洋服とアクセサリーを買ってあげよう
テオ達が住む3区には、商業店が多く並ぶ買い物エリアがある。
そのエリアにある古着屋にテオ達3人は来ていた。
「リアちゃん、ちっちゃいからなー。これは?ちょっと大きい?」
「少しくらい大きくてもいいんじゃない?それよりも、1人でも着れるものにしないと。」
「そうだよな、俺たちが毎回手伝うわけにもいかないし。お、これはどう?」
ルークが黄色いドレスを手に取り、後ろにいるリアへと振り向く。
リアは戸惑ったようにテオとルークを見上げている。
「・・・リア、おかね、ない。」
テオは幼い彼女がそんなことを気にすることに驚いた。
「お金の心配しなくて大丈夫だよ。僕が持ってる。」
というより、その金は本来彼女のものだが。
「そうそう、金はテオに任せて、リアちゃんは好きなもん選びなよ!ほら、こっちの帽子なんかいいんじゃない?」
ルークが白いレースが巻かれた麦わら帽子を見つけて、リアにかぶせる。
「いいの?」
麦わら帽子の下から、驚いたように大きな目を覗かせるリア。
「もちろん!さぁ、どれがいい?」
ルークは水色、ピンクなどいくつかのサマードレスを手にしている。
リアはモジモジとしながら、水色のサマードレスを指さした。
「肌着も今の数じゃ足りないだろうな。」
肌着が集められているワゴンへと向かうテオ。
「靴も一足じゃ、雨の日とか困るよなー。」
ルークはブーツとサンダルを何足か持ってきて、リアに履かせてみている。
「この髪飾りとリボンは?リアちゃんの目と同じパープル!」
パープルのリボンと、蝶がモチーフになっている髪留めを手にするルーク。
「いいけど、僕は髪の毛の結い方なんか知らないからな?」
テオは両手にドレス、シャツ、スカート達を抱えて会計へと向かう。
リアが花の刺繍が入ったポシェットを眺めているのに気づいたルーク。
「それ欲しいの?いいよ、いいよ、持ってきなよ!」
服だけのはずが、いつの間にかどんどんとその他の物も増えていき、テオが考えていた予算を大きく超えてしまった。
(しょうがないか。だって、いくらなんでも肌着3つは可哀想だ。)
荷物を抱えて店を出る頃には、なぜかルークが満足げな表情を浮かべていた。
「こういうのって、意外に楽しいんだなぁ。なんか、女の子が着せ替え人形遊びが好きなの、わかる気がするなぁ。」
どうやら友人はまた新しい扉を開いてしまったようだ。
「リアちゃんの服とか十分買えたし、帰るか。」
ルークは家の方向へと歩き出そうし、テオがそれを止めた。
「いや、ちょうどいいから図書館行こう。」
「は?なんで?」
「先生の課題。」
一拍置いて、一気に落胆した表情を浮かべるルーク。
(忘れてたな、コイツ。)