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勇者の飼い猫になりました。  作者: 眠れる森の猫
第三章 ~ミリアの本~編
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第15話 ミリアの本

 ミリア視点


 ここは惑星エルラシア。

 猫神様に異世界転移させられた英雄こと、ミリアは一人、森の中を彷徨い食糧を探していた。転移させられて1日が過ぎようとしていた。


「むむっ!!」


 ミリアは虹色のカラフルなキノコを発見した。

 見るからに毒がありそうだ。


「キノコ、見つけた!!」


 キノコをじっと見つめるミリア。

 そして――


「もぐもぐ、うまい」


 ミリアは、キノコを食べてしまった。


「うん? ねこ、みえる、ケル?」


 カラフルなキノコをたべたせいで幻覚症状に陥ったようだ。なぜか、自分の飼っていた三毛猫のケルベロスが手招きしている。


 おいで~、おいで~天国においでよ~♪


「ま、まって、ケル?」


 誘われるまま、崖のある方へと進み――


「にゃあああああ――!!」


 ミリアは崖から落ちた。

 もちろん、死んでしまった。

 俺は、なぜ、あのキノコを食べてしまったのだろうか。

 きっと、知力が足りないせいなんだなぁと、あとあとになって気づいた。


☆☆☆☆


 ・・・・・・・。


「おーい、起きるのじゃ」


(うん、誰だ?)


「起きるんじゃ!!」


(よりにもよって婆さんの声で目が覚めるなんてありえないだろう。ここは、定番の美女とかが普通だろう? なぁ、あんたもそう思うだろう、だからキャンセルさせてくれないか)


「はぁ~、仕方ないのう。もしもし、お兄さん、起きてください」


「むっ、おきる!!」


 声に誘われるまま起きたが、誰もいない。


「いない?」


 どこを見てもお花畑、乙女が泣いて喜びそうな場所だ。

 快晴の空に虹、まさにメルヘンな世界がここにあった。

 俺はまた、天国に戻されたようだ。

 あの森で魔物に殺されたり、毒で死んだり、もう何度目か分からない。

 どうも頭の回転が鈍くなってきている。

 記憶に障害がでているのか、考えるともやもやした気分になってくる。

 なんだろう、これは?


「ほん?」


 花畑に似つかわしくない古ぼけた黒い事典のようなものが落ちていた。

 手にとってみると――

 表紙には、国語事典と書かれていた。いや、よく見ると二十線が引かれているようだ。その下にはミリアの本と書かれていた。ページをめくると汚い文字が暗号のようにつづられていた。読むと言うよりも解読に近い。そんな感じがした。これは、どうやら日記のようだ。


『わたしは、猫神さまなのです。にゃん、にゃん、にゃん~! 今日は黒猫さんの精霊と視察にいこうと思います。黒猫はモニカが幸運を運ぶ、にゃんこさんと言ってました。でもいいことがおきません。逆に悪い事ばかりおこります。こいつは、悪戯好きな精霊のようです。あとで〆てやるのです。むむっ、外が騒がしい。ぐるるうっ、おなかがすいたのです。宿屋の店主に食料を要求するのです。「店主、ラーメン一丁!!」無視されてしまったのです。うん、魔王? カップ麺のことなのですか? ……たしか“ラ王”なのですよ。間違いを正しく教えてあげると、魚の頭をくれてどこかに行ってしまいました。どうして魚の頭をくれたのか分かりません。3秒ほど考えて、どうでもよくなったので、魚をおいしくいただくことにしました。少し頭がよくなった気がします』


 ああ、そうだな。見なかったことにしよう。

 本をそっと、元の場所に戻した。

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