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勇者の飼い猫になりました。  作者: 眠れる森の猫
第二章 勇者クライシス編
13/63

第12話 幸せをつかむために

クライシス視点


「う~ん、こまった、でも、ぅ~ん」


 ミリアは、何かを言いたそうにこちらを見てくる。

 それが何日も続くことになった。


「ミリア、どうしたんだい? 何か言いたいことがあるなら僕に……」


「な、なんでも、ない」


「ミリア、言ってごらん」


 真剣な目で見つめる僕に負けてしまったのか、ミリアは雑誌を僕に見せてきた。


「これ、ほし……」


 だが、タイミングよく手紙が僕の手元に……。


「むっ、しろい、かみ? とんで、きた。まほう?」


 これは師匠からの手紙、やっとなのか。

 僕は、手紙の封を切り手紙を読んだ。


「…………」


 この人に頼るのが間違いだった。


「ふぅ~」


 僕は、ため息をついた。

 話が中断してしまったようだね。


「ミリア、すまない、それは?」


「くら、たのみ、ある」


 ミリアが、僕に頼み事とは珍しい。今回が初めてだ。彼女は何も欲しがらない。我がままを言わない。僕に対して遠慮しているのだろうか。だが、そんな彼女も魚の時だけは目の色がかわる。大きな魚を見るとすぐに飛びついてしまう。そんな可愛い君の頼みだ断る理由はない。


「ミリアが珍しいね。頼み事とはなんだい?」


「これ、ほしい、ぎゅーどん」


 僕に雑誌を見せて、あるメニューを指さした。


「ぎゅーどん、知らない食べ物だね。いや、こ、これは、だが、しかし!!」


 これは伝説の料理。

 マタタビスペシャルじゃないか。


名前  マタタビスペシャル

レア度 ★★★★★

食材  レッドドラゴンの肉

    キングトータスの肉

    キングゴーレムの欠片

    ブラッディスライムのゼリー

    デスツリーの木片

    

 説明 


 五つ星の伝説の料理、この料理を完成させた者は伝説の女神だけだと言われている。レッドドラゴンの肉をふんだんに使ったねこまんまである。ドラゴン族最強のレッドドラゴンに挑んだものは、勇者ですら返り討ちに合い、戻ることができなかった。三代目勇者ゼノスの消息は未だ不明である。まさに命がけの料理である。この料理を食べたネコミミ族は興奮状態におちいってしまい、発情した淫乱メス猫状態になってしまうのだ。その効果は1週間持続する。これを欲しがるネコミミ族は、子種を求め求愛の行動をとっているといえるだろう。


注意:この餌を与えることは、1週間、ヤル覚悟、精力とスタミナが必要である。


☆☆☆


「ほ、本気でこれがほしいのかい?」


「うむ、くら、ほしい。だめ?」


 僕にみせつけるように、ミリアは、両手でお腹をナデナデしている。

 これは、お腹がすいてることをアピールするミリアの癖なのだが。

 まさか、君は、僕の子供を……。

 だが、クライシスは違う意味でとらえてしまったようだ。

 僕は真剣な眼差しでミリアを見つめた。


「ほしい、くら、おねがい。わたし、なんとか、する、ぜったい、めいわく、かけない」


(牛丼が食べたい。材料さえあれば、自分で、いや、あとはこの辞書がなんとかする。迷惑はかけない)


 ミリアは、懇願するかのような目で僕を見つめている。


「み、みりあ……それほどまでに……僕のことを……」


 クライシスには、あなたの子供を育てたい。私一人でも育てる。迷惑をかけないから……お願い……と懇願しているようにしか見えなかった。


『うん? ミリアよ。なにをしておるんじゃ? 勇者が……これはまた、真剣な表情をしておるのう。うむ、おかしいのう。全く反応がないぞい。大丈夫かのう?』


「おなか、すいた。めし、ようきゅう!!」


『そか、よかったのう』


「…………」


 ミリア……男としてここまでされたら僕は引くことができない。

 これからすることは君を不幸にしてしまうかもしれない。

 だが、もう我慢できない。

 ミリアを安心させるように僕は微笑んだ。


「むむぅ? どした、くら?」


「僕を待ってていてくれ、必ず君を迎えにいく」


 僕は勇者であってもただの人間だ。

 恋をするのも自由だ。

 僕とミリアの恋路を邪魔するものは、たとえ神であろうと、教会であろうと、大国であろうと、森であろうと、この正義の刃ですべてを切り裂く。

 ミリア、子供は二人で育てよう。

 そうだね、まずは素敵な教会を探そうか。


「うん? そか、いってら」


『すごい闘気じゃのう!! おぬし、一体、何を頼んだんじゃ』


「ぎゅーどん」


『この世界に吉野家なんてあったかのう。勇者も食べたいんじゃな』


 こうして、僕は旅に出た。

 ミリアとの幸せをつかむために……


★★★★★★★★★★★★★★★★★★


 バカ弟子へ

 協会のバカ共を説得するのは無理だ。

 あの首輪が反応したことは魔物の証明なんだ。

 それを覆すことはできん。

 あいつらは頭が固いアホだ。

 あいつらにいうことを聞かせたいなら、力で訴えろ。

 俺なら地属性最強魔法メテオブレイク(巨大隕石)を協会本部にかます。

 力が正義なんだよ。

 それより女に構ってないで仕事しろ。

 引退した俺がなぜおまえの代わりに働かねばならん。

 なにさぼってやがる。

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― 新着の感想 ―
[一言] もし良ければ辞書さんが人になる話も読んでみたいです(* ̄∇ ̄*)
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