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第6話 飼い猫ミリアは簀巻きになった。

 ミリアは死の間際、夢を見た。


 そして、思いだしたのだ。


 自分が男であったことを――


「わたし、おとこ、クラ、おことわり」


 ミリアはうんしょ、うんしょと布団をかぶり、ぐるぐる転がって自ら巻きとなった。布団にしがみつき、顔だけだして、クライシスをジッと睨みつけた。

 

 ミリアは完全防御に徹したのだ。これ以上、好き勝手にされてなるものか!!

 断固として抗議する。

 


(くっ、なんだこれは、布団にじゃれてるミリア、なんて破壊力なんだ)


「ふっ、ミリア、君が熱をだしうなされていたときのことだ。汗をびっしょりかいてしまった君を見て、これはいけないと思ったんだ。このままではミリアが風邪をひいてしまう。だからドレスからパジャマに着替えさせてあげたんだ。そのときだ。君の身体を隅々まで、丁寧に満面なく、フキフキしてあげたんだ。勇者の誇りにかけて誓おう。君は立派なメス猫なんだ」


 ミリアに平然と、満面の笑顔で答えるクライシス。

 なぜか親指を立てて、ガッツポーズをしている。彼は変態なのだろうか。


『変態行為をつつみ隠さず自白するとは、あっぱれと言うか、さすが変態、いや、勇者じゃのう』


「うそ、わたし、メスねこ……? おとこ、ちがう?」


『いやいや、ここはヘンタイ、シネと怒るじゃろて。というか……まったく聞いておらんのう』


 ミリアは悩んだ。あれは、ただの夢? 白い建物があって、たくさんヒトがいた。そして、自分は間違いなくオスだった。英雄ひでお、そう呼ばれていた。でも、ミリアはメスで、飼い主がいて、男と、散歩してた?


「だめ、どっちか、わからない、こまった」


 ミリアのネコミミが、しょんぼり悲しそうにうなだれた。自分のことが分からなくなってしまった。酷く落ちこむミリアだった。


『さっきも、勇者に殺されてしまったしのう。かなりアホになったかもしれん』


「大丈夫だよ。ミリア、君は一生、僕が飼ってあげるよ。ああ、僕の可愛いミリア」


 クライシスが何を言っているのかさっぱりだった。すべてが、たどたどしく聞こえてしまう。それは、ミリアの知力が1だから。それ故、考える力もない。


 そして――


 クライシスの魔の手がゆっくりとネコミミへとせまってくる。


「ああ、なんてキュートなネコミミなんだ」


 クライシスは何を思ったか、ミリアの大切なネコミミをもふもふしだしたのだ。


「はにゃぁ~」


 ミリアのネコミミは、触れられるとあそこがきゅんきゅんしてしまうのだ。

 

「ミミだめっ!!」


 触らないで!! と必死に叫ぶミリア。ミリアのミミをもてあそぶクライシス。容赦ないクライシスの攻撃にミリアはついに撃沈した。


「や……めて」


 1時間近く、ネコミミをもふもふされてしまった。


「あぁ……ぅ……っ」


 感じすぎていってしまったミリア。簀巻きのままだと逃げることが出来ない。簀巻きにはかなりの欠点があった。もだえるミリアの側でクライシスは満面の笑みを浮かべていた。


『慈悲も容赦も持ち合わせておらんのう』

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