1話
初投稿
小説ってムズいっすねー。筆者は受験シーズンで親にせっつかれてます。
暗い洞窟の奥、明かりが煌々と照っていた。無論、松明やそれに準ずる火を使った明かりではない。当たり前だが、酸素が限られる場所で火を使って明かりを得ようとするものはいない。
なればこそそれは超常的で非常識な、魔法の明かりだ。
洞窟の壁に文字を刻み込み、魔法の力を加えることで明かりとして機能するのだが、洞窟を見渡すには心許ない。しかし逆を言えば近くのものを見るだけなら不足しない。
グニャリ、と空間が歪んだ。
見慣れた姿――他種族からすれば異形――の同胞が歪みから産み落とされる。新参者はへたりこみキョロキョロとあたりを見回して、なかなか面白い。だが役割は果たすべきだ。面倒を見てやらなければいけないし、自分達の家に案内しなくては。
そう考え、異形は同胞に近づいていく。
「聞こえるか?」
声をかける。一糸纏わぬ肌は黒く体毛はないのだが、幼さがその小さな体躯から感じられる。なかなか愛らしい容姿だ。成長すれば中々の美人に……
いや今はそんなことはいい。
生まれたては耳が機能していないことがある。その場合は相手が警戒して逃げるなり襲いかかってくるなりするのだ。襲ってくるのなら疲れるまで殴らせてやればいいが逃げられるのは厄介だ。捕まえる際にケガの恐れがある。
因みに自分達の種族は生まれたときから目が見えるので俺を認識できていないことはない。
「あー」
「生まれてすぐに言葉を理解した……いや、音に反応しただけか」
なんにしろ、逃げられないだけ手間がかからなくていい。そして、警戒を溶かすにはこれがいいだろう。
「ほれ、飴だぞーうまいぞー」
小さな手に渡そうとするが、警戒して持とうとしない。仕方がないので口の中にいれて、というか押し込んでやった。
この飴は特別で果物の味がする飴なのだ。なかなか高いが美味しいのでよく携行している。
「んー?!」
一瞬驚いた顔をしたかと思うと恐ろしい勢いでなめ回し始めた。
「どうだ。うまいだろう?高いんだから大事に食えよ」
やはり子供は甘いものが好きらしい。絶賛舐めながら新しいのを期待している辺り食い意地も張っているが、よく食べる子はよく育つのだから悪いことではない。
しかしヌガーは勿体無かったなか?これを買うには顔が知られていない町に行くしかないからなかなか苦労があるのだ。まあかわいい顔を見られたのだから別にいいか。
食べ終わった顔には期待の文字が書いてある。仕方がなくかわりの飴をやると今度はゆっくりと食べ始めた。
食べ終わるのを待つ間手持ち無沙汰になってしまったので、これまでの人生をぼんやりと考えながら待つことにした。
――to be continued
読んでくださりありがとうございました
m(_ _)m