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勇者の飼い猫になりました。  作者: 眠れる森の猫
第四章 脱出ネコ編
29/63

第27話 ねこ、なった、にゃぁ~!

 蘇ったミリアは、ポッケからさらにアイテムを取り出した。


「うむ、これ、でた」


『このアイテムでどうやって脱出するんじゃ?』


 ポケットから、にゃんこグローブが出てきた。とりあえず、ミリアははめることにした。


「ほわほわ、きもちいい」


『よかったのう』


 ミリアが猫として足りなかった、ピースがそろってしまった。


 ミリアは本当の猫さんになったのだ。


「ねこ、なった、にゃぁ~!」


『いやいや、猫になってはだめじゃろう。はやく人間に戻るのじゃ』


「うむ」


『アイテムのことが分からんとダメじゃろう? 仕方ない、どれどれ、調べてみるか』


 ミリアの本がにゃんこグラブを調べはじめた。


 まぶしい。


 猫は目に光を当てると以下省略――


 いつも通りに、光輝くミリアの本だった。


「じしょ、どして、ひかる?」


『わしは、スキルを使うときは光ることに決めておるんじゃ。かっこいいじゃろ。エフェクトはオンにしておくのじゃぞ』


「め、いたい」


 ミリアの本は目立ちたがり屋だった。


☆☆☆


名前 にゃんこグローブ

レア度 ★★★★★

説明 

 猫神様が開発したネコさんグローブ、これで、あなたも猫さん気分、ただ、それだけではないのだ。スキル、ネコババ(盗む)を覚えることができてしまうのだ。有効範囲は10m、100%の確率で魚を盗むことが可能になる。


☆☆☆


『ふむ、とりあえず、ネコババを使ってみたらどうじゃ』


「これ、つかう? どうする?」


『スキルを使う感じかのう、にゃんこグローブに力を集中するのじゃ。青く光ったとき、物をかすめとる感じで、手をふるんじゃ』


 さかなぁ、さかなぁ、さかなぁ~、さかなぁをたべると~♪ 


 よこせ、よこせ、よこせ、さかな~をよこ~せ!!


 どしてだろう。


 頭の中になつかしい、奇妙な歌が流れてくる。そして、グローブが青い光を放ちだした。ミリアは魚だらけになった部屋をイメージする。


「にゃぁッ~!!」


 掛け声とともに手を大きく振る。


『おお、これは、みごとな』


「にゃ、にゃ!!」


 部屋中に大量の魚が降りそそいだ。


「ぴち、ぴち、さかな、おいしそう」


『ほぉ、これで、何日かは飢えることはなさそうじゃ。おぬしは調理ができんし。わしがしてやろう。少しまっておれ』


「うむ、おなかすいた」


◇◇◇


 戦士アベル視点


 勇者の隣の屋敷、戦士アベルの部屋で事件が起こった。


「ど、どういうことだ。俺の魚が消えている。あ、ありえねぇ」


 クライシスに頼まれて早朝から釣りに出かけたアベル、部屋に戻った矢先のことだった。


 特大のクーラーボックスに入れていた魚がすべて消えてしまったのだ。


「魚が転移スキルを持っていただと、この俺が油断するとは……」


 隣の勇者の屋敷でミリアが美味しくいただいていることを知らない、アベルであった。

 


★★★


 ミリア視点


 一時間後、もちろん、ミリアは新鮮なお魚をむしゃむしゃしていた。


「おなか、いっぱい」 


『あれだけ食べたしのう』


 新鮮なお魚をたらふく食べたミリアは、お腹がいっぱいになった。良きかな、良きかな、満足である。


「うん?」


『どうしたんじゃ?』


「なにか、おと、する」


『ネコミミじゃから良く聞こえそうじゃのう』


 ミリアがいる扉の外から、「なんだ、この赤いネギは、ぐはっ!! ありえねぇ――!!」と誰かが何者かにぶっ飛ばされている声だけではなく、ガシャン!、ドシャン、バシャン! と、物が乱暴に吹き飛ばされている音がミリアのミミに入ってきた。


『まずくないかのう。なんかこっちにきておるぞ』


 ミリアの部屋に誰かが向かってきているようだ。


「うむ」


 部屋の扉の前で、得体のしれない何者かが足を止めた。

 

 しーんと静まり返る。


「な、なにものなんじゃ、勇者ではなそうじゃが」


「むむっ!!」


 そして――。

 バーンと、扉が吹き飛ばされた。

 ミリアめがけて、扉が飛んでくる。


『な、なんじゃ!!』


「ヒィニャアアアア!!」


 ミリアは扉の下敷きになってしまった。


 そこに現れたのは赤いネギーラだった。

 ミリアは死の間際、夢を見た。

 闇夜の森で野良猫生活していた夢を……

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