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勇者の飼い猫になりました。  作者: 眠れる森の猫
第五章 野良猫ミリア編
31/63

第28話 野良猫ミリアは、ヒトを見つける。

 ミリアが惑星エルラシアに転移して1年が過ぎた。


 ミリア視点。


『これ、ミリアよ、どうしたんじゃ?』


「こえ、した」


「ネギネギ?」


 ミリアは危険を承知で声のした方へと向かう。


『これ、どこにいくんじゃ?』


「むむっ、どうしよう、こまった」


「ネギ!?」


 すると、離れたところにヒトが倒れていた。魔物がヒトに襲い掛かろうとしている。とりあえず、人任せ、いや、ネギ任せしよう、ミリアは歩く赤いネギに声をかけた。


「あかねぎ、あれ、たおす」


「ねぎぃ?」


 赤いネギーラは魔物の元へと飛んでった。



☆☆☆


 アスレイの街から北へ少し進むと闇夜やみよの森がある。この森は比較的、弱い魔物しか現れない。だから、初心者専用の狩場になっていた。しかし、偶然にも彼女はフェンリルと出会ってしまった。


 並外れた瞬発力とその狂暴性から誰もが恐れを抱く魔物、その戦闘能力の高さからフェンリルはS級クラスの魔物として登録されていた。

 

 煌びやかに輝く銀色の毛皮をもつフェンリル、鋭い牙をとがらせ、動けなくなった少女にとどめをさそうと近づいていく。


 襲われている少女の名前はナタリー、亡き両親も有名な冒険者だった。Eクラスの新米だが、期待の新人として注目をあびていた。ナタリーは逃げられないと判断し、フェンリルに戦いを挑んだが、結果は見ての通りだった。


☆☆☆


 ナタリー視点


 死ぬ直前、今までにあった事柄……、人生の出来事を……走馬燈のように思い出すという。 ……ならば、自分はここで死んでしまうのだろう。


 今までの思い出が浮かび上がっては、さーっと消えていく。自分自身忘れていたことでさせ、浮かび上がってくる。


 初めて剣を握ったとき。


初めて魔法を使ったとき。


 初めて魔物をたおしたとき。


 父に買ってもらった武器を1日中磨いたり。


 新しい魔法を覚えては何度も練習したり。


 ほかにも……


 思い出すことはたたある。


 人生とは、長いようで短いもの。


 15年の歳月は人にしてみれば、長いとは言えない。


 とくにこれと言った起伏や波乱に満ちた人生を歩んだつもりは、……かなりあったかもしれない。


 だけど……それでも、死の間際に映る脳裏には数え切れないほどの情景が映し出されていく。


 予想外だった。


 こうしてみると自分自身、なにもないと思っていたけど、それなりに人生を楽しんでいたのかもしれない。運がいつも悪くて、とんでもないことが毎回起こっていたけど、だけど、だけど、やはり命がおしい。ああ、最期の時が近づいてくる。


 ごめんね、みんな……


 フェンリルの牙が……わたしの頭を……


「ねぎぃー!!」


 ペチン!!


「キャンッ!」


 えっ~? な、なにが……起こったの……?


「うん? かわ、みつけた、おさかな、いた!!」


『これ、ミリアよ、まつんじゃ、突然どうしたんじゃ?』


 わたしが、最後に見たのは、頭にネコミミが生えている少女と空飛ぶ本、そして、フェンリルを一撃で殴り倒す赤いネギだった。これは夢なのだろうか、そして……、わたしの意識がそーっと遠くなっていった。

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