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43 ぼっち

少しシリアスが続きます。

 一緒にマンションを出るが、通学路の途中で別れてお互い無関係を装う。別々に教室に到着すると、佐々は友達の輪の中へ、僕は一人自分の席へと向かう。


 周囲にはこれから迎えるテストを憂う声や、早くも試験が終わった後のことを話している者もいる。

 どれも僕には関係ない。試験が終わればまっすぐ家に帰るだけだ。


「おーい、翠。三バカが話があるってー」

「ちょっ、りせっち酷くない? 三バカじゃなくて二バカっしょ」

「おお、遂に自分をバカと認められるようになったのか。俺嬉しい! 感動!」

「お前らうるさいぞ。佐々さん。今日の午後、みんなでファミレス寄ろうって話があるんだけど、佐々さんも一緒にどう? 話くらい聞いてるよね?」

「うん、まあ」


 そんな声が聞こえてきたのは席についてすぐだった。


 声をかけたのはクラスでもお調子者で知られる男子グループ、阿部・安居・友田の三人と、よく佐々と一緒にいるのを見かける相田という女子である。


 どうやら前々から誘う機会をうかがっていたらしく、佐々が席につくとほぼ同時に声をかけていた。


 ちなみに僕はそんな企画があるなんて今の今まで知らなかった。別に知りたくもなかったがね。


「ファミレス・・・・・・みんなで」

「そう。その後はカラオケ。みんなでパーッと!」


 佐々はなにやら考えるそぶりを見せた。脈ありと見込んだ安居がここぞとばかりにたたみかけている。


 言葉の猛攻を平然と受け流す佐々であるが、その時チラリとこちらを見た気がした。


 ・・・・・・目が合っただろうか。見てたのばれたかな。


 ええい気にするな! 僕はぼっちなんだ! ぼっちは孤独が友達なんだ! 今さらクラス全員参加の打ち上げに呼ばれないなんて、むしろ当たり前だ!


「それって、クラス全員行くの?」

「どうしても無理って人以外はね。俺が幹事。今んとこ八割方参加する予定」と安居。

「そうなんだー。楽しそうだね」

「絶対楽しいって! だから佐々さんも、ね?」これが阿部。こいつ佐々のこと好き過ぎだろ。

「じゃあさ、マス・・・・・・じゃなかった、こう・・・・・・でもない。佐久間君も誘うの?」


 お前空気読めよ。どう考えても誘われてるわけないだろう。


「サクマ? ああ、ぼっちくんのこと? うーん、誘ってはみたんだけど、なんか予定あるみたいでさ~」


 誘われてねーよ。しかも聞こえるように言いやがって。


「そうそう。ほら、彼って頭いいじゃん? やっぱ俺らと違うって言うか~。テスト終わっても家で勉強すんじゃね? 知らんけど」


 勉強は毎日するものだろう!


「やっぱ俺らも気ぃ遣っちゃうわけよ。ほら、俺らのせいで成績下がったとか、言われたくないし」


佐々さんはかわいくて元気で明るいクラスの人気者です。胸も大きいです。

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