第34話 第一回「いえ、まもる」会議
『ダンジョンマスターとなったからには、ダンジョンの拡張や整備、なによりも侵入者の進行を防がなければならん。おぬしは死なんから大丈夫じゃが、ダンジョン創造の巻物を奪われたらアウトじゃぞ』
「うむ、わかった」
『わかっておらんじゃろ』
ダンジョンマスターになる条件、マスターを倒しダンジョンコアを奪うこと、ダンジョンを成長させるには魔力が必要だ。一つ目は侵入者を倒すこと、二つ目は侵入者を長く滞在させるようなダンジョンを作ること、仕掛け、宝箱などでリピーターを増やす努力を怠ってはならない。ダンジョンの難易度が高いと侵入者が来なくなり、最悪の場合、勇者クラスの人間がきてしまう。なにより怖いのは国をあげての討伐を掲げれることだった。だからダンジョン経営は難しい。
☆☆☆
ダンジョン名 みりあのいえ
媒介 ダンジョン創造の巻物
レベル 1
マスター みりあ
魔力 300
家来 4
階層 1F~B2
評価 もっとがんばりましょう
☆☆☆
そして――
ミリアは、ダンジョンの魔力を消費して、マスターフロアの内装工事を行った。壁や天井を補修し、ボロボロだった壁や天井がレンガの壁となった。
「きれいなった」
『よかったのう』
「なんだ、これは珍しい石だな?」
周囲の壁に魚が泳ぐ壁紙をつけた。
「おさかな!!」
床をフローリングしたあと、畳をはめこんだ。
「きもちいい」
『これ。だめじゃろ? 土足禁止じゃ!!』
「この床は、土足禁止なのか?」
レオニードの言葉を察した、もふもふは、畳を汚さないように雑巾で足を丁寧にふいた。
『だから靴をぬげといっておるじゃろ』
土足で駆けあがるミリアは、獣以下だった。
「うむ、すごい」
『とうとう野良猫生活も終わりじゃな』
「お前たちは、どのような生活をしていたんだ」
ダイニングやキッチンも取りつけた。
あとは発電機をつけるだけ――
そう、最後にこれをつけるだけで、ミリアは快適なダンジョンライフを満喫することができるのだ。
――その予定だった。
なぜか、部屋の中央に丸いちゃぶ台が置かれていた。
『…………』
そして――
暗闇の中を照らす一本のロウソクが、ちゃぶ台にのせられた。
それを囲むように第一回「いえ、まもる」会議が開かれた。
ミリアは正座をさせられた。
『おぬし、わかっておろうな』
「すまん」
「これはなんだ、冷蔵庫? どういったものなのだ」
レオニードは会議そっちのけで、電化製品に興味津々だった。アカネギは植木鉢の中で頭を揺らしながら、お眠り中。もふもふは身体をまるめて眠っていた。これが会議と言えるのだろうか。
『おぬし、なぜ、発電機をつけんかったんじゃ。これを押せと何度も教えたじゃろ。なぜ、ちゃぶ台のボタンを押したんじゃ』
「ほんと、すまん」
畳と言えばちゃぶ台。ミリアのナイ頭によぎってしまったのだ。電気がないと電化製品が動かない。ミリアの本の説教が小一時間つづくことになった。




