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勇者の飼い猫になりました。  作者: 眠れる森の猫
第三章 ~ミリアの本~編
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第16話 ミリアの本 その2

 ミリア視点


 俺は空を見上げた。

 清々しいほどの快晴の空だ。

 思い返してみると、今まで色々な事があったよな。


☆☆☆


『クラスメイトの英雄くんって……ああ、思い出した、たしか、いたよね。影の薄い』


『隣のクラスの英雄?  だれ、それ、知らないな』


『そのような生徒いたかな? 少し待ってくれ。クラス名簿は、たしか。ああ、そういえばいたね。先生うっかり忘れてたよ。あはは、秘密だよ』


『あらあら、奥さん、いやですわ。英雄君のことを教えてほしい? 誰かしら? 写真がある? ああ、確か、この子なら昨日、一人ぶつぶつ、おしゃべりしながら公園の方にむかったわよ。経済情勢がなんたら言ってたわね』


☆☆☆


 どうやら俺はとんでもなく存在感が薄いらしい。理由は分からない。いたって普通の少年のはずだ。しいて言うなら猫が数え切れないほど寄ってくる、猫に好かれやすい体質の持ち主であることぐらいだろうか。

 今思うと、幼い頃にケルベロスと神社で出会ってからなのか。まさか、猫の妖怪? いや、たしかにケルベロスの尻尾は普通の猫より多い気がする。まぁ、気のせいだろう。新種の猫かもしれん。


 だが思い返してみると、ほんと、俺の人生って、友達いないよな。猫しかいないのか、マジで泣きそうだ。あげくの果てに戦車にひかれて、女になるわ。異世界では、魔物になぶり殺されるわ。腹が減るわで、もう最悪だ。


『ぷっ、つまらん人生を送っておるようじゃな』


「うっ、うるさい、だまるぅ!! 」


 周りを見回しても誰もいない。

 ど、どういう事だ。


『ほれほれ、下じゃ、足元をよく見るんじゃ』


 そこにあるのは、〇リアの本。


『なぜ伏字にするんじゃ。わしは全年齢対象なのじゃよ』


「じしょ、はなす、どして?」


 なぜ、国語辞典がしゃべっているんだ?


『それはのう』


「うむ」


『さぁ~? 』


「ムキィーーーーー!!」


 俺は、目の前にある本を何度も踏みつけた。


『や、やめるのじゃ。猫さんパンツがみえておるぞ』


 数分後、本はしゃべらなくなった。

 つまらぬモノを踏んでしまったようだ。ぬっ、辞書から黒いナニかが、煙? いやこれは?


「にゃ、にゃ!!」


 な、なんだこれは!?

 本から黒い触手が出てきて俺の体に巻きついてくる。


「にゃぁあああ!! そ、そこ、 むね!! ひっ、ああっ、ひゃぁ。はげしぃ、だ、だめぇ。あっ、ああっ……しっぽ……らめぇえええええええええ!!」


◇◇◇


『ふい、お子ちゃまを相手にすると、ほんと疲れるわい、わしのテクも、まだまだ捨てたもんじゃないのう。わしは天界の神器の一つ、神の図書館と呼ばれておるんじゃ。あらゆるスキルをマスターしておる。わしが本気を出せば、今頃、おぬしは、調教されて、わしのことを、おねぇさま、おねぇさまと泣いて喜んでおったじゃろうな。まぁ、今回はこれで許してやるぞい、そろそろ、時間が惜しいのでな。ふむ、反応がないわ、天国に逝ってしまったかのう』


「あぁ……ぅ……っ」


 どうやら俺は天国からさらに天国へ逝ってしまったようだ。動けるようになったのは30分後だった。

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