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勇者の飼い猫になりました。  作者: 眠れる森の猫
第一章 飼い猫ミリア編
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第4話 飼い猫ミリアは餌を要求する

 ミリアが保護という名の監禁をされている勇者の屋敷。


 そこから海を挟んで、遠く離れた大陸に闇夜やみよの森がある。


 その森にあるダンジョンを住み家にして、仲間たちと悠々自適な野良猫生活をおくっていたミリアだったのだか……。


「にゃぁ~」


 ひょんなことから、猫好き勇者クライシスに捕まってしまった。


 縄でぐるぐる巻きにされての船旅。


「にゃぁ~」


 そして……


 クライシスの屋敷で保護という名の監禁生活、いや、飼い猫生活が待っていた。


 お し ま い。


『いや、いや、だめじゃろう。まだまだ、つづくぞい!!』


「うむ」


★★★


 ミリアはレディの教育を終え、ベッドですやすやと眠っていた。長い髪が寝返りをうつたび、さぁっと広がっていく。ううっ、とっても、ねむい。頭を使いすぎて疲れてしまった。今日の勉強で知力が3になった。いつか20になって、ニンゲンに戻れる日がくるかもしれない。ミリアはそう思った。


「zzzz」


 誰かの足音が聞えてくる。うるさいなぁ。尻尾でぺんぺん叩く。機嫌がとっても悪くなる。布団を頭からかぶり、三毛猫のミミを隠す。これでだいじょうぶ。と思ったら、キィーっと、ドアーの開く音がした。


「うん?」


 その音で完全に目が覚めてしまった。開いたドアの方に目をやると、そこにいたのは金髪イケメン男、クライシスだった。


「ふぁ~、むにゃむにゃ」


 寝起きなのか、大きなアクビをしてしまう。ヤツが戻ってきた。ということは、メシの時間だ。ベッドから、のそりと起き上がる。しかし、寝ぼけているせいか、頭をふらふらさせてしまう。


「うにゃ~!!」


 意識をはっきりさせようと背伸びをする。目の焦点が戻ってきた。どこからか視線を感じる。感じる方に目をやると、クライシスが自分を見てなぜか喜んでいる。自分の姿を見て極度の興奮を覚えているようだ。

 いつかヤラれそうな気がする。そう、視線の先にある大事な、とっても大切なネコミミをさわられてしまいそうな、そんな気がするのだ。


 絶対にさせない!!


 させてなるものか!!


「きしゃあああああああああああ!!」


 もちろん、クライシスに威嚇してやった。


「ああ、ミリア、怒った顔も、なんて素敵なんだ」


 だが、クライシスには効果がなかった。なぜが、さらに興奮しヤツは喜んでいる。ヤツは変態かもしれない。そして、何事もなかったかのように、クライシスが話しかけてきた。


「ただいま、ミリア、起こしてしまったかな、ああ、いつみても、可愛いなぁ」 


「うむ」


 とりあえず、返事をすることにした。


「最近、魔物が多くてね。僕も大忙しだ。このままだと、キミをでる時間が減ってしまう。これは由々しき事態だ」


 なんてことだと、考え込むクライシスを無視して、ミリアは鉄格子がついた窓を覗きこむ。もう、日が暮れている。ということは夕飯の時間、お魚の時間だ。


 クライシスをじっと見て、


「めし、まだ?」


 クライシスにメシを要求した。


「あははは、今日も可愛いね、ミリア、ほらぁ、ミリアの大好きなお魚さんだよ」


 クライシスが魚をとってきたらしい? 良きかな、良きかな、褒めて遣わそう。

 手に持っている魚に目をやる。

 とっても大きな魚だ。かじりたい。

 ほんの先っちょだけでもいいからかじりたい。


「じぃー!!」


 ねだるように、クライシスをジッと見た。はたから見たらボッとしているように見えるが、ヤツに向けて殺気もこめてやった。ふふ、怖いだろう、だからそれをよこすがいい!! よこせ、よこせ、魚を!!


「ああ、ミリア、僕をそんな目で見ないでくれ」


「じぃー!!」


「可愛いなぁ、よし、今日は焼き魚にしようか」


 だが、クライシスには全く効果がなかった。

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