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勇者の飼い猫になりました。  作者: 眠れる森の猫
第三章 ~ミリアの本~編
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第13話 お仕置き

 エミリア視点


『にゃあああああああ!! 殺っちまったのですよ!! 』

 

 戦車の事故を起こしてから数時間が過ぎた。自宅に戻ったエミリアは徹夜でゲームをしていた。


「犯人は、ヤスで決まりなのです。さて、今日はここまでにして、もう寝るのです」


 ささっと、エミリアはコタツの中に潜り込んだ。


 惑星エルラシアの管理は、猫神マークⅡに任せておけばいいのです。明日から、遊び放題、ゲームし放題、1日中遊んでられるのです。そういえば、なにかしなければならないことがあったような、きっと、どうでもいいことなのです。


 エミリアは、修復カプセルをコタツの上にほったらかしたまま深い眠りにおちようとしていた。


 ああ、すっごく暖かいのです。暖かさが染み渡るのです。すべてがどうでもよくなって……


「zzzz、なのです」


 そんな時だった。眠っているエミリアの側に忍び寄る黒い影があった。ゆっくりとゆっくりと、影が近づいてくる。エミリアの側に立ち止まる黒い影。それが実体化し、人型となっていく。そして、影に色が付き始めた。


 美しい金色の長い髪――

 透き通るような水色の瞳――

 六枚の白い翼をたずさえた――

 目見麗しい美しい女性が現れたのだ。

 その影の正体とは天界の頂点に君臨する女神モニカであった。慈愛に満ちた、いや、欲情に満ちた瞳でエミリアをじっと見ている。


『さ、さむけが、するのです。ま、まさか、ヤツが……』


「天界の技術を使用した改造戦車をもちだすだなんて、だめよ、エミリアちゃん、せめて、自転車ぐらいにしないと。それに封印された兵器まで持ち出して、ほんとお茶目なネコちゃんね、うふふ」


 エミリアが行ってきた数々の悪事がモニカにばれているようだ。そう彼女は遠見スキルを使って見ていたのだ。エミリアの悪事だけでなく、着替えから入浴まで、すべてを覗き見ていたのだ。ある意味、ストーカに近いかもしれない。


 や、やばいのです。このままだと、やられてしまうのです。


「うふふ、エミリアちゃん、寝てるのね、なんて可愛いらしいのかしら、見てるだけでゾクゾクしちゃいますわ」


 眠るエミリアを見て、ふつくしい笑みを浮かべる変態女神。だけど目だけは違う。まるで獲物を狙うハンターのようだ。


 自分がまだ天使の卵だった頃、ヤツはまだ大人しかった。ネコミミをモフモフしたり、尻尾をはむはむしてくるだけだった。なのに年齢が積み重なっていくうちに、こいつは激しい行為を迫ってくる。お、恐ろしいのです。なぜ、下級女神の自分にここまで執着するのか分からないのです。


 ある医療施設の巡察に訪れたモニカは赤ん坊だったエミリアを可愛がり、あやしていた。そこで事件が起こったのだ。エミリアは『極上スマイル』を無意識に、この変態女神に使ってしまったのだ。もともと、猫が大好きなだけにイチコロである。


「こたつで眠る姿をずーっと見守ってあげたい。そうですわ、絶対零度の魔法をかけて永久保存してあげましょうか。それなら書斎でも一緒にいられますし、持ち運びできますわよね。でも次回にとっておきましょうか。今日は大切な用事がありますのよ。もちろん、エミリアちゃんのお仕置きよ。どんなお仕置きがいいかしら、ねぇねぇ、エミリアちゃん、わたくしとしてはね」


「やかましいのです。私の眠りを妨げるものは死なのです。起こせるものなら起こすがいいのです。だが、覚悟するがいいのです。これでもかってほどに、ふるぼっこにしてやるのです。だから、今日はあきらめてさっさと帰るがいいのです」


「そ、そんなエミリアちゃんが、わたくしに、そんなことを言うだなんて……分かりました、全力をもってお相手してさしあげますわね、うふふ」


 数舜置いて、エミリアに向けて、生きとし生けるもの、全てを凍らせるような殺気を放ちだしたモニカ。しかも、この部屋に、ありもしないはずの空間が現れて歪みだした。


 彼女の聖なる闘気によって部屋全体がのみこまれていく。

 エミリアは、彼女が創造した異次元世界に、コタツまるごと飲み込まれてしまったのだ。周囲は大地しかない荒廃した世界。所々に朽ち果てた骸骨や剣、鎧などが落ちている。この世界は女神の処刑場と呼ばれる場所だった。


 こ、固有結界を張られてしまったのです。モニカの側には拷問器具のような物がずらりと立ち並んでいるのです。このままだと、いたぶり、ころされて、ガクブルなのです。


「エミリアちゃんのせいで、興奮がとまりませんわ。はぁはぁ、エミリアちゃんの悲鳴、想像するだけで、ゾクゾクしちゃいますわ。さて、どれから、いきましょうか。うふふ」


「にゃぁああああ。冗談なのです、冗談なのですよ!!」 


 あまりの怖さにちびってしまったのです。

 

「はぁはぁ、エミリアちゃんのおしっこの匂いが、くんかくんか!!」


「にゃあああああ、ばれてるのです!!」


「ああ~ん、もう、我慢できませんわ。お仕置きした後は、いっぱい、ぺろぺろしてさしあげますからね、さぁ、ハヤク、ヌギヌギして愛死合いましょう!!」


 もう、覚悟を決めるしかないのです。

 今のコイツにナニを言っても無駄なのです。

 もう殺っちまうしかないのです。

 そう闘う道しかないのです。


「ムキーーーーィ!! ばれてしまったら仕方がないのです。ここは実力行使なのです!! やってやるのですよ!! さぁ、食らうがいいのです!! 必殺!!」


 だけど、あっけなくお仕置き、いや、襲われてしまった。

 立ち上がることすらできないぐらい、身体中をペロペロされてしまった。ガクリ。

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