借金令嬢は返済に生きる 借金額の内訳です
ローラン子爵家ではアーサーが領都の商会、組合に掛け合って借金の申込みに奔走していた。
そこに公爵家をエリオットが到着し、商会幹部らにサンフォーク公爵家がかなりの金額を用意する事と姉妹が公爵令息達と結婚する事を伝えた。
そうすると領都の商会の多くがアーサーに金を融通した。
無事に3億リブルを期日までに支払った。
ローラン子爵領地の森林公園は無事に開園することができた。
そして18歳になったアーサーがローラン子爵を拝命した。
前ローラン子爵ランドルフは地下牢に幽閉。
内職で得た分だけの食料の差し入れがされる毎日となった。
ローラン子爵領民たちは前子爵がした事を商会、組合、森林公園関係のショップから聞いて激怒した。
領民からしたら前子爵ランドルフがした事は売国奴と同じだった。
ランドルフを騙した商会は隣国を本店として支店のみだった。3億リブルを手にすると支店を閉めて隣国へ帰った。
ローラン子爵家が落ち着いた所で、アーサーを王都に招き、公爵家子息達の結婚式が行われた。
令息たちの眉目秀麗な花婿姿。
ローラン子爵家令嬢姉妹の美の女神の様な美貌に参列者たちは賞賛の嵐だ。エリンは21歳、アリシアは16歳になっていた。
披露パーティも公爵家の結婚披露とあって華やかだった。
レイナルトは公爵家の持つ称号の1つであるドリアルド伯爵を襲名し、公爵家の持つ領地を1つもらった。
3億リブルの借金の内訳は、レイナルトの祖母からの遺産が8000万リブル。この内、5千万がレイナルトの物。2千万がマデリーン。1千万がエリオット。マデリーンもエリオットも、ローラン子爵家にあげてよい、とした。
公爵夫人から個人資産5千万リブル。
エリオットが給料を貯めていたものが一千万リブル。使う宛もないからいつの間にか貯まっていたから、と。
エリンたちの母、グレーシスが工面した一千万リブル。
アーサーがローラン子爵領の商会や個人的な商人から借りた7千万リブル。
リッチモンド伯爵家が工面した1千万円リブル。残り7千万リブルはレイナルトが借金した。
アーサーが借りた7千万リブルとレイナルトが借りた7千万リブルは利子がつくので早く返済すべきものだ。
エリオットがレイナルトの借金を半分持とう、と申し出た。
しかしレイナルトは断わった。「兄上からはお祖母様からの一千万の遺産と兄上が苦労して貯めた一千万リブルを当てて頂いています。母上からの五千万リブルも、いずれは兄上が公爵家を継ぐ時にお渡しすべき物でした。」
「レイナルト、お前の負担が大きすぎる。」
「次期公爵に借金があるのはいけません。兄上は王宮勤めです。僕は領地を頂いたので、そこから借金返済をします。どうにもならなくなったら頼りますから、見守って下さい。」
「そう言うが、私の妻のアリシアの父親の作った借金だ。私だけ知らないふりは出来ない。レイナルトだけに負債を背負わせるつもりはない。」
「兄上はしばらくしたらアリシアさんと離縁するはずですよね?」
「そんなつもりはない!」
「?アリシアさんを保護するために結婚すると」
「私はアリシアと真実、夫婦だ。もう言うな。だから、半分借金を返済する義務がある!」
「?気をつかわなくても」
「何回も言わせるな!」
エリオットの顔が赤い。
やっとレイナルトは気がついた。エリオットはアリシアに惚れている、と。
「わかりました。では、こうしましょう。8000万リブルの借金のうち、兄上はすでにご自身の貯めた一千万リブルを出してくれました。残りの3千万円リブルをお願いします。僕は4千万リブルです。」
「私は兄だし、働いている。」
「いいえ。これが公平です。すごく助かります。」
「わかった、そうしよう。」
こうして公爵家の令息二人の新婚生活は大きな負債を背負っての出発となった。